2017/04/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にノエル・ベネトーさんが現れました。
ノエル・ベネトー > 人通りの少ない場所にぽつんと残された物置小屋。
無人の廃屋――のはずだが、木板を重ね合わせただけのような粗末な小屋から一瞬、光が漏れる。
寂しい場所にそぐわぬ煌びやかで新たな生命でも生まれたかのような神々しい光であったが、次の瞬間小さく

ぽんっ!

と音を立て、消えた光の代わりに灰色がかった煙が漏れた。

「けふっ…!!ぐ、ごほ、…っ、…!」

耐えきれず、半ば壊れている戸を開けて、中から這いずるようにして出てきたのは煤けたエルフ。
ワンピースの裾が一部、焦げている。

「あ~…苦しかったあ。
 変ですねえ…本に書いてあるとおり詠唱したのに。」

煙にやられて滲む涙を袖で拭いつつ、小屋の中で焦げた何かを眺める。
自衛の力を養えば、きっともっと広い世界を見にいけるだろうと魔術本片手に
練習を始めたはいいが、注意力散漫な性格のせいか魔力もおとなしくしてくれない。
居候している家を壊すのは忍びないのでここを選んだが、そうしてよかったと思う成果であった。

まだ小屋の場所を知らせるかのように細い煙が夜空に立ち上っている。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にエズラさんが現れました。
エズラ > 貧民街の一角にある娼館――と呼ぶには少々みすぼらしい建物から、男が一人歩み出る。女を買った帰り――というわけではない。時折人手が足りなくなった時に、用心棒めいたことをしているのである。交代要員が到着したので、今日はこれでお役御免。

「やれやれ……たまんねぇな、ったく……――」

男達が女を見繕う場所で突っ立っていたので、体中に安物の香水の匂いが染みついてしまっている。辟易しながら歩いていると――

「……なんだっ……――」

光と、爆発(?)音――近い。咳き込む声が聞こえて、立ち上る煙を頼りに、ともかくそちらへ駆け出すと――

「おっ……の、ノエルちゃんか?」

煤けた様子のエルフを発見、側に寄り――怪我したのか!?と少し慌てた様子でしゃがみ込む――

ノエル・ベネトー > 心配して駆け寄ってきてくれる、いつも優しい男性は
少し狼狽しているというのに、当人は相変わらずののんびり具合。
彼を見上げた顔、頬も少し汚れてはいるが、怪我という怪我はない。
ただ、突如現れた見知った貌にまばたきし―――次いで、にこぉ、と微笑む。

「エズラさあん。
 大丈夫です。ちょっと、あの…焦げたものはありますけど…。」

壊れかけていた小屋がさらに崩壊しそうになっている。
その中では、何かしら対象物があったようだが真っ黒で見る影もない。
そんな失敗に照れ隠しで口ごもりつつ、立ち上がろうとするのだが。

「…あと、少し驚いて逃げようとしたので右足挫いちゃったみたい…。」

立ち上がれないほどではないが、事後報告。

エズラ > 「あーあー、煤けちまってったく……一体何やってたんだよ、こんなとこで……――」

崩れ落ちそうな小屋に目をやると、小規模とはいえ間違いなく爆発の痕跡が。足を挫いたと聞いて、「つかまんな」と手をさしのべる。

「魔法薬の調合でもしてたのか――?エルフって、そういうの得意なんだと思ってたぜ。」

くすくす、と少しばかりからかい調子で笑みを浮かべつつ、内心大した怪我を負っていなかったことが分かって安堵している――

ノエル・ベネトー > いつもなら素直にその手に掴まれるのに、失敗の結果だと思うと
本当に本当に恥ずかしくて、申し訳なくて、伸ばした手が一瞬ためらうけれど、
一拍遅れたくらいですぐに彼の手を握るのは甘えた性格が治らないから。
笑われると尚更、彼の顔をまっすぐ見られず、視線を落とし気味に。

「一応…対象の人を驚かせられるくらいの攻撃魔法を試してみたんです。
 そういうの、できるようになったら1人で船に乗ってみたり、
 もっと遠くに出掛けられるようになるんじゃないかと…思いまして。」

広い世界を見ることは夢である。
ここに来て、その一片は叶ったけれど、欲望というのはキリがないようだ。
ぽつり話しながらふと、煙の匂いが途切れた頃に気づく。

「エズラさん、甘い匂いします。」

自然な匂いではない。
挫いた足をやや庇いながら、顔を彼の肩辺りに寄せてすんすん、犬のように嗅ぐ。

エズラ > 「アー……なるほど、そういうことだったのか。」

攻撃魔法、とは――普段のほほんとした彼女を見ているので、即座に結びつかなかった。しかし、好奇心旺盛だということは理解していたつもりだったが――あまりにしょんぼりしてしまったので、二の句を告げないで居ると――

「おおっ……ん?ああ、そうだったそうだった――丁度仕事帰りなんだよ、今――」

すんすんと匂いを嗅がれるままに、「妖しいお店の用心棒さ」などとうそぶいて――ふと、ぽん、と手を打つ。

「オレも、この匂い落としてぇと思ってたとこなんだ――ノエルちゃんも煤けちまってるし、折角だ――さっぱりしに行こうぜ。」

ムフ、と笑みを浮かべ、お誘いを。

ノエル・ベネトー > 「きっと女の人の匂いなんでしょうねえ。
 わたしも男の人に生まれていれば、毎日通いたいところです…。」

仕事だと言われているのに、まるで彼も毎日通っているかのような言い方した。
そして性別が違ったなら、かなり自堕落な生活になりそうな一言まで。

「このまま帰ったらお家焦げ臭くなりそうですもんねえ。
 さっぱりしましょー。」

服も焦げているのでその点もどうにかしないといけない気はするけれど。
いろいろ隠さない彼の笑顔に煤けた顔で笑い合い、彼の手を支えにひょこり、歩き始め。

エズラ > 「今日は用心棒だっつーの……って、ほ、本気かよ……――」

時々、ビックリするようなことを、いつもと同じ調子で口にするものだから――とはいえ、なるほど、その意見には首肯せざるをえないのであった。

「……ま、そんじゃ行くとすっか!あ、そーだ――」

ふと、相手の足に思い至って。す、とその場にしゃがみ込んで、背中を向ける。

「乗んなよ、歩きは辛いだろ――」

目的地まで、おぶっていく算段である。相手がそれに賛同したなら、そのままのっしのっしと足取りも軽く、歩き出すのであった――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からエズラさんが去りました。
ノエル・ベネトー > 今日“は”の辺りが正直者だ。

「わたしが男性に生まれる世界なら、エズラさんは女性に生まれてくださいね。」

空恐ろしいこと笑い声混じりにお願いしつつ、向けられた背中に目を丸くする。
広くて、鍛えられていることがよくわかる頼り甲斐のある背中。

「わたし、重いですよ。…きっと他の方より。」

細身の女性よりだいぶ。
おずおずと言いつつも、甘えたはここでも治らないということで。
その背に身体を預けよう。

最初こそ遠慮がちにしていたが、歩くうちに足をバタつかせてはしゃいでみたり、
きっと小うるさい感じで道中移動していくことに―――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からノエル・ベネトーさんが去りました。