2018/05/26 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にボブさんが現れました。
■ボブ > (昼下がりの貧民地区の大きな通りの左右に敷き物を敷いて様々に商売をする人が居る蚤の市。
そんな蚤の市を軽く覗くような感じで通りを歩いている褐色肌の男)
「なかなか名品って物はないんだが、掘り出し物ってヤツはこういう所に眠ってるもんなんだよな。
……ただ問題はこの俺自身にそれを見抜く目利きがあるかどうかって話だけなんだが」
(そんな独り言を口から漏らしながら、ウィンドウショッピング風に色んな商品を並べている店先を冷やかしていく男)
■ボブ > (蚤の市が開催されている通りをふらりと出歩いていれば、男が歩く先……10メートル先くらいにある路地に
4人の男に囲まれた1人の気弱そうな男が連れ込まれていく光景が目に入り)
「ん?……人が多く集まれば、ああいう輩も集まってくるか……
こういう場は見てて楽しいから、ああいう輩が出るからって開催を止められても困るしな」
(ため息を一つついていき、両手をズボンのポケットの中に突っ込んでいけば、男は4人のチンピラと1人の絡まれた者…
5人の男が曲がっていった路地へと歩き進み、その後を追う様に褐色肌の男も曲がっていく。
その後、少し経って路地の奥の方から打撃音や呻き声が湧き起こったが、蚤の市で賑わう通りの方で気付く者はいなかったとか……)
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からボブさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にリタさんが現れました。
■リタ > ここは貧民区に存在するバー、名前はマスカレード。カウンター席は6、テーブル席は1という、大層こぢんまりとした店だ。
料理の味はそこそこ、酒の質もそこそこ、お勧めは自家製ソーセージ、ザワークラウトと一般大衆向け。
開店直前のこの時間。店員は咥えタバコをしながら、入り口に置いてある看板に今日のオススメを書いていた。
鼻歌交じりなのはきっと、今日のソーセージが上手く作れたからなのだろう。
「――へへ…今日は一発で綺麗に書けた。きっと良い事あるぞ、うん。」
店員は作業を終えると手を白く汚したチョークの粉を濡れた手拭で綺麗に拭き取りながら星空を見上げる。
大きく背伸びをして肩を回し、首を鳴らし夜空にタバコの煙を昇らせる…紛うことなきおっさんである。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 一仕事を終え。さてさて、家に帰るか酒でも飲むかあるいは女でも買うか、と考えていた男。
ふらふらと目的無く歩いていれば、以前足を運んだ店が見えて。
「……よし。今日の予定決定」
行動指標を決めると、男はその店へと近づく。
遠くから見たときは、なにやら準備をしているな、と見えていたその店員の姿。
近づけば、タバコを味わっており。思わずため息が漏れた。
「おいおいリタちゃん。店の前で一服か?
ま、似合ってるし格好いいからいいと思うけどな」
リラックスターイム、とばかりに喫煙している相手に声をかける男。
そういう男も細巻を咥えているのだから人のことは言えない。
■リタ > 流れる雑踏を見ていると、色々な人物が店の前を過ぎていく。
仕事が終わり疲れきった顔をした人、千鳥足の人、叫び声に近い歓談を楽しんでいる人…
その中から一人の見知った男性が。
「まだ開店前だから。プライベートなので好きに吸わせて下さいな。」
で、今日はどうしたんです?暇そうな顔、してますよ?
ちなみに今日のオススメはこちら。」
にやにやと笑いながらの咥えタバコ。その状態で両手の平で看板を指す店員。
暇だったら寄って行け、と暗に訴えかけるその商魂は逞しい。
■セイン=ディバン > 貧民地区とはいえ、比較的治安のいいエリアや時間帯はある。
例えばちょうど、今男の歩いていたこの通りとか。
知り合いにして男の目的地の店員たる女性に声をかければ、なんとも。
よって行け、という雑な案内。
「お、開店前ってことはまたオープン一番乗りゲットか。
ま、プライベートなら問題ねぇわなぁ。
当然。寄らせてもらうさ。ちょうどここに来るつもりだったしな」
くすくすと、相手の態度に笑う男。こういう一面を隠さない相手というのは男にとっては好ましい相手だ。
下手な謀をしなくてすむから疲れなくていい。
男は看板を見つつ、おぉ、なんて呻き。
「いいねいいね、ソーセージ。じゃあリタちゃん、とりあえずモルトかウイスキーを適当に。あとソーセージもらいましょう?
……良ければ、一杯付き合ってほしいな」
おすすめメニューに喉を鳴らしつつ、注文しつつ店内へと向かう男。
更に、相手にも飲むのを付き合ってほしい、と言う。その声色は、少し真剣なものだった。
■リタ > 「まだ酒臭くなく、掃除したての店内ですよ。――あれ、そうだったんです?嬉しいな~。」
来るつもり、の彼の言葉に営業トークと営業スマイルを向ける店員。
そのまま扉の横に立ち、開き、掌を店内へと向けて軽く頭を下げる。
その仕草はまるで高級宿泊施設のドアボーイのよう。
「は~い、一名様ご案内~。よ、お客さん、モルトウイスキーなんて渋いですね~。
あ、灰皿いつものトコね?」
――吐く言葉はその辺に沢山居る場末の客引きだが。
彼が店内に入って行けば、灰皿を指し示しながら店員も店へ入り、カウンターの中へと戻って行く。
「残念、お仕事中だから飲みません。で、ソーセージは炒めます?ボイル?」
手拭を用意し、タバコを消しながらのその言葉。
そして酒の並んだ棚からウイスキーを手に取り、グラスと共に彼の前に置きつつ、水割り?と小首を傾げて。
■セイン=ディバン > 「おいおいおいおい、嬉しいな~、って部分に感情がこもってないぞ?」
露骨なセールストークとスマイルに、男も笑いながらそう言う。
とはいえ、この女性のそういう所を好ましく思っているので、男の文句もふざけた調子のものだ。
店内へと案内されれば、以前と同じくカウンター席へと座り。
「お、サンキューな。あ~。昔はウイスキー好きだったんだよ。
最近はめっきりエールか麦酒だけど。ほら、パンチと風味がいいじゃん? ウイスキー」
示された灰皿を指で引き寄せながら言う男。
カウンターの中へと入る女性を見つめる目は細まり。なんだかにやにやと笑っていた。
「おりょ、そいつぁ残念だ。リタちゃんの酔っ払うところが見たかったのに。
そりゃ決まってる。炒め、だ。あ、ロックで頼む。
水割り嫌いなんだよな」
飲むのを断られれば、残念そうな演技をする男。実は内心本気で残念がっているのだが。
ソーセージの調理法と、ウイスキーの飲み方を指定しつつ、灰皿に灰を落とし。
やはりにやにやと相手を見つめる。
■リタ > 「だって、セインさんもホントにウチが目的だったか怪しいんだもん。
暇潰し見つけた、って顔してましたよ?」
けらけらと笑いながらフライパンを温め始める店員。
そのまま保冷庫から氷を取り出し、大きめのピッチャーへざらざらと流し込む。
「ウイスキー、好きなお客さん多いんですよね。ウチでも一番人気。
カッコイイオジサマが好んで飲むイメージ、ありますよね。
あ、氷置いときます、自分で作って下さいね?」
無造作に氷で曇ったピッチャーが彼の前に置かれた。、
フライパンにソーセージを3本並べつつ、顎でピッチャーを指す店員。
明らかにカッコイイオジサマに対しての行動では無い。
「な~にその顔。カッコイイオジサマはそんな顔しませんよ?」
彼のにやにやをちらりと見つつ、ソーセージを炒め始める。
転がるソーセージが煙を立て、香ばしい香りを彼に届けるだろう。
■セイン=ディバン > 「あちゃ、目ざといなぁ。さすが敏腕狙撃手」
確かに、店と女性を見かけたから寄ろうと思っていた訳で。
最初の最初からここに来ようと思っていたわけではない。
そこを鋭く指摘され、男はまいったな、と頭をかく。
「ぶっちゃけ少量で酔えるしな。パンチにさえ耐えられりゃほぼほぼ味はハズレないし。
リタちゃん、それハズレ。かっこつけてるオヤジが飲む、が正解。
お、センキュ~」
本当の意味でウイスキーの味の良し悪しが分かるのは、かなりの酒通でないと難しいだろう。
男はなんともくだらない訂正をしつつ、相手からピッチャーを受け取り、ロックを作る。氷は二つ。男なりのこだわりであった。
「別にオレカッコイイオヤジじゃねぇもん。
いやぁ。リタちゃんみたいに美人な女性とトークできるのが嬉しくってね。
それに、リタちゃん特定のパートナーいる、って言ってたけどさ。
それと、割り切ったセックスとかは別物じゃん? ワンチャンあるかな、って」
香るソーセージの匂いに鼻の穴を膨らませつつ。
下心をまったく隠さない男。美人であれば、相手にパートナーがいようがお構いなし。
とりあえず口説いてみせます、というスタイルだ。
■リタ > 「あ~!成る程、カッコつけてるおじさんが飲む、すっごく納得!」
目から鱗がぽろりと落ちた。偏見なのは間違いないが、確かにそういう雰囲気を醸し出している客は多々居る。
あの人とか、あの人とか…店員の頭を通り抜ける常連の顔。
そして最後に…目の前の彼の顔。――店員は思わず噴出した。
「お世辞言われてもね~。彼氏持ちでしかも会ってまだ二度目、
貞操を気取ってる訳じゃないけど…。」
話しながらもソーセージは焼き上がり、プレートに並べられた。添えられるのは自慢のザワークラウト。
そのプレートを彼の前に置きながら話を続ける。
「――セインさんが、『あ~、この人とセックスできるな、いやむしろしてみたいな』
と思える人だったら考えてみますけど?」
にしし、と笑いながらとりあえずのワンチャンを潰しにかかる店員。
■セイン=ディバン > 「ま、本当に格好いい男も飲むことがあるから。
その辺の見極めは難しいがな」
納得したような様子の女性に、男はぴ、と人差し指を立てながらそう言う。
ただし、自分がその格好いい男、だなんては言わない。
例に漏れず。男も格好付けてる側の人間だ。
ぐい、とウイスキーを呷っていれば、女性になぜか笑われた。
「世辞じゃねぇって。オレぁ女に対して世辞言わねぇもん。
……うん?」
出てきた料理に、手を合わせいただきます。ソーセージとザワークラウト。それにウイスキーのコンビネーションを堪能しつつ。
相手の言葉を待っていたが。
「……まいった。そりゃあ、ムリっぽいかな。
ほらオレ、こんなんだから。ムードを引き立てる一言とか?
あふれ出る魅力とか? 持ってないし。まぁせいぜい……。
リタちゃんが味わったことない快楽を味あわせてあげられる、くらいしか売りがない」
もぐもぐ、と料理を食べつつそう言う男。無論、あきらめたというわけでもないのだが。
冗談半分本気半分での発言。男は、こういうときに相手をその気にさせる手段を持っていないのである。
せいぜいが、テクと性器のサイズ。あとはウソと隠し事をせずに、キミを抱きたいという気概くらい。
■リタ > 「でも、ウイスキーを飲んでるセインさんはカッコいいですよ?あ、お世辞でもなんでもなく。
スタイルに拘りを感じるし、似合ってるし、なんか…うん。」
こう、グラスを持つ筋張った手とか、強い酒を涼しい顔で飲んだ時の喉仏の動きとか。
目が彼の手や喉元を向いてしまうが、そんな事はちょっと口に出せない。
自分の作ったものをがつがつと食べてくれる彼にも男らしさを感じる。
それを誤魔化すように言葉を続ける店員。
「そもそも、もっと綺麗な人、沢山居るでしょ?セクシャルでこう…
ぼんきゅっぼんな人とか?セインさん好きそう。」
あふれ出る魅力が無いと零す彼だが実際そんな事は無い。理由は前述の通り。
女の視線と男の視線の違いなのだろうか…しかしそんな事も口には出せない。
更に誤魔化すように以下略。
「味わった事の無い快楽って…どんなのか全く想像できないな~。
私は別にそ~ゆ~の望んでないし…」
■セイン=ディバン > 「そりゃ嬉しいね。この歳になってもね。女性に格好いいって言われるのはいいもんだ。
男ってのは得てして、女性に振り回されたり、玩ばれたりしたがるもんだしね」
からん、と。グラスの中の氷が鳴るのを無視しつつ、酒を喉奥へと流し込む男。
この女性の作る料理は美味しい。実に酒に合う。名パートナーというやつで。
思わず酒も進もうというものだ。
「う~ん。キミ、何か勘違いしてないか? いや確かに俺は節操なしでスケベな男だけどさ。
もちろん、スタイル良い女性は好きさ。でもね。
今、この場にいる俺は。キミを抱きたい、って言ってるんだぜ?
他の女なんか今は関係なしに、さ」
相手の言葉に、ため息を吐く男。正直なところを口にすれば。
男自身がその気になっている場合、抱けるのならその女性に対して不満などは口にしない。
だが、だからと言ってその日その日の抱きたい女性のタイプというものが無いわけでもないのだ。
今この場では、目の前の女性を抱きたいと思っているのだから。
他の女性、特にスタイルのいい女性が現れたとしても、それはまったく関係のない話だ。
「まぁ、どういう物かにもよるよな。
延々、毒のように体を這い回る快楽もあれば。
重い一撃のように、ずぐん、と胎の奥に響く快楽もある。
望んでない、ね。じゃあ彼氏さんとの性生活は順調って訳だ」
ならまぁ、俺の出る幕はねぇかなぁ、と言いつつ。
男は相手に、麦酒を一杯注文する。
■リタ > 「振り回されたり、玩ばれたり…ね~。男の人って難しいね。
――あ、それだけで足りる?要るならまだ焼くけど…」
彼のグラスが空になれば、ウイスキーのボトルを手に取り酌をする店員。
どうやら話に入り込みすぎて、手酌を勧めた事はすっかり忘れてしまっている様子。
「…いや、ちょっと…セインさん、こう…ス、ストレート過ぎ?のような…
なんか………ハズい…」
耳まで赤くしてしまった店員は、超ド直球な彼の発言に言葉を詰まらせてしまった。
ここまで求められた事なんて一度たりとも無い。だからどう対応していいのか解らない。
「…順調っていうか…えっと…今はほとんど…その…無いし…
いや、でもほら、セックスだけがアレって訳でも無いし、ね?」
鈍った頭が赤裸々な告白を促してしまった。それにはたと気づき更に顔を赤くする店員。
いやもうなんていうか、何を言ってるんだろう私、そんなばつの悪そうな顔で目線をそらした。
■セイン=ディバン > 「難しいっつ~か、度し難いっつ~か、アホっつ~か?
女性が男性を理解するのは難しいし、男性が女性を理解するのも難しいわな。
あぁいや、とりあえずはメシはいいや。このソーセージ、旨すぎるから。
酒が入らなくなりそうだ」
はふん、と鼻から息を吐きつつ、酒を注いでもらえばありがとう、と言う男。
追加のソーセージに関しては、まず一旦遠慮した。
さすがにお勧めだけあって美味しいのだが。このままでは飲みにきたのではなく食事にきた形になってしまう。
「ん? いやぁ。ストレートに言わないと伝わらない、って。
この2年くらいで痛感した。大事なことは真っ直ぐ伝えるようにしてるんだ」
じゃないと、零れ落ちるし取りこぼすからね、と笑う男。
相手がなぜか赤面しているのを見て、おや、と男は目を丸くする。
「そちゃあもったいないなぁ。リタちゃんみたいな美人がご無沙汰なんて。気持ちいいのは大事だぜ。
もちろん、信頼できる相手と致すのが一番だろうけどな。
……そうだな。例えば……」
どうしたことか。ずいぶんとガードの下がる相手に、男は飄々と答える。
ここでがっつくほど阿呆でもない。少なくとも、無理やりは嫌いだし、相手から許可も出ていないのだから。
だが、男は相手が目線を反らすと同時に、相手の手を握る。
いわゆる恋人同士がするように。相手の右手に、自分の左手を。指を絡ませながら握り。
「例えば。こういう風に、手と手を触れ合わせる……とか?」
それまでのにやけ面はどこへやら。男は真剣な面持ちで相手を見る。
するり、と。絡ませた指を滑らせ。しかして手に力は入れない。
相手が拒絶すれば、すぐにでも解ける程度の力加減だ。
■リタ > 彼の注文した麦酒は彼の元に届けられなかった。
そればかりかソーセージは要らないと告げる彼の元にソーセージが運ばれる。それも大量に。
すっかり頭の中がどこかに素っ飛んでいる店員は、彼の一挙一動が気になりながらも、それを見ることが出来ずにいる。
「うん、そ、そうだよね、信頼できる人じゃないとやっぱり、ほら、なんていうか…」
彼の言葉が助け舟になったとばかりに慌てて言葉を吐く店員。
しかしその店員の言葉は続かない。
「――…~~~~~~ッ!?」
彼の手が店員の手に絡む。彼の指が自分の指を挟み、擦り、撫で、甘やかす。
それは店員の性感をかなり擽っていた。
その絡み合う指から目を離せなくなっており、手を隠す事すら出来なくなっている。
「…え…ぁ…く、くすぐったい、ので…その、えと…止めてくれませんか…」
どんどん小さくなっていく声。最後の拒絶の声は吐く息の方が多く、囁きにも近いものになっていた。
■セイン=ディバン > 「うおおおおおいなにやってくれやがってんのキミ」
どご~ん、と登場したソーセージに不満の声を棒読みで再生するが。
その声も相手に届いているかどうか。
まぁ出てきたものは仕方ないし、美味しいものは嫌いではない男。
もっしょもっしょとソーセージを食しつつ、ウイスキーを飲む。
うん。やっぱり合う。この組み合わせは良いものだ、と舌鼓。
「まぁなぁ。俺ぁ、だれかれ構わず、っていうエッチな人も好きだけど。
身持ち硬い女性も好きだぜ。どっちにも、それぞれの良さがある」
自身の経験などを思い出しつつ、相手の言葉に頷く男。
ガードの固さは、男にとって好む好まないの材料になりえない。
ガードの固い相手を崩すのも好きだし、ガードをしないような女性を抱くのも好きなのだ。
「……手。すべすべだな、リタちゃん」
触れたその肌の感触に、男がぽつり、とつぶやく。
少なくとも、凄腕の狙撃手とは思えない。
可憐で、小さな手だ。そのまま相手が呟くを聞けば。
「そりゃあゴメンよ。つい、な。可愛い子には手を出したくなる。
俺の悪い癖だ。すまんすまん。……ふふっ。
例えばさ。セックスでなくとも……そうだなぁ。
俺の手とか、舌だけでも試してみる?」
相手の言葉に従い、ゆっくりと手を引く男。
くすくすと笑う、にやけモードにもどりつつも。いきなり不躾なことをしたのに関しては謝罪する男。
しかし、再度ウイスキーを飲み干しながら言う次の一言は。
本気か否か、判断に難しい表情と声色。
真面目といえば真面目なのだが。内容がずいぶんと突拍子もないからからかっているのかとも取れるだろう。
■リタ > 大量に出してしまったソーセージに気づいた店員。しかし何故それが彼の目の前にあるのか解らない。
彼が何故それを食べているのかも解らない。ザワークラウトを添え忘れているのは、彼にとって幸運だっただろう。
今の店員ならそれこそ大量に置かれるだろうから。
そんな店員の頭の中では、
「いや、何感謝してるのそこて手を引くべきだろう」派の店員と、
「わ、手褒められた、初めて?うわ超嬉しい」派の店員が頭の中で絶賛討論中。
「…そんなことないです、水仕事多いし…でもその…ありがと…」
後者が勝ったらしい。
そのまま手を引く彼にはなんともいえない照れ、はにかんだ顔を晒してしまう。
「え、手とか?…舌…舌?え、舌って何舌で何試すのどう試すのどこに試すの…」
歪んだ口元が思考を駄々漏れにさせていた。
彼がウイスキーを飲んでいる最中もぶつぶつと言葉を続けている店員。
すっかり酒の肴状態である。
■セイン=ディバン > 「……げふ」
ひたすらに。懸命に。ソーセージと戦う男。
味は文句なしなのだが量が多い。これは、粒マスタードが、ほしいな、と思いつつ。
相手がなにやら大混乱中なのをにやにやと見て笑いたい、のだけれども。
ソーセージを食すのにわりと一生懸命。
「だからこそ、さ。水仕事多いのに、手、キレイだし。
……そういう、はにかむ姿も可愛い」
厨房に立つ以上、手が荒れたりするのはつきものだろうけど。
男が触れた相手の手は、そんなことなくて。
ずいぶんと歳の離れているであろう相手はからかいがいもあるし……本気になるにも、面白い相手だ。
「んげ、っふ~。あ~、腹くっちぃ……。
ん? 何って……なんだろうね?」
ウイスキーを飲み干し、ソーセージを完食する男。
腹をさすりながら苦しい、と言うも。相手の呟きを耳聡く聞けば。
まるで女性がするかのように。自身の口の左右に人差し指と中指を沿え。
ちろり、と。長い舌を見せ付ける。
■リタ > あれよあれよと無くなっていくプレートの上のソーセージ。
プレートの上が綺麗になろうとも、店員はそれを見ていなかった。
先程まで触られていた、カウンターの上に置いてある自分の手に視線を落したまま。
「…いや、褒められても…だからその…」
やだな、言う相手を間違えてますよ。
はいはい、ありがとう。
そんないつも言っている簡単な言葉が出てこない。
店員の掌、その指同士は重ねられ、カウンターの上でもじもじと蠢いており、
視線は自分の掌と彼の顔をいったりきたりしている。
「な、何してんですかッ…?…セインさん、なんかやらしいよ…」
彼の見せ付けるような仕草が、舌の動きが目に入れば思わず声を出してしまう。
単に舌を見せ付けられただけなのにやらしいと感じてしまう辺りどうかとも思うが。