2018/07/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にシュライアさんが現れました。
シュライア > ある少年との会話を経て、やはりここを見に来なければならない、と脚を運んだ貴族騎士の少女
護衛を1人連れ、相変わらずの華美な鎧を付けて

「…。何度か足を運んではいますが、ここはやはり…」

確かににぎわう通りはあるものの、その通りから一つ外れれば…静寂が音を持つほど静かだ。
自分たちの足音が嫌に響く

「せめて、腐敗に対する威嚇程度になればいいのですが…。この剣がある以上、下手に普通の格好をしても、怪しまれますしね」

ええ、と応える護衛と共にゆっくりと歩き続ける
彼女が腰に佩いている剣は彼女に与えられた特別な一品であり手放しては意味が無い
一応他の武術も使えるとはいえ剣術が使えないのはもしもの時に心もとない

そう思いながらも、似つかわしくない服装で、見回りを続ける

シュライア > 「…と、あれは…」

目についたのは何かを持って走り去る男の姿。その後ろには泣き叫ぶ子供の姿
逆であれば先日の出来事ですね、なんて笑ってから、その姿が霞む

『へへ、うげっ!?、んだこの…っ!』

床が足甲の形に凹むほどの踏み込み。その力強さによって小さな体を弾丸のごとく前に打ち出し
逃げ切った、と思った男の襟首を片手でつかむ

「物盗りですか?いけませんね」

あくまでにこやかに、しかし…

『んだ、この!離せ!くそ、んで、俺の方がでけぇのに…!』

体格のいい男が暴れてもびくともせず、相手を掴み続ける膂力を見せ
ただ、物盗りなら相手に返せ、と目で訴えて

『バケモンか、こいつ…!離せ!この筋肉女!』

「!」

一人、取り残され、ようやく追いついた護衛があーあ、という顔になる
悪と認識した相手にそれを言われることは彼女の逆鱗に触れることだと知っているからだ

「…誰が、筋肉女でしょう、か!」

ひたすらににこやかに。相手を持ち上げ、地面にたたきつける
叩きつけられた男は、ぐえ、と奇妙な音を出して昏倒してしまって

「…。全く」

ふん、と鼻を鳴らしながら…男が子供から奪い取ったらしい何かの包みを、子供に返す
子供はぱあ、と顔を輝かせた後、駆け足でどこかへ向かっていった。どうやら、大切なものを取り返せたらしい、と彼女も笑顔になって

「…あなたはこの男を私の家まで。事情を聴いて、解決策があれば私個人のお金ならば使ってください。
私は、このまま見回りを続けます」

はい、と頷く護衛に引きずられ、男は自分の家へと
何故物取りなどしたのか、と詳しく聞けば…もしかすると何かこの状況を打開する案が浮かぶかもしれない、と…
正直、焼け石に水ではあるのだがやらないわけにはいかず。

ふぅ、と息を吐いた後、再び何事もなかったかのように歩き続ける…

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からシュライアさんが去りました。