2017/06/06 のログ
■ホウセン > 買取は、このような遊戯の場でも、或いは戦場でも時折行っている。
そうして集めた金銭は、貯蔵庫として使っている”帳”の一つに集積されて。
長い時間を閲している間、ちょくちょくと買い集めているせいで、ちょっとした財宝庫と化している。
ともすれば、商いを行っている運転資金の総額と比肩するかも知れぬ程に。
人間一人分の”恨み”なんて、きっと強い魔力を有する存在相手には、知覚されるかも分からない程度の重みしかない。
然し、それが堆く積み上げられて山を為している程ともなれば、妖仙の秘蔵する”呪い”の総量は如何ばかりか。
「さて、今宵の実入りは如何かのう。
春先の陽気に浮かれておったうつけ共の”恨み”。
精々、この儂が有効活用してやらねばのぅ。」
両手を和服の袂に入れて、咥え煙管のまま薄っぺらくなだらかな肩で風を切る。
傍目には、どうしてもお子様が格好をつけているようにしか見えないだろうが。
背後に紫煙を細く棚引かせながら、子供子供している妖仙の姿は、街の闇の中に消えて――
ご案内:「王都貧民地区 ”嘆きの回廊”」からホウセンさんが去りました。