2018/05/02 のログ
フラニエータ > 「…そんな事、当たり前過ぎて面白くもなんともないわ…」

声すらかけられてもいないのになんたる言い草。
この店に居る客相手に良い女を演じなくていい、そう考えた女は容赦なかった。
自分に向けられる他の男性客からの視線に薄く笑顔を返しながらも、

「…5点…かしら…貴女から見て、彼は何点?」

男らしいとも言えず、体格も良くない。顔はまあまあだが少し頼りなさげ。
女はそんな男性客に聞こえない声、彼女にはばっちり聞こえる声で辛辣な言葉を口から漏らす。

ヴィルヘルミーナ > 「おおう、これは恐れ入った。」

口があんぐりと開きそうになる蛮族。
トンでもない切れ味のナイフを触っているようだ。
触れれば店中の者を傷つけそうな。

「それは何点満点だ? 
俺から見たらか…そうだな、俺は可愛らしいのが好みだから
そもそも対象外なのだが。 敢えて点を付けるなら50点位か。」

蛮族が一般的な男性につける点数=平均点を口にする。

「ちなみにあんたの点数は100点満点で80点位かな。
口を開く前なら問答無用の100点だったんだがな。」

フラニエータ > 「貴女の様な子が口説かれたら、どんな反応するのか…そっちの方が愉しそう…フフ…」

下卑た笑いも隠しもせず、何点満点の言葉には「千」とだけ呟き…女はワインをくい、と傾けて。
要は女にとっても対象外なのだ。

「あら、ありがとう…高い点数ね…でも私、可愛らしく無いわよ?」

こちらをちらちら見ている男性客、その視線に手を振りながらの言葉は本気で喜んでいる節は無い。
他愛の無い話の一つとして軽く耳に入れているだけ、そんな素振りを見せながら、もう一度ワインを一口。

ヴィルヘルミーナ > 「俺か? 口説いてこられることが基本的にないからなあ。
多分顔に汗を浮かべてあたふたするんじゃないか?」

空になったので、追加の酒を店員に頼む蛮族。
満点の高さに目を丸くする。

「いやあ、可愛らしいとは思うのだがなあ。
その表向きの所だけ見ていれば俺も彼のようになっているかもな。」

気があることが分かっている相手に手を振る様に蛮族は肩が落ちる。
男は相手もその気があるのだろうかと露骨に視線を送る。
これ以上煽れば恐らく女に声をかけにくるだろう。

「…ところで、俺は何点だ?」

酔っ払いの蛮族は命知らずなチャレンジをすることに。

フラニエータ > 「あら、とっても可愛いわよ?本当なら、ね…?」

彼女が酒を頼むと同時に己も酒、そして肴にレーズンを頼む。
そしてそのレーズンを一つ摘むと、見せ付ける様に舌の上に乗せ、ゆっくりと咀嚼する。

「…80点から100点に戻させるのも愉しいわよ?満点を超えさせるのも悪くないわ…
――貴女の点数?」

彼女からの質問には人差し指を顎に当て、小首を傾げて考えて見せる。

「…敢えて点を付けるなら50点位…」

女が一般的な女性につける点数、つまり当たり障りの無い点数。彼女の先程の言葉を借りてそう答える。
そして更に言葉を続けた。

「…口説かれると顔に汗を浮かべてあたふたする貴女なら、80点かしら、ね?」

くすくすと笑いながらもからかっている様な口調。
そもそも興味がなければ話していない。こちらに視線を送る男性客の様な応対をするだけだ。

ヴィルヘルミーナ > 「まあ、今日試すことは難しいだろう。
この場は俺以外綺麗な女だらけだ。」

運ばれてきたブランデーのグラスを転がし、口に入れる。
レーズンを色気十分で食べる姿に蛮族は体が熱くなる。

「そうだな。 今の仕草で簡単に100点になったな。
毒のあるところもまたそそる。」

さて、己の点数は何点が下されるか。
蛮族はグラスを握る手に汗が浮かぶ。

「どこかで聴いたセリフだな。」

力なく笑う蛮族。
取りつく島もないかと思っていたが、続く言葉に唇を尖らせる。

「見せる場面がないのが問題だな。
…おい、ついにこっちに来たぞ。
ちゃんと責任取ってやれよ。」

純朴な青年はついに心を決めたようだ。
こちらを真っ直ぐ見据えてはやってくる。

数秒後には女に声をかけるはず。

フラニエータ > 「…あら、まだ100点?満点を超えるかと思ったのだけれど…残念だわ。」

いけしゃあしゃあとそんな事を宣いながら、女はもう一つレーズンを摘む。
そして摘んだレーズンを唇付近へと運び、軽くキスをした後に舌先でレーズンを巻きつけるように口腔へと運ぶ。

そんな扇情的な仕草を彼女に見せ付けていると、例の男性客がこちらに歩み寄ってきた。

「…何か用?私、彼女と話しているの…声をかけてくれたのは彼女の方が先…惜しかったわね?」

男性客が口を開く間を与えずに、即断る情け容赦無い女。
責任、取ったわよ?と小首を傾げて彼女に下卑た笑顔を向ける辺り、本当に底意地が悪い。

ヴィルヘルミーナ > 「その強烈な毒の分を差っ引いて100点だぞ?
自分でもだいぶ加点していると思ったのだが。」

いつしか蛮族の酒が止まる。
女がレーズンで遊ぶ様子を食い入るようにじっと見つめている。
遠くから見つめている彼並みに取り込まれてきていた。
恐ろしいことに、蛮族にはその自覚すらなかった。

「確かにな。 ちゃんと責任を取ってやったな。」

希望を打ち砕かれた男は哀愁の漂う背を向け、力なく店を去っていく。
己も迂闊に声をかけたら彼と同じ状況になっていただろうと思うとぶるっと震えた。

「…はぁ。」

溜息を吐く蛮族。
すっかり心を乱してしまっている。

フラニエータ > カウンターに肘を突いて頬杖をしながら、男性客を軽くあしらう女。
無視するかのように彼女に話を振っていく。

「そろそろ毒も心地よくなって来たんじゃないかしら?…クク…
――あら、お酒、止まってるわよ?もう飲まないの?」

彼女の手の中にあるブランデーの入ったグラス。
それをそっと引き抜き奪うと、女はそのまま己の口元へと運びブランデーを口にする。

「おいし…」

そしてそれを彼女の手の中へ戻すと、またレーズンを一つ摘んで。
それを口の中に放り込みながら、店を出て行く男性客に視線を向けず、手をひらひらと振った。
一応別れの挨拶らしいが、まったく関心の無い相手には本当に辛辣だ。

「…どうしたの?私と一緒は…詰まらないかしら…?」

女は彼女のため息を聞くと頬杖のまま、ずい、と彼女に顔を近づけ、小首を傾げてみせる。

ヴィルヘルミーナ > 「酒はもう止めておく、ちょっと毒が体に回り過ぎてな。」

普段ならグラスを奪われることもなければ、まだまだ酒も飲めるはず。
蛮族は自覚している通り、隣に座る彼女の毒で身体が固くなっていた。

関節キスなどどうと言うことはないはずなのに、彼女が飲んだ跡をちらちらと
見つめてしまう。

ツレない対応をされた男が去っていく所ただ茫然と見送るだけであった。

「いや、刺激的過ぎてな。
寧ろ気の休まる時がまるでない。」

女の顔が近付くと、慌てて距離を開ける。
熱くもないのに、何故か顔には汗が滲んでいた。

フラニエータ > 己の飲んだ後をちらちらと見る彼女。それを気づいた女は満足そうににやりと笑みを浮かべた。
慌てて距離を開ける彼女もとても可愛らしく見えたのか、女は更に嗤う。

「…――今の貴女なら90点、かしら…ね?…クク…」

開けられた距離を縮めるかのように、女は半身を彼女に向け、一度舌なめずり。
そしてその手を伸ばすと、彼女の額へと掌を運んだ。

「顔、赤いわよ?…汗もかいて…熱でもあるのかしら…」

白々しくも心配をする振りをしながら、女は少し腰を浮かして彼女の方へと体を傾ける。

ヴィルヘルミーナ > グラスを食い入るように眺めていた。
まるでとてつもないお宝でも手にしたかのように。
隣でそんなことをしていれば、当然相手の視界には入るはずなのにそんなことも気付かない。

「おいおい、俺をからかうなよ。」

急に点数が増えていた。
蛮族は自分が何をしているのか客観的に見れていない。
舌が一瞬見えると、熱っぽい瞳でそれを追いかける。

掌が触れた額は汗と熱を放っていて。

生唾を飲み込む蛮族。
汗ばんだ両手で、彼女の身体を抱きしめようとしている。

フラニエータ > 彼女が動転しているのが判った女は更に追い討ちをかける。
さも熱に戸惑う彼女を心配しているかのように身を乗り出して、幼子を撫でるように額に触れ続ける。

「…ね、『俺』じゃなくて…『私』って言ってみて?…そうしたら貴女の点数、もっと増えると思うわよ?」

女の手を濡らす彼女の汗。女は手を滑らせると、その汗を広げるかのように頬へと運んだ。
そして軟く頬を撫でながら、時折指を曲げ、爪で頬を掻き擽る。
彼女の両手が己に伸びてくるのが見えれば、女はその行為を肯定するような、慈母の微笑を彼女に向け。

「…今の私、何点かしら…?」

と囁きを落とした。

ヴィルヘルミーナ > 「わ、私…か?」

獣のような生き方を好んできた蛮族にはとって、今日の様に翻弄される体験はあまりなく。
額や頬に手が触れると、それを目線でおいかけるも、言われるままに私と口走る。

頬に痛みが走り、困惑気味の蛮族。
手を引き離すことは簡単なのだが、何故か出来ない。

「そうだな、200点位だろうか。
俺…いや、私の点数はどれくらいだ。」

まともな判断が出来なくなりつつあった。
満点を大幅に超える点数を口にだし、両手で彼女の背中を落ち着かない様子で触りまくる。
耳元では荒い息を吐き出して。

フラニエータ > 己が掻いた頬を今度は優しく撫で上げる。言葉通りに私と口にした彼女を褒めるように、優しくたおやかに。

「貴女は95点かしら…ほぉら…もう少しよ…頑張って…?」

クスクスと笑いながら周囲に目をやると、全ての客が扇情的な二人の行為をちらちらと見ていた。
女は荒い息を吐き続ける彼女に向けて、

「見て…?可愛い貴女にみぃんな…釘付け…もっと可愛い貴女を見せてあげたら?」

頬を撫でている手を耳へと滑らせ、耳朶を軟く擽りながらの女の言葉。

ヴィルヘルミーナ > 頬を撫でられると、うっとりとした表情の蛮族。
今だけは歳よりも幼く見えてしまうだろう。

「いや、別にその点でお、私は満足なのだが。」

彼女の視線が向かった先に眼を向ける。
先程までめいめいに楽しんでいたはずの客たちがこちらを見ているではないか。

顔を真っ赤にした蛮族は立ち上がり、両手を振る。

「何見てんだ。 見世物じゃねえぞ。」

まだ視線を感じる気もするが、とりあえずは一旦散らすことに成功する。

「俺はあんたが見てくれてればそれで良かったんだ。
周りに見せてやる必要はないだろう。」

氷の解けてしまったブランデーを一気に飲み干してしまう。
すっかり温くなっていたが、蛮族は普段のペースを取り戻す。

フラニエータ > 気分を害したのか、それとも恥ずかしくなったのか、突如立ち上がる彼女。
女はそんな彼女を見ながら、クスクスと笑い続けていた。
そして女も立ち上がると、彼女の頬をもう一度撫でやりながら言葉を落とす。

「…じゃ、私だけに見せてくれる?今以上に可愛い可愛い貴女を…」

その言葉の後に女はワインとレーズンの代金をカウンターへ乱暴に置いた。
そしてそのまま酒場の入り口へと向かっていった。
扉を開け、一度振り返り彼女に妖艶な微笑みを向けて軽く手招きをする。
その口元は微かに動いていて、「おいで」と囁いているようだった。

ヴィルヘルミーナ > 「あ、あぁ…。」

立ち上がった勢いで振り払う、なんてことは出来ず飲まれっぱなしの蛮族。
応えにならない答えを口にしてはコクンと首を縦に振る。

酒代を店員に渡してから、妖しい笑みを見せる女の元へふらふらと吸い寄せられるように歩く蛮族。

その晩は生娘の様に大人しく、初々しい姿を曝け出したことだろう。
ただし、そのことは二人のみの秘め事で。。。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からヴィルヘルミーナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からフラニエータさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場『オ・ルヴォワール』」にエンジェルさんが現れました。
エンジェル > 今日もまた店の前では大男が元気いっぱい殴り合いをしている。
だが、そんな大暴れの音も聞こえないほど店内は騒々しく喧騒に包まれている。
怒号、罵声、ジョッキがテーブルへと叩きつけられる音、そして、ヒートアップした荒くれ者が殴り合う為に店から出ていく。
もう夜半も過ぎたというのに元気なものだ。

「あー……くっそがぁ……。」

そして、行儀悪くカウンターの上に白い足を投げ出し背の高い椅子に浅く腰掛けた人物が一人。
それはあまりにもこの場に不釣合いな金髪の少女。
カウンターに立つマスターから顔が見えないほど仰け反った少女は乱雑にまとめた輝くような金色の髪を床に広げ、文字通り浴びるようにジョッキを傾ける。
店の常連には天使ちゃんと呼ばれる少女はその場に置いて異質な存在感を放ち、しかしながら周りの誰もが気にせず店の空気に自然と溶け込んでいる。

「だからよー、マスター。聞いてっかー?」

一体何度目か、同じ話題を繰り返す少女からマスターは見えず、相槌も打ってくれない彼が話を聞いているかどうかわからない。
もっとも、少女にとっては聞いていようが聞いていまいがどっちでもいいのだろう。