2016/12/18 のログ
ホウセン > 好色妖仙の心算は、街娼を見繕って買い、何処ぞの安宿で一晩過ごそうというものだったけれども、幾許かの軌道修正を余儀なくされそうな気配。当初予定に拘泥する性質ではないから落胆の色は薄いものの、なだらかな肩を落とすぐらいの事はしよう。今いる者から妥協して見繕えばよかろうものを、其処ばかりは譲れないとする、何処にファールラインがあるのか分からぬ拘りは、歳を重ねても変わらぬ性分らしい。道の端に寄り、煙管入れを取り出しては、銀と黒漆の煙管を咥える。細やかな彫り物の装飾が施されたそれ一本で、きっと此処いらの住人の一月分の収入に届こうかという逸品だ。口寂しいものの紫煙を燻らせる気分ではないという中途半端な具合で、咥えた煙管の先をピョコピョコと上下に揺らしながら、腕組み。

「致し方あるまい。少しばかり河岸を変えるしかなさそうじゃ…が…?」

目ぼしい所では、満足できそうな女はいないようだと見切りをつけ、手近な娼宿に飛び込みを繰り返そうかと思い立った矢先の出来事。明らかに柄が悪い――言い換えれば、この辺りでよく目にする――男達が、どうやら己の方を指差して、何事か謀議の真っ最中。

「何ぞ、新装開店した店に、金払いの良い固定客をと、接待の打ち合わせでもしておってくれると心が弾むのじゃがなぁ。」

自分でも正解率が低過ぎる程に低いと判じている可能性を、願望の薄皮に包んで舌に載せる。どうせ無聊だ。彼らが何を目論んでいようが、多少の事ならば付き合ってやろうという鷹揚な心地で、煙管の火皿に煙草を詰め、燐寸で着火する。息を吸い込むと赤々と火が滾り、口内と肺腑に満ちた煙を、緩々と吐き出す。

ご案内:「王都 貧民地区」にハルクラム=メイプルさんが現れました。
ハルクラム=メイプル > 先程に会って分かれた頑固な傭兵を思いながらも、今日の客は手に入れなければと思っていたハルクラムに、ふと黒髪の、自分と同じくらいの少年が視線を通った。うまい妖術だと、彼女は思いつつも子供に話しかけるような優しい口調で、尋ねた。「ねえ、そこの少年さあ、おなかすいてないかなぁ?ちょっとあたいがいいめし処知ってるからぁ、行ってみない?」
ホウセン > 表面上は、危機感薄く。その実、内面でも危機感皆無で、少し先の四つ角の辺りで相談事に勤しんでいる彼らの存在を気にも留めぬ素振り。細い体躯と併せて、絶好のカモ以外の何物でもない、腑抜けた面を晒して見せるけれども、さぁ、愉しめる余興を提示せよと口角を吊り上げる。ジリ…と、彼らがこちらに向けて足を踏み出したのを、黒い目の端で捕らえる。さて、如何な切り口で難癖をつけてくるかと興味を向けているところで、脇あいから掛けられた素っ頓狂な台詞。

「ぬ。………小童か。生憎と腹は満ちておる。」

周辺の動向に気付いていないのか、気付いているけれども取り合わぬ性分なのか分からぬけれど、きっと、そのどちらかなのだろう。夜半の貧民街にそぐわないという意味では、似たり寄ったりの発言者へ視線をスライドさせる。値踏み。そして、嘆息。自分が子供の姿形をしているくせに、少女の姿を見て童女趣味は無いと、一刀両断。

「ま、お主の意図はよく分からぬが、この辺りはあまり小娘が一人で出歩く所ではない。切迫した事柄がないのであれば、家に帰って褥に潜り込んでいた方が良かろう。」

ゆるりと力を抜いて、上から目線で諭す口調。闖入者の存在は、不穏な気配を漂わせていた男達の算段を狂わせたようで、気が付いたら彼らの姿は霧消していた。

ハルクラム=メイプル > なた何とも、少女風情には務まらないだろうとばかりに罵られたハルクラム。でも何だか助けたのかどうかわからないけど周りの怪しい男たちは消えていた。しかしそれにしても、この邪仙であれ自分、ハルクラムの妖力の恐ろしさには気づいていない模様。果たして、この少年紛いの男はどれほどの精気をくださるのか、舌なめずりしながら表情はすっとぼけた顔でいた。 「あららあ・・これは、二人きりになったの・・・ 腹は満ちてるのねぇ。うん・・・、じゃあ今度は、欲を満たす?」(二回連続で幼女お帰り下さいはやめてねぇ。。。) 軽い口調で聞いてみたが、このときハルクラム自身も彼の事は会って感じてばかりで深くは知らない。
ホウセン > パッチリとした目を半目に。咥えた煙管の先も、心なしか角度を下げる。総じて脱力したという具合で、ゆるっと首を横に振る。気力を立て直すのに、数秒。外に出していた小さな手を着物の袂に引っ込めた。

「いいや、不要じゃ。そも、お主では儂の趣味に合わぬ。幼げな小娘には食指は動かぬのでな。」

目の前の少女が娼婦であろうとも、妖仙の嗜好とは合わぬと端的に告げる。売り込み先を間違えておるのではないかと指摘しつつ、道の端を離れる。雪駄をペタペタと鳴らしながら、歩みを再開し――

「相手の好ましいものを見極めてから、誘いを掛けた方が成功率も上がろうというものじゃ。精進するが良い。」

少女が何者か知らぬが、アドバイスめいたものを零し、貧民街の目抜き通りを奥へと進む。煙管から立ち上る紫煙を棚引かせながら、小柄な人影はやがて見えなくなる筈で…

ご案内:「王都 貧民地区」からホウセンさんが去りました。
ハルクラム=メイプル > 「ふえん・・・お母様・・・どうすればあたいも立派な娼女になれるのかなぁ・・・」結局夜は殆ど半ば更けていた。彼女はまたあるき続ける。
ご案内:「王都 貧民地区」からハルクラム=メイプルさんが去りました。