2019/01/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にリタさんが現れました。
リタ > ここは貧民区に存在するとあるバー、名前はマスカレード。カウンター席は6、テーブル席は1という、大層こぢんまりとした店だ。
料理の味はそこそこ、酒の質もそこそこ、お勧めはチリコンカン、ザワークラウトと一般大衆向け。

隙間風がそよそよと吹き込む小さな店、その店に残った最後の客数人が会計をしている所だった。
店員の見送りの声の後、店のドアが開き、閉じる。その隙間を縫って冷たい風が店内へと差し込んだ。

「…さっむ…あーやだなー水仕事…これ洗うんでしょ?」

誰に聞いているのだろうか。今この場には店員しかいないのだから、洗う人物はいわずもがなである。
腕を組み、溜まった皿の山とにらめっこを始める店員。

――数分たった。

しぶしぶながらに動き出す店員。
スラックスに入っているタバコを一本取り出すと、それを吸いながら皿洗いを始める。

リタ > 全ての皿が綺麗に洗われ、丁寧に水気を取られ、棚に帰っていく頃には既に深夜。
人通りも殆どなく、黙っていれば隙間風の音しか聞こえない。
店員はその静寂の中、大きく背伸びをして息を吐いた。

毎日買出しに行き、料理を作り、振る舞い、片付け、帳簿を付ける。
何時終わるかも分からない、そのループの狭間の時。

「正直辛いし、面倒だし、やってらんないし、眠いし、飲みたくなるし…」

愚痴を吐きながら首を回し、肩を回し、もう一度大きな背伸び。
ふと誰もいない店内を見れば、店員の頭の中に先程までの賑わいが浮かんだ。

いつもいつも尻を触るエロジジイが、息子の嫁に引き摺られて帰っていく所。
静かに飲んでいたちょっとカッコいいお兄さんが突然号泣しはじめる所。
酔って大声で叫ぶ客、酒がまずいと文句を言う客…あまり良い一日では無かった事を思い出し、項垂れる店員。
特に最後の客を思い浮かべると――涙が出そうになる。

そのタイミングで、ドアベルが来客を知らせる音を奏でた。
恐らく本日最後であろう客。その客を笑顔で迎える。

「――いらっしゃい。今日は遅いね?あんまり食べるもの、残ってないよ?」

店員は余った魚の切れ端を皿に乗せ、運び、提供する。
その客は瞬く間に、魚の切れ端をがつがつと平らげた。
そして一言だけを残し、代金も払わずにそそくさと退店するのだが…店員は怒りもせず終始笑顔だった。
店員はその最後の客を名残惜しそうに見送ると、店の閉めた。

「はぁ…疲れた、もう寝る、寝ちゃう。」

ちょっとだけ機嫌が良くなっていた店員。きっとあの客に癒されたのだろう。
ほんの少し、些細な事。それが明日の活力になる。



ここは貧民区に存在するとあるバー、名前はマスカレード。カウンター席は6、テーブル席は1という、大層こぢんまりとした店だ。
料理の味はそこそこ、酒の質もそこそこ。

明日のメニューはきっと、シーフードだろう。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からリタさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」にロビーさんが現れました。
ロビー > 月明かりも届かない薄暗い貧民地区の路地の一つ。
そこを置かれた荷物にもぶつからずに器用に避けて歩く少年の姿。

庭と言って良い路地を進み、時折に足を止めては脇道や廃屋を覗き、そして進む。
何をしているかと言えば、酔いつぶれた酔っ払いや迷い込んだ迷子を見つけて財布を頂くか、送り届けて礼金を貰おうという魂胆。
それ以外の目的もありはするがそれはそれと…。

「今日はいないか…さすがにこの時期じゃな」

すっかりと寒くなった今の時期に路肩で酔いつぶれる奴はいないか。
そんな考えがふと頭に過ぎり、それでももしかすればいるかも。
そう考えて路地から路地へと渡り歩いて。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」からロビーさんが去りました。