2018/08/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/教会前」にエンデさんが現れました。
エンデ > 炊き出しも終わり、夜ともなれば起こることは決まっている。
祭の夜だ。存分に騒ぎ、祝い、狂うといい。
例えば、この貧民街の奥の教会で行われているのも、つまりはそういう祭の類だ。
地下に足を踏み入れれば、そこから漂うのも、聞こえるのも獣の香りで、匂いだ。
そんな、教会の表玄関の扉を開けて、黒い仮面の男は微かな足音と共に歩き出て来た。

「―――流石に助手が欲しいところだな。」

仮面の奥で響いたのは、そんな独り言。
獣のような欲動。それをぶつけられれば、人の身であれば傷つき、壊れる。
そんな修道女―――修道女だけかは知らないが――の治療に雇われた身。
それがひと段落して、小休止、というところ。
ゆっくりとした足取りと共に、入り口の階段の隅に腰を下ろす。

エンデ > 内側の饗宴と切り離されたような静かな夜。
その中に赤い十字の光が仮面に走るスリットから零れ、浮かび上がる。
その内側の表情も、感情も隠してしまうような色合い。
例えば“先生も楽しんでいってください”と笑った依頼人や
“助けてください”と懇願した中で犯されているだろう娘。
その、どちらにも感慨を見せなかった色合いの侭、今は夜を眺めている。

「休憩が終わったら、そうしてみるのも悪くはないかな。」

記憶に浮かんだどちらへの言葉か。
ぽつり、と思い出したことを口にした口調で声が仮面の奥に響く。
ぞわり――と、一瞬その影が歪んだように見えたのは月明かりの錯覚だろうか。