2018/09/02 のログ
テリス > 「っと、すまねぇな。」

謝りながら、慌てた歩調で通りを去って行く…。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からテリスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にホウセンさんが現れました。
ホウセン > 久方振りに王都に戻ったのも束の間、彼是と面倒事に巻き込まれる気配がしないでもない。
所謂、”情勢”という代物を鑑みれば、致し方ない所ではあるのだろうけれど、不貞寝を決め込むのも出来ぬものだ。
特に、顔繋ぎという意味においては、この小さな存在自身が出向かねばならぬ事柄も間々あるが故に。

「はてさて、今日のところの仕事は終いじゃ。
 ゆるりと羽を伸ばしたい所じゃが…」

細い両腕を頭上に。
子供子供した体で、思いっきり伸び。
短時間で緊張と弛緩を与えて、お手軽なリフレッシュをすると、足の向かう先はどうしても賑わいの源泉へ。
何時もの装束よりは、聊か夏向きの軽装のせいで、足音はカラコロと五月蝿い。
とりあえずは腹ごしらえか、それとも”そういった”宿に転がり込むか。
治安の悪い貧民地区、それも夜間だというのに、足取りには緊張感の欠片も無い。

ホウセン > 繁華街が近くなれば近くなるだけ、通りを行き交う人間は増えてゆく。
整然と区画が切り分けられている平民地区や富裕地区とは異なり、まともな都市計画に基づいていないせいでメインストリートとて道幅はたかが知れており、実人数よりも雑多で混雑している印象となる。
立錐の余地が無いとまでには至らぬが、小走りに駆け抜けるには難儀する程度。
それは、この小さなシルエットとて同様。

「ふむ、ふむ、ふむ。
 善哉。」

その道すがら、露店で何かしらの肉を異国風の醤で漬けて焼いた串を購入し、行儀悪く歩きながら食す。
あらゆる欲を肯定する存在であるが故に健啖でもあるから、ちょっとしたおやつ程度の心地らしい。

ホウセン > 肉は、原価を鑑みるとそう高い物を用いることが出来ないという事情もあってか、やや硬い。
だが、味付けで旨みが十分以上に補充され、噛めば噛む程、次が欲しくなる味わいであるから、これはこれで正解だ。
単なる素材を串焼きにするだけではなく、醤に漬け込んだせいで表面がやや焦げ易くなっており、故に香ばしさも付加されている。
火加減を誤れば煙さと苦味が出てしまうが、その辺りは注意深く処理されているらしい。

「アレじゃな。
 こう、苦味の強い麦酒が欲しくなる味わいじゃて。」

決して、外見どおりのお子様が口にする筈も無い感想を漏らし、綺麗に平らげられた串を、手品が如く掌中から消す。
帯の締められた腹部をポンポンと叩くのは、腹の満たされ具合を確かめる所作。
足りない、が、路上で食べ歩きという心地でもない。
こうして貧民地区を訪れたそもそもの理由は、懇意にしている孤児院に顔を出したせい。
商いを手伝わせる人材を確保するべく繋ぎを作っている訳だが、如何にも子供というのは体力が無尽蔵な上、遠慮を知らない。
お陰様で、振り回しに振り回されてから幾許も過ぎておらず、少しばかり腰を落ち着けたいのだ。
道の端に寄って、辺りを見回す。
飯屋か連れ込み宿か娼館か思案のし所で、腕を組んで小さく唸る。

ホウセン > カラン、と音をさせる。

「こうしておっても埒が明かぬ。
 腹ごしらえを優先しておくかのぅ。」

そう結論付け、またコロンと。
下駄の歯が石畳を蹴る度に、独特の足音を伴いつつ、小さな妖仙は人混みに紛れ――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からホウセンさんが去りました。