2019/02/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にリタさんが現れました。
リタ > ここは貧民区に存在するバー、名前はマスカレード。カウンター席は6、テーブル席は1という、大層こぢんまりとした店だ。
料理の味はそこそこ、酒の質もそこそこ、お勧めはポトフ、コールスローと一般大衆向け。

「ん、有難う御座いました。今日は真っ直ぐ帰って下さいよ?」

丁度常連さんがお一人、お帰りになった所。これで店の中は店員のみとなった。
テーブルの上に残された皿の量から、今日は中々繁盛していたのだろうと思われる。
さて、次のお客様がいらっしゃるまでに、この皿を洗わなければならない。

「…皿洗いの妖精王さん、来てくんないかな…」

なんともはやピンポイントな妖精、しかも王。物凄く皿を洗うのが早そうである。
が、当然現れてくれる筈も無く、店員はしぶしぶ腕の上、掌へ器用に皿を乗せ、しぶしぶ洗い始めた。

「妖精でもいいや…」

ランクが下がった。それだけ皿の量が多いのである。

リタ > 程無くして洗われた皿が水気を拭き取られ綺麗に並べられる。妖精王の出番は無かった様だ。
泡を洗い流した店員の両手は天井へと向けられ、そのまま大きく背伸び。やりきった感満載の笑顔である。

ふと目線をポトフへと移すと、もう残りが少ししか無かった。凡そ残り一人分。
このままお客様が現れなければ、また注文されなければ、これは店員の胃袋に納まる事になる。
しかしそれでは売上げに繋がらない。

「…こっちのポトフは美味しいよ~♪あったかポトフであったまろ~♪」

小声ながらにも唐突に歌い始めた店員。しかもそれなりに上手い。
ポトフの入った寸胴を手で扇ぎ、天外へ香りを運びながらのその行為は、なんかもう吹っ切れた感があった。

リタ > その歌は新たな客がいらっしゃる事により潰えた。一応、店員に羞恥心はある様子。
その客は常連客。扉を潜るや否や、にやにやと笑いながら店員を見ていた。
どうやらポトフの香りに誘われただけでは無い様だ。

「…ッと…えーと…いらっしゃい。何にします?
…――イイじゃん暇だったんだから…ほら、笑ってないでさっさと座って下さい!ポトフで良いんですよね?」

最後の一皿が半ば強制的に配膳される。
残ったポトフを全て皿に盛ったので、少し多めだ。
しかしその賄賂は口止めにならず、店員をからかう客の声は勢いを増す。

「…あーもう、黙って食べる!」

店員のその一声の後に、客の大きな笑い声が響いた。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からリタさんが去りました。