2016/11/17 のログ
スヴェン > 貧民街傍の安酒屋で飲んだ帰り
隊の宿舎へ帰ろうと歩きだせば、小さな背中が廃屋や空家を覗こうとしながら歩くのを見かける
自分もその昔、このあたりで浮浪児をしていたから、事情は何となく判るが夜はたいてい、行く宛のない
子供はグループ毎まとまって眠り、余程の事がない限りは出歩かない
夜道は単純にやばい。酔っ払いや衛兵辺りならなんて事はないが、武器の試し斬りを行う貴族の子弟や、
もっとヤバくなると奴隷狩りなどが闊歩する。

酒のせいもあったかもしれないが白い髪をした後ろ姿が余計にかつての自分とダブって見えた…
舌打ちを1つすれば、そっと人影に気取られない距離を保ち、そっと後をつける
小さな人影が立ち止まり、瓦礫を積み上げ始めれば、足を止めてその背中をジ、と眺める

「…ねぐら作ってんのかアレ…」

しばらく眺めていたが忌々しげに髪を掻きながら物陰から出ればとうとう、声を掛ける

「…おい、そんなとこで寝てたら攫われるか病気で死ぬか…ロクな事にはならないぞ」

ずかずかずか、と人影に歩み寄っていく

シャルレ > 背伸びをして、上のほうのカーテンの布きれを取ろうとしてたとき
後ろから声がかかれば、びくっと服の下で尻尾も膨れる

「ひにゃ!!」

驚きに声をあげて、恐る恐る後ろへと振り返る
フードをかぶったまま少しだけ目元をあげて
隙間からこぼれた白髪が風に揺れながら

「だって…外じゃ寒いし…」

物騒な言葉をかけられたけど、第三者の危害がくることなんて考えてもなかった
今夜の寝床つくりだけに集中してたから、片手にはどこかのハギレ
もう片手に先ほどのカーテンの布を掴んだままで

スヴェン > 近づけば丸みを帯びた身体のラインにもしや…と確信には至らないが、女なのではという予感はしていた
彼女に近づき人影の姿がはっきりと見えれば、腰部の辺りが僅かに動くさまに、ミレー族?と首を傾げたりもし

「女か…よくこの辺りを1人でうろうろ出来てたな」

女は大抵、奴隷狩り経由で娼館、よくて慰み者である
男は余程、運が良くなければやせ細って死んでいくか、グループ毎、盗賊の類になったり…
どちらにしろ、ロクな未来は待っていない

「寒いのも判るし、行く宛が無いんだろう事も予想がつくけどな…女のガキ1人でこの辺りウロウロするのは危ねえ」

どこから来たんだ?だの、他に仲間はいないのか?だの、矢継ぎ早に質問をぶつけていく
その吐息はやや酒臭かったかもしれない

シャルレ > 寝床を作るには人の姿のほうが、手が使えるし便利だからと
思ってしてたのがバレて

フードの下で耳もペタンと伏せて
いろいろ質問されては

言葉にどもり、全てにハキハキ答えられず

「あ、あの…」

質問に応えようとして早口になったり、表情でもオロオロするように焦ってしまったり

国外の遠方よりきたこと、仲間はいないこと、この街にアテがあってきたわけでもないこと
見た目には人の娘の姿だけど猫のときに毛並みの手入れは欠かさないから
そこまで、顔も体も汚れてないつもりだけど

「おにいさん、酔っ払いさん?」

話しかけてくれるだけに、お酒の匂いがする
酔って声をかけてくれてるのかと、それでも気にかけてもらえたことは嬉しく
お酒の匂いに顔をしかめるどころか、少し嬉しそうに表情もほころばせて

スヴェン > 一方的に質問をぶつけていく
彼女に質問の答えを紡がせるスキすら与えていなかったかもしれないが、酔っぱらいなんて大概こんなもんである
それでも、彼女がオロオロとする様にようやく気がつけば、ふう、と息を吐いて彼女の言葉を聞く構え

彼女の言葉を聞けば聞くほどに、よくもまあ、奴隷狩りに拐われる事も、アレな趣味の貴族に拉致られる事も、
厄介な病気に掛かったりすることもなく今日まで生きてこられたもんだ、とげっそりした様子で肩を落とす

「…あ゛?うるせえよ、人の心配より自分の心配しろ」

それほど寄っている、という訳ではない。丁度よく酒が身体を巡り、心地よい、といった程度である
それでも、明日をも知れぬ浮浪児如きに心配されるとは…と妙なスイッチが入ってしまったようであった
腕を伸ばせば、フードを被った彼女の頭をぺちぺちぺち、と緩い力で叩こうと

「声が掛からない時は酒のんでクダ巻くのが傭兵の仕事みたいなもんなの」

判んねえだろうな、とかいいつつ、彼女の表情が緩めば、なんだよ?と首を傾げる

シャルレ > 「そんなに危ないとこなの?知らなかった」

外から入って間もなくのこと、見てるだけで建物の違いはわかってたけど
ほとんど猫姿で移動してたから、初めて聞くような話も不思議そうに聞こえてしまう

金色の瞳を丸くまたたかせながら額あたりを軽く叩かれると
頭が前後に軽く揺れるけど、そんな触れ合いも楽しいようで

「う、うゆ……じゃあ、おにーさんお仕事中ね」

言葉をそのまま受け取って、感心したり笑ったりと表情はコロコロかわって

スヴェン > 「知らなけりゃこんな時間に1人でウロウロはしないだろうな」

猫の姿に変じることが出来る…なんて夢にも思わず、当然、今目の前にいる背格好、姿で歩いていたと
思っているから幸運な娘だな、と呆れ半分、感心半分に思っていたりする

後ろ姿に過去の自分を重ねはしたが、正面から見ればかつての自分とは全く違う
ここいら辺りの浮浪児たちは大抵、眼をギラつかせているがそういう感じでもない
瞬く金色の瞳をじ、と眺めながら、ぺちぺちと小突く手は彼女が止めてくれ、とは言わないから止めはしない

「…冗談だったんだけどな。帰るところだ…」

更にはスレてもいない
これはどこか、純粋培養されたお嬢様か何かなのだろうか?ここいらのガキとは少々毛色が違う
遠い所より来た、と聞いたがどういう手順を踏んでここまでやってきたのだろう…、考えれば考えるほど首を捻る

シャルレ > 「うー…ゆー…ぁぁあぁあぁぁ」

額から頭が揺れる、けっこう長く
声をあげても揺れるから抑揚がついて面白い声になってしまうけど

金色の瞳もフードから溢れる白髪もユラユラしてると視界にうつる相手も揺れてる
さすがに、ペチペチも長くなってくると

両手に持ってた布をおとして、両手でその手を掴もうと持ち上げながら

「帰るとこ?じゃお家まで気をつけてね、私も続きしないと」

スヴェン > 「うわ、なんだコイツ面白え」

くわんくわん、妙な声を上げるものだから面白がってやっぱり頭を揺らすのを止めない
楽しげにしばらく彼女の頭を揺らし腕を掴もうと伸びてきた指先を巧みにかわすも満足すれば彼女の手に捕まってやる

「だから、1人で寝るのは危ねえんだって」

判ってる?お兄さんの言う事わかる?怖いおじさんがいっぱい捕まえに来るわけ、とか
傍にあった棒で床に何やら書きながらもう一度説明する。暗いし、下手だしできっと何の絵なのかは判らないだろうが

「…お前さ、何なら出来る?例えば掃除とか、皿洗いとかさ?料理なんかは?」

シャルレ > 「ぅ、あーん…」

手を伸ばしても身長差もあり、よけられても頭が揺れる
眉をよせて、拗ねるようにして、ようやく腕を捕まえたら
得意げに笑って

「1人だめ?じゃあお兄さんここで寝る?一緒に?」

首を右にかしげたり、左にかしげたり
疑問はいろいろ

「できること?お掃除・お使い・お皿あらうのもしたことある」

指を曲げながらできることが多いと、ここでも得意げにして
地面の絵は暗くてわからないから、しゃがんで指でいたずらがきを付け足したりして

スヴェン > 「えっ、嫌だよ。散々、昔、隙間風の吹く硬い床で寝たし…俺は帰ってきれいなシーツのベッドで寝るよ」

得意気に笑う彼女とは逆に、一緒に寝るか?と問われれば真顔でブンブンと顔を横に振る
こんな所で眠らなくても隊の使っている宿に戻ればベッドも暖炉もあるのだ
彼女の出来るらしい事をふんふん、と頷きながら聞き届ければ思案顔…
隊の小間使いだった少年が1人、先日、支援隊から戦闘部隊に加わり手が足りないと言うほどではないが、
楽な仕事、彼女が熟せそうな仕事が無いこともない…
それに、今、部隊は丁度仕事もなく、隊の連中はダラダラと隊舎で過ごしているから、
隊舎は汚れ、荒む一方である…

「そんじゃあ、しばらく俺らのヤサで仕事するか?メシとベッド位は用意してやる」

その程度であったら問題はないし、仮に彼女がフッと消えてしまってもどうせ、大した損害もない
酔った勢いやかつての自分と重ねた結果、そんな提案をしてみるのだ
我ながら甘いことだな、と苦笑を浮かべつつもどうする?と首を傾げた

シャルレ > 「1人で寝るなっていったり、一緒は嫌っていったり…」

眉をよせて不満げな顔を浮かべて、何やら思案してる顔をじーっと眺めてた
提案される言葉に、最初何をいってるのかわからず

「ん?ヤサって何?」

寝床とゴハンのお誘いなんとも豪華なことに
金色の瞳が余計キラキラ光りながら見上げて

「私できるお仕事したらいいの?」

料理は屋敷の料理人がつくってたので、自分は知らずのこと
それ以外は、掃除、洗濯、お使い、買い物などは教えられてたからできる範囲
答えを待ってくれてる様子に、頷き返して

スヴェン > 「説明が面倒だなあ、おい…」

眉がより眉間に皺が寄ったのを見れば、またぐわんぐわんしてやろうか?という気配で彼女の頭に腕を寄せる
…という振りも思案顔になれば腕を組んでしまったから、結局、彼女の頭が揺れることはなかったのだが

「…家、っていうか、なんだろうな?俺だけじゃなくて他にも一杯、お兄さんだの、おば…お姉さんだの、
ミレー族だの、巨人っぽいのだのが寝泊まりしてる場所…」

自分の率いている隊は人種や生まれに関わりなく人材を募っていたからいわば、混成軍みたいなものである
ミレー族の中でも少数部族が神に祈りを捧げる儀式をする脇で、経験な元神父が同じように祈りを捧げていたりもする

「そういう事。ただ、働かねーヤツに食わすメシはねえ…あと、あと隊のもんは亜人だろうが、魔族だろうが、
贔屓も差別も許さねえ…あと、人の趣味に文句つけたやつは便所掃除…」

ほとほとカオスな部隊であるし、ケンカも耐えないのだが、不思議な事に戦場に立つと
互いに協力しあい、互いの背中を守り合うのだから不思議なもんである

「…まあ、1人の方が楽なら、しばらく働いてみて出てってくれても痛くも痒くもねえし?」

好きにしてくれたらいい、と最後に付け足して首を傾げた

シャルレ > 「人いっぱいいるとこ…」

相手からの説明を聞きながら種族もいろいろいるということは
安心できそうな部分もあり、
それでも暖かい寝床とゴハンには心揺れて

「いく…」

手を延ばし、相手の袖でもつかもうとしながらも
小さくあくびを落とす。寝床を探し周りに疲れてたのか
寝床にありつけるという安心から欠伸が出てしまったようで

スヴェン > 「一杯いるぞ、怖いのもいるが、まあ食われたりはしねえよ……――ちゃぁんと…仕事してるうちはな」

最後のは冗談。自分も昔、似たようなことを言われてビクッと驚いたことだし、通過儀礼のようなもんである
彼女が腕を伸ばしてくれば、そうか、と頷き欠伸を零すさまを見れば笑顔を浮かべた

「…そうか、そんなら連れてってやる。今日は帰って身体綺麗にしたらさっさと寝てしまえ。
明日から、みっちり働いてもらうからな?」

しょうがないな、と彼女に背を向ければほれ、と彼女を背中に促す。隊舎まで背負って行ってやろうとする

シャルレ > 「…怖いのもいる?叩いたりする?」

思わず怖がるように不安げに見つめる
想像するのは、すごく怖いものが頭の中に湧いて出た

「明日からがんばる」

伸ばした手は、そのまま背中をむけてくる相手の肩へ
言葉そのままに、よじ登るようにして背中に体をくっつけるようにして
背負われてく、背中の暖かいのと、酒臭くとも人の匂いには安心するようで
隊舎に着く頃には、心地よい揺れに眠ってしまったのだろうけど

スヴェン > 「…金にもならねえのに叩いたりしない。そういうんは幾らでも戦場できるからなあ」

暴力的なヤツは大概が嫌われて隊を去ってしまう
彼女の不安そうな表情を見れば勝手に1人、満足げな様子だった。過去の自分もこんな顔したに違いない

するり、と彼女が背中に乗ればゆっくりと立ち上がりぽつぽつとゆっくりした速度で歩き出す
思った通り、彼女は軽く、しっかり食ってたんかねえ…?なんて思ったりしながら大通りへ出て…
隊舎につけば部下に誂われたり、男達と一部お姉さん達が彼女の寝顔に眼を光らせる
散れ散れ、と寄ってくる部下たちを散らしてそっと彼女を、清潔なシーツとベッドに横たえて
自分も部屋に戻り床についたのだろう…
―――その日は、自分が同じように拾われてきた日の夢を見たような気がした

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からシャルレさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からスヴェンさんが去りました。