2018/03/12 のログ
■カーレル > 何に使うんだこんなもの…と、並べられた見慣れない薬草に手を伸ばそうとすれば、
奥からこちらへ戻ってくる人の気配
さっ、と手を引っ込めて戻ってきた店主に視線を向け、差し出されたメモ書きを受け取る
そのメモ書きの内容を見れば、やはり顔を顰めるようにして
「…えげつな…流石に出処までは判らんか…」
内容を頭に記憶すれば傍にあった蝋燭の炎にかざしメモ書きを燃やしてしまう
とある薬に関して調べていたのだが、まあ、あまり進展は無かったように思える
ありがとよ、と店主に声をかければ次は材料の入手先を探ってみるか、と天幕を後にするのだった
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からカーレルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にハティさんが現れました。
■ハティ > ――今日も一日何とか生き延びた。この国、この地区に逃げ込んで数日は経過しただろうか。
貧民地区に無数に点在する廃屋の一つ。目を覚ませば反射的に周囲を警戒するように見渡す。
…気を張り詰めすぎだとは分かっているが。逃亡者で元・奴隷の実験体という出自なら警戒したくもなる。
「……やっと自由になれたのにな」
逃げ続ける、怯え続ける生活は辛い。辛いが我慢するしかない。これでも我慢強いとは思っている。
脱げていたフードを被り直し一息。そろそろ空腹が厳しいがいきなり誰かを襲う訳にもいかない。
「……そういえば、俺もう人間じゃなくなってるんだっけ」
首元に付けられっぱなしの壊れかけの首輪に触れる。人体実験の記憶は鮮明にあるが思い出したくは無い。
ただ、人から別のモノに作り変えられる恐怖と苦痛はある種のトラウマだ。
■ハティ > 「……腹減ったなぁ」
逃亡してこの国に逃げ延びてからこっち、まともな食事をしていない。
…いや、違った。人間の食事はもう栄養補給の意味を成さず、ただの嗜好品と同義なのだ。
「……精気を吸収…だっけ。誰かを襲う度胸なんて俺には無いよ…。」
弱気な声が漏れる。元がただの人間でしかも奴隷だったのだから無理も無いが。
ただ、このままだと衰弱していずれ死んでしまう。折角自由を手に入れた意味が無くなる。
それに、まだ人間としての感覚が強い…つまり、作り変えられた肉体に精神が追い付いていない。
「……魔族…魔族…か。違和感は感じるけど」
己の体を見下ろす。発育は良いとはいえない小柄な体躯。この貧相な肉体の何処が魔族なのか。
せめて、こう肉体的にもう少しガッチリしたものにしてくれなかったものだろうか。あれだけ散々人の体を弄繰り回しておいて。
■ハティ > 「……なったものはしょうがない。しょうがないんだけど…。」
人間としての感覚が残りすぎていて、魔族としての肉体や魔力の扱いがさっぱり分からない。
何か手頃な武器になりそうな物を持っている訳ではないし、そもそも技能が皆無だ。
奴隷だった時の方がマシ、とまでは行かないが…自身の無能無力さに少し泣きたくなる。
「…やっぱり金銭を稼いで、それで食べ物を…あ、いやこの場合どうするんだろ。娼館?」
精気が食事に切り替わったとすると、そうするしかない気もするがまずお金を稼ぐという難題が持ち上がる。
「……生きるって難しい」
我ながら何を口にしてるのだろうとは思うけど。食事もそうだが、この肉体の違和感には早めに慣れないといけない気がする。
今の自分に何が出来て何が出来ないのか。その把握すら覚束ないのだ。
■ハティ > 「…魔族になったって事は、魔術とかも使える……筈なんだけど」
何となく右手をモソモソと外套の下から出して伸ばす。詠唱とかサッパリ分からないからイメージで。
手からこう、何かが出ると想像する。何かは何かだ。…瞬間――少年の方が後ろに吹っ飛んだ。
「……いってぇ!?」
何で自分が吹っ飛んだのか。いや、むしろ本当に何か起きたのか。サッパリ分からない。
廃屋の壁に盛大に背中を打ち付けてしまい、軽く摩りながら身を起こす。
今現在も、少年の混沌とした魔力は垂れ流しになっているのだが、それの軽い暴発…とまで、少年が思い至る筈も無く。
「…よし、今のは止めよう。何か俺の身が逆に危ない気がしてきた」
臆病で慎重な所もあるのが今回は幸いした。不用意に変な事はしない方が良いと学べた。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にハティさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にハティさんが現れました。
■ハティ > 「…うん、痛覚はまともなんだな」
よく分からない肉体だなぁ、と思いつつ、ずり落ちたフードを被り直し、外套をスッポリと羽織り直す。
かなり派手な音が出た気がするが、ならず者などに気付かれていないかが心配だ。
こっそりと廃屋の出入り口から僅かに顔を出して周囲を見渡す……一先ず大丈夫そうだ。あくまで少年の感覚ではだが。
「…取り敢えず、最低限生きていくにしても問題が多いよなぁ」
拠点が貧民地区、という時点で問題も何も無いが…正直、この街で何かツテがある訳でもなく。
自分みたいな無能に近い者でもそれなりに働ける場所などがあれば、と思う。
犯罪に手を染める覚悟は少年にはまだ無い。いよいよとなったら分からないが。
■ハティ > 「人間には戻れないだろうし、魔族の生き方なんて分からないし…何だろうなぁ」
中途半端さ、というか上手く言えないがどっち付かずな気分に沈みそうになる。
軽く頭を振る。自分を否定したら重症だ。少なくとも自由になった分、以前よりマシなのだから。
「けど、本当に食事の問題が大きいな…女の人から精気を吸収って難易度高くないか?」
奴隷人生と人体実験、あとは戯れにある程度の読み書きを叩き込まれたくらいでまともに女性経験も無い。
そんな初心者も初心者が、他人から精気を貰えたりするものだろうか?
「…せめて普通の食事で空腹を満たせればいいんだけどなぁ」
魔族はそもそも人の食べ物で空腹を満たせるものなのか?そこもよく知らないが。
■ハティ > 「……まぁ、死なないように頑張ろう」
自由を手にしても生きるので精一杯。底辺万歳、と少し投げやりに軽く両手をバンザイしてみる。
気分が沈んでも現状が変わる事なんて無いし、どうにかこうにかやっていくしかない。
前向きになるには悲観的だが、後ろ向きになるほど暗い訳でもないのだし。
それに、空元気でもこのまま腐っているよりは少しはマシだろうさ、と少年は思う。
「まずは、底辺から這い上がらないとなぁ。」
自分の無力さ、拙さの自覚は十分にある訳で。一先ず立ち上がる。先ほどぶつけた体の痛みはもう無い。
取り敢えず、危険だがこの地区に来てまだ日が浅いし周囲の地理の把握は大事だ。
廃屋の出入り口まで歩いていけば、改めて周囲を伺ってから夜の闇に一歩踏み出す。…フと空を見上げた。月は生憎とよく見えなかった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からハティさんが去りました。