2018/11/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にネコアシさんが現れました。
ネコアシ > カリ、コリ、カリ、カリ………

何かを齧る音、噛み砕く音、飲み込む音、小さい音だけれども常日頃の喧騒より幾分か幸せそうに鳴り響かせる音は砂糖菓子を食べる音

青赤黄紫と空に掛かる虹を想像させる数多の星型の甘味を今夜は手に持った小さな皮袋の中に、で、どうしてそんなモノを手に入れたかというと、貧民地区に迷い込んだネコを腹をすかせた浮浪者の鍋から救い出したからで、運がいい事にそのネコは金持ち貴族のペットだった様でお礼に幾らかの硬貨と子供と言う事でお菓子をもらった、と言うわけである。

んー甘い、何とも言えない幸せの味が噛み砕くたびに口の中を巡り、カリと噛み砕く心地良い感触に続くざらりとした触感が何とも言えない幸福で、フードで隠れた相貌がつい、ふにゃっと年相応の表情を浮べてしまうのであった。

「……日ごろの行いって奴かなぁ?……。」

夜の貧民地区の大通り、すえた香りと不幸話とどうやって他人の足を引っ張るかばっかりの界隈で一人幸せそうな顔をしていればどうしても周囲から妬みの視線はくるわけで、今夜はそれが心地良い淀に小さな幸せを色々な意味合いで噛み締めながら歩いているのだった。

たかだ砂糖菓子一袋、と言えどもどん底の人間たちには妬みの理由になるようで、殺気だってはいないけど、あまり良い空でもなかった。

今宵はそれに気がつけなくて……。

ネコアシ > さて周囲から向けられる眼が怖くなってきたので逃げようか。

負の感情を浴びる優越感よりも恐怖の方が増してくると、打てる一手は逃げの一手で、砂糖菓子の袋をキュと紐を引いて蓋をきつく絞ると懐に大事にしまいこみ、両手でぼろぼろのフードを改めて深く被り直して、自慢のネコアシをご覧あれと。

空気も揺らさず、臭いも薄めて、足音も無く、足跡も無く、でも時々口の中に残った砂糖菓子を齧る音だけを奏でながら少年は夜の貧民地区より隠れ家へと向うのであった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からネコアシさんが去りました。