2017/06/04 のログ
ジュウザ >  それはもう、まったく思いもかけぬことだ。わざわざ売りに立たずとも、こう話しやすい上に器量もよいし。まして、呟いたのは商売に成功した仲間へ向けたものだっただろうか?だとすれば気立ての良さもよく知れる。あえて売りに立たずとも寄ってくる男に困りはすまい。それに何より……からかいの中で一瞬だけ姿を見せたその気配。顔つきの堅い男の喉仏がゴクリと動く。気安い仕事仲間と感じていたところで不意に現れた、血肉を備えた女の魅惑――抗いがたい。

「であれば商売抜きの日にするべきだった。」

 さりとて目の前に広がるこの薄暗がりが、大人しく売り買いのみを隠してくれているうちはよい。しかしいつなんどき用心棒の手を煩わせることになるとも知れぬ。横目にちらり、彼女を見て、

「どうも貴公は仕事を放り出して色に耽けるとも見えん。」

 まったく、商売抜きの日に声をかけるべきだった……僅かな悔恨を込めた苦笑いと共に。

レヴィ > 丁度暗がりに消えた娼婦が顔見知りだっただけによかったとその姿を見送り、パッと見えたが客の方も無茶を言う男ではなかったはずと。
揶揄った男の様子を見れば喉が動くのが見え成功と人懐っこい笑みを浮かべ。

「もしかして今日が仕事で後悔ッスか?確かに良い子は今日は多いッスね」

視線を大通りに戻せば今日はどちらかと言えば古株よりも新人と言って若い娘が多いだけにそっちに目移りがしたのかと男を横目に見て。

「この仕事は中抜け自由ッスよ。休憩中に娼婦を買ってる護衛もいるッスから。
それで報酬と飛ばすのも偶にいるッスね」

もしかしてシたくなったッス?と男に視線を戻して笑いかけ。
その苦笑いをする顔を見て。

ジュウザ >  これは綺麗に謀られた男の顔つきに苦みが射す。生身の欲を煽った艶めかしさはいずこに失せたか、笑う相手に向けた顔つきは苦り切ったもの。ついでに、指摘されたその「もしかして」が見事に的中するものだからますます目が苦く、しかし相手の目が通りに移れどこちらは相手の顔に目を留めたままだ。

「中抜け自由とは呆れたものだが。」

 口ぶりはどこか上の空のよう。ひたと相手を見据えたまま――振り解かれただろうか。その腕を掴む。

「俺も呆れた者の一人になるとしよう。……商売の女ではないぞ。口説くなら火をつけた者を口説く。」

 これで口説いているつもりなのやら、低くぶっきらぼうな声音だ。されどその底に燻っていたものについた火を湛え、黒く細い両の目に確かな情欲の光を湛えて、顔をグイと寄せて――もし、腕を掴んでいるなら。

「厭わんか。」

レヴィ > こうして慣れないこの場での護衛の新人を揶揄うのはやめれないと楽しそうに笑みを向け、苦り切った顔にそこまでだったと不思議そうに見てしまう。
この場に初めて来た護衛のほとんどは娼婦たちの笑みや姿に我慢しきれない者も多いだけに山勘で告げただけというのもあるのだが。

「日が昇るまでの仕事ッスよ。仮眠をとるのに抜けるのもいるッス。
適度に気を抜いて休まないと身体が持たないッスから」

中抜けの理由、欲以外の理由も告げれ男を見れば腕を掴まれて見下ろし。

「初めて来たのなら仕方ないっす。何度もだと困るッスが最初は多めに見るッスよ。
私のおすすめの子は……私ッスか?」

それならどの子が良いかと考えるがまさかの告げられた言葉に見返し、その眼に情欲の光を見て取り。
掴まれたままの腕を引かれて引き寄せられ顔を近づき。

「仕方ないッスね。今日は特別ッスよ?」

そう言い先ほどとは違う笑みを浮かべて。

ジュウザ >  その山勘が見事に的中していること、間近に灯った情欲の光と、すらりと伸びる腕を掴んだ掌に籠める力強さと、それに……中抜けの理由についてはもう、まったくの上の空で聞いているやらいないやら。ただ、我が身に燻る熾火に火をつけた、その人の目のみを見る。

「されば、参るぞ。」

 熱の籠る言葉を終えるやいなや体を引き寄せ、蠱惑的に笑うその唇を、やや乱暴に奪う。それきり一言も発さず仕事をすっかり放りだし、絡み合う男女の影となって暗がりへと……

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からジュウザさんが去りました。
レヴィ > もしかして小商揶揄い過ぎたかもと目に宿る情欲の光を見ればやってしまったと。
これは他に対する言訳はどうしようと考える間も、伝える間もないだろうと。

「そ、そうッスね。いくッスか」

返すが早いか唇を奪われ目を閉じる。そしてそのままに暗がりへと…

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からレヴィさんが去りました。