2016/10/08 のログ
カリギラ > 「あぁ…疲れた。日頃からきちんと掃除しておけば苦労しないのに」

貧民地区のとある宿屋の掃除を終え今日はかなり疲れ気味
普段掃除はしていないのか積もり積もった汚れや染みを全部片付けるのは魔法を使ってもかなり疲れてしまった
後は帰ってゆっくり休むだけ、愛しのベッドが待っていると歩を進めると珍しいものを見つけた

「貴族…ですよね、多分そうだ」

ドレスに日傘、汚れのない肌に手元とあの豊満な身体
あの身体を維持し身に着けている物を揃えるの平民でも厳しいだろう
こんな場所で何をしているのか…まさか迷子の筈はないだろう

「うん、ないない」

付き人や護衛でも居るのだろうと解釈して視線を外す
こんな場所にあんな女性一人で放置なんてありえない

セラフィーナ > 空を飛べば一発で自分の今いる位置が分かる所か、家に帰る事だって容易い。
が、生憎と羽を使わずに飛ぶ方法は今の己には無い。
流石に、羽を出している所を誰かに目撃されるのはまずい。

「ううん……?」

そうして見渡した周囲は、矢張り見覚えがない。
少し離れた方向から賑やかしい音が聞こえてくるのは分かるのだけれど。
きょろきょろと視線を動かしていればふと見つけた人影。
困り顔がぱあっと分かりやすく明るくなれば、迷いなく、相手の方へと歩みを進めて。

「あのう、…ちょっとよろしいかしら?」

にっこり、愛想の良いスマイルである。

カリギラ > 「っ…」

目が合った、それだけならよかったのだが彼女はその瞬間花が咲いた様に笑顔を浮かべた
疲れ切った体に鞭打って何とか逃げようとするが一歩遅い
完全にこちらに狙いをつけて進んできている…無視して逃げるのはあまりよろしくないだろう

「えっと…私ですか?」

分かってはいるけれども一応確認
とてもいい笑顔だ、可愛らしいともいえる
完璧すぎる貴族らしい笑顔に苦笑を浮かべ

「しがない便利屋な私ですが、何か御用でございますか?」

一度頭を下げる
貴族ではないかもしれないが貴族と想定して礼を払っておく
ここでやっと彼女が迷子だったのだと確信した

セラフィーナ > 私ですか、の声に笑顔のままこくこくと何度か頭を縦に揺らす。
今の己は面倒事だろう事は百も承知だ。
つまり、彼の表情に浮かんだ苦味など知らぬ顔。

「便利屋さん。―――だったら、きっと地理には詳しいわよね。」

独り言めいて紡いでは、相も変わらず崩れの無い笑顔の儘ゆるりと小首を傾げ、

「ここってどこら辺か教えて欲しいのだけれど。」

取りあえずは軽いジャブからである。

カリギラ > 「え、えぇまぁそれなりに」

地理を最初に聞いてきた時点で迷子で確定である
富裕地区のお嬢様が家を抜け出して~が妥当な線だろうか
よく何のトラブルもなくここまでこれたなと思える

「ここは貧民地区、この王都で最も危険で治安の悪い場所ですよ」

案内を申し出るまではせず聞かれたことにだけ答える
……どうやら迷子であり護衛もついていないと判断したのは自分だけではないらしい
自分と彼女に少しずつ近付く者がちらほら

セラフィーナ > 相手の言葉に満足そうに眦が弛んだ。
矢張り、自分の目の付け所は間違っていなかったらしい。
然し、相手の返答を聞けば笑みに細まっていた眼が大きく開く。

「―――ええ?……あ、ああー……、」

やっちゃった、と思わず小さな声で呟いたのはきっと目の前の彼にしか聞こえない声量だろう。
先程までの自信満々っぷりが少しずつ、少しずつ消沈し始める。
ここまで何事もなく迷子を堪能出来たのは、治安が悪い場所だと知らぬが故の怯え知らずの様子が、ならず者達に付き人がいないとは思わせなかったからだ。
此方へと向けられる視線が先までの種類と異なり始めたのを覚えれば、一瞬視線を泳がせた後、再び相手へと視線を合わせ。

「えっと、…そのですね、申し訳ないんですけれどもうちょっと安全な場所までの道を教えてもらえたら嬉しいなって…、」

さっきまでの淑女風の喋りも引っ込んで思わず素である。

カリギラ > 「えっと、どうかしましたか?」

やっちゃった?何か彼女はやらかしたのだろうか?
未知のトラブルほど恐ろしい物はない、それにさっきまで元気だった彼女が段々と落ち込んできている
トラブルに巻き込まれない内に離れるべきか

「……それは案内をご所望で?それとも護衛も含めてでしょうか?」

安全な場所への道を教えるだけで離れればいいのだが…周りの何人かはもう彼女を獲物を見る目で見ている
迷子の貴族でそれもまだ若い女性。貧民地区では格好の獲物だろう
このまま道を教えて放置というのも気になるしどうせなら護衛料でも貰ってしまった方がいいかもしれないと判断する
その方が明日の食事が豪華にもなるのだし

「一応自衛手段は持っていますので、貴女の望む場所まで送り届けましょうか?もちろん、タダという訳にはいきませんが」

セラフィーナ > どうかしたかと言われれば、親の言いつけを破って事故とは言え行ってはいけない場所に来てしまったのだ。バレたらまずい。そして地理もまずい。
続けられた言葉には消沈した表情が幾らか元気を取り戻し。

「……護衛も含めてもらえると助かります。もちろん、報酬は――」

下手である。
今の自分にはこの場を上手く切り抜けられる手段が思いつかない。
ううん、と小さく唸った後、はっと気付いた様に顔を上げて。

「――あっ、でも前払い?って言うのかしら、それだと私、今何も持ってないから…、ええっと、」

衒いもなくどうしたら良いのだろう、と困り顔を浮かべる様は年相応のそれで。

カリギラ > 「なら、そういう事で。謹んで護衛を務めさせていただきます」

予想道理の答えに頷き了承する
報酬については今求める事はない

「えぇそれで結構。
後でお支払いいただければ大丈夫ですよ、今持ち合わせがないのは分かりましたので」

持ち合わせが有れば余計に敵が増えただけなので彼女の発言には助けられた
実際今の発言で目先の金目当ての数人がこちらに興味を失った

「では行きましょうか。できるだけ私から離れないでくださいね
あぁあと、私はカリギラと申します。カリでもギラでも好きに呼んでくださいませ」

簡単な自己紹介を終え彼女の隣を歩く
変に路地裏は使わず大きな通りを進んでいく
着いてくる者はまだ数人いるが大きな通りでいきなり仕掛けては来ないだろう
来ない筈だ……多分

セラフィーナ > 彼の台詞にほっと安堵の吐息が零れ落ちる。
それに、受ける視線の圧も心なしか減ったような気がする。が、ゼロにはならない辺り、まだまだ気は抜けないのだろう。

「はぁい。…それじゃあギラね。私はセラフィーナって言うの。」

好きに呼んで頂戴、と、ほんの少しだけ威勢を取り戻した少女は何処か得意げな様子で名乗り返した。
とは言え、完全に調子を取り戻した訳でもない。相手の傍、其れこそ半歩程も間を空けぬ距離を保って歩いて。
何分、未だついてきている輩がいるのだ。
それも隙あらば、と窺っているのは直接目視せずとも察せる。
気を紛らわすよう、そろりと青年の様相を窺いみようとでもするようにそのフード下へと視線をちらりと寄越し。

カリギラ > 「セラフィーナ様ですね、どうぞよろしく」

調子が戻って来たのかセラフィーナの口調も元に戻ってきた
このままセラフィーナと共に平民地区まで抜けられればいいのだが
地区の境目までに仕掛けてくるだろうと予想がつく
後方警戒の為フードの中を覗かれたのには気づいておらず平時より鋭い目をしていた

「…多分もう少ししたら道を塞がれます。ですが怖がらないで離れないでくださいね」

仕掛けのポイントを予想し予め伝えておく
それから歩き続けて数分…予想道理の場所
境界線までもう少しと言った場所で3人の男が2人の前方を塞いできた
男達の視線はセラフィーナに向かっている、カリギラへの警戒はあまりない様子

セラフィーナ > 薄暗さが段々と夜の暗さに近づいていっているが、大通りにもなれば先よりも明るさは確保できている。
それでも治安の良い地区と比べると暗くはあるのだけれど。
窺い見た相手の様相。瞳の色までは判然つかずとも、その眼差しが真剣味を帯びているのに気付いて、酷く心強い。再び、緩々と吐息を逃がし、

「、…わかったわ。」

思わず、肩が跳ねそうになった。なるべく平静を装いながら控え目な声量了承の意を伝えて。
暫しも経たぬ内、先程言われた通り前方を塞がれる。
品の無さそうな笑い声やら向けられる下卑た視線に小さく眉根を寄せるものの、無意識の内に青年の陰に隠れたがるように半歩身を引いて。

カリギラ > 「…彼女を置いてさっさと消えろ、そう言いたそうですね?」

ローブをより深くかぶりながら尋ねる
分かってるならさっさと消えろと馬鹿にされてしまった
男達は何も持っていない無手の状態、隠し持っていてもナイフ程度だろう
チンピラ相手に喧嘩をするのも面倒なのでローブの裾から剣を取り出す
相手や隣に居るセラフィーナからすればどこから取り出したのかと困惑するだろう

「近付けば足…手を伸ばせば腕を貰う」

声のトーンを低くして告げる
殺すなんて後が面倒…そんな理由で掻けた脅しに男達は数秒困惑する
が、剣を持っただけの男だと油断しこちらに進んだ真ん中の男

「……次は身体から離れるぞ?」

一歩前へ出て振るわれた剣
特別早い訳でも力強い訳でもないのに男は反応できず脛を軽く斬られ血を流す
一度目は警告これを理解したのか斬られた男が一番にそれに釣られて残り二人が走り去っていった

「………はぁぁ…恐かった」

月並みなセリフを吐きまた裾の中へ剣をしまう
もう大丈夫ですよとセラフィーナに声をかけ振り返った

セラフィーナ > 分かりやすくすらある三人組の様相は決して好ましいとは言えない。
警戒心と嫌悪が入り混じったような表情と眼差しを向けてはいるが、男達はそれすらも愉しんでいるのだろう、怯む様子は無い。
そうして対峙してくれている青年が取り出した剣。
不意に現れたように思える其れに、ぱちくりと双眸が瞬く。

「―――、」

ローブと青年を交互に視線を行き来させつつ――次の瞬間、視界の端で翻った剣。
青年の警告の後、数秒の間が空き逃げ出す男達に置いてきぼりを食らったように再び瞳を瞬かせて。
彼の声かけにも返事を出せぬ儘、動きが止まり。

カリギラ > 「えっと…セラフィーナ様?もう彼等もどこかに行きましたよ?」

反応がない…お嬢様には刺激が強かったか?
仕方ないので肩をトン、と叩いてみる

「恐らく後はもう邪魔も入らないと思いますよ。だから安心して下さい」

わざとらしく剣を見せつけ躊躇なく人を斬る所を見せつけたのだ
これでまだ仕掛けて来る輩はそうそう居ない筈
仮ではあるが安全が確保できたので後はきちんとセラフィーナを送り届けるだけで終わる
心労が一つ減ったおかげで身体が軽い気がした

セラフィーナ > 肩を叩かれ、はっと意識が戻る。
すっかり失せたならず者。未だ視線はちらほらとある気がするが、向かって来ようと言う意思はあまり感じられない。気がする。
実感した途端、先の相手の見事な手際を思い出して仄かに沸き起こる興奮。

「すごい!ギラって強いのね!」

青年が言い終わるが早いか、殆ど被せる様なタイミングできゃいきゃいとはしゃぐ少女。
興奮冷めやらぬと言った様子が改めずとも分かるだろう。

カリギラ > 「っ…自衛ぐらいできないと護衛なんて申し出ませんよ
でも私は強くはないですよ、さっきのだって上手い事脅せただけですし」

刺激が強かったらしい
切り伏せて殺さず上手くあしらったのが余計に興奮に拍車をかけているのかもしれない
お嬢様であればこんな場面に鉢合わせする事も無いのだろうし興奮するのは仕方ないと言える

「さぁそんな事より行きましょう。大丈夫とは思いますが例外というのもあります
さっさとここを抜けてしまいましょう?」

できるだけ先程の件から話題を逸らす
ただの便利屋が剣で脅して難を逃れた、この筋書きで通ったほうが都合が良い

セラフィーナ > 「上手く脅せる程強いってことでしょう?」

ああ言えばこう言う、の典型である。
片手日傘を握り締めた儘、空いた手でしゅっしゅと空を幾度かパンチする仕草。
お嬢様らしからぬ挙動を見せながら、爛々と輝く眼差しは期待に満ちた色で青年をじぃっと見詰めて。

「はぐらかしてるわね、ギラ。そんなんじゃ騙されないんだから。」

それに流される程素直ではなかった。ぴしり、と立てた人差し指を青年へと向けた矢先、荒い足音が此方の方へと程近い場所から向かってくる。
三人組の仲間か、はたまた騒動の合間の虚を狙った別のならず者か。
大通りへと繋がる細路地から出てきては、その儘無防備な少女自身へと矛先を定め。

カリギラ > 「……どうでしょうねぇ?」

多分何を言ってもだめらしいので半ば諦めた
せわしなく動き拳を前に突き出したりとセラフィーナはあまりお嬢様らしくはない
その方が接しやすいので助かってはいるが

「そんな事ないですよ?私がほんとの事を…」

言葉を切りローブの中へ手を引っ込める
慌ただしい足音…さっきの奴らの仲間か?もしくは…

「セラフィーナ様を探しに来た方ですか?」

路地から飛び出した者へと尋ねた

セラフィーナ > 話してくれる気はないらしい。
不服そうに口先を僅かに尖らせつつ、続けられる言葉を聞きいていれば、相手が再びローブへと手を引っ込める仕草を目に、不平を止める。
彼の視線が向く先を探って己の視線も移せば、そこには一人の男。

「……、」

先程の様なならず者達よりは身形が少しばかり整ってはいる。が、知らぬ顔だ。
青年の問い掛けに、男は人の良さそうな笑みを取り繕っては「ええ、」と頷いて。
曰く、ご両親がお探しですよ、だの、ご依頼を受けまして、だのと。

カリギラ > 「そうですか、それはそれは…では共にご両親の元へ参りましょう」

ニコリと笑顔を浮かべる
身形も整っていてセラフィーナの両親に依頼されたらしい
彼が居てくれれば露払いにもなって万々歳だ

「あぁ先に言っておきますが私は貴女を全く信用してません
既に護衛の依頼を受けた以上途中で放り出すまねはできませんしね…文句が有ると言うのなら実力行使でも構いませんよ?」

いきなり現れ他のだからこれぐらいは当然だろう
万が一正式に依頼されていれば楽ができるのだから丁度いい
セラフィーナと男の間に自分が立っていることからも警戒しているのがよく分かるだろう

「では、行きましょうか?」

セラフィーナ > 一瞬、新しく表れた男の表情が引き攣りかけた。
見逃してもおかしくない程の僅かな違和感。当然の様に少女は警戒心を抱きつつも気付きはしない。
間に入ってくれた青年に、再び安堵した様に呼気を洩らして。

構いませんよ、と答えた男が、事も無げに先導するように一歩を踏み出し――刹那、袖下に仕込んでいたのだろう、飛び出し型のナイフを露にすればその儘振り向く様な姿勢で青年の首元へと腕をひらめかせて。

「っ、」

カリギラ > 「表情に出すなよ」

訓練はされているのだろう
動揺を抑えた様だがそこは苦笑いでもして誤魔化した方がまだ自然に映る
ローブの裾の中で握ったナイフで男の手首…腱を切り裂く
籠らなくなった手への衝撃で零れたナイフ
そのまま半歩踏み込み男の足を踏み喉元に刃を押し当て

「あんたが何かするより刃を滑らす方が早いぞ?」

薄く血の滲んだ喉元
後は少し滑らせるだけで相手は死ぬ
にしてもセラフィーナは一体何なのか?
手練れと言える暗殺者を差し向けられる様な人物なのか?

「毒を飲めばお前の周りに不幸が起こるからな」

脅しにもならない脅し
そんな相手が居れば効くのだろうが…暗殺者にこの脅しが通じたのは片手で数えれる数以下の事

セラフィーナ > からん、と甲高い音を立てて落ちたナイフの音が路地に響く。
傷口を押さえる男の指の合間からは鮮血が滴り落ちて。

「―――、…っ」

そんな様子を間近に見れば、流石にはしゃぐ気持ちにはなれない。
先の荒っぽい所業とは異なる、異質な雰囲気。
思わず上げそうになった悲鳴を咄嗟に掌で自身の口を覆い隠して噛み殺した。
青年の脅しを愉快そうに嗤う男は、歪な笑みを浮かべた後、唇を閉じた儘に何かを噛み砕くか、頬が仄かに揺れる。束の間、苦悶の表情を浮かべ、数秒と待たずに崩れ落ち、ぴくりとも動かなくなり。

「…、え、…――ぎ、ギラ、…?」

それを目の当たりに、少女の双眸が動揺に大きく揺れる。
青年のローブを指先で詰んでは不安そうな表情と声音で窺って。

カリギラ > 「…やっぱり、そうするか」

こと切れた男を見下ろしナイフをしまう
今回も通用しなかった…死んでしまえば全て終わり
そう考える自分にとっては何度見ても理解できない行動だ

「…どうにも任務失敗で自殺したみたいです
申し訳ない、情報源が潰れてしまいましたね」

苦笑を浮かべセラフィーナに向き直る
この死体…確認の為にも触れながら異能を使う
ナイフと血痕を残して男の死体は綺麗さっぱり消えてしまった

「セラフィーナ様、少し急ぎましょう。どうにも怪しくなってきました」

落ちているナイフを仕舞い込み血痕は清掃魔法で消しておく
セラフィーナの手を握り先程までより速足でこの地区を抜けようと進む
まだ他にも暗殺者が放たれているのかもしれないと警戒しながら

セラフィーナ > こんな国に住んでいるのだ、荒っぽい出来事等を目撃するのは少なくないし、奴隷の存在だって理解がある。何より、己は種としては人間ではない。
然し、荒っぽい出来事とは異なる、直接的な死を間近に感じるのは初めて。

「に、任務って…?自殺?えっ、ええ…っ?」

完全に事切れてしまっているらしい男は当然ながら微動だにしない。
彼の異能が使われれば、抗う事なくそこへと文字通り収納されてしまうのだろう。
未だに混乱している頭の儘、青年に手を引かれる儘僅かに震える脚を動かし区画を抜けていく。
途中、つんのめったりしながらも如何にかついていくが、それ以降の襲撃は無いようで程なく抜け出す事が出来るだろうか。

カリギラ > 「理解は後でまず行動、死にたくなければ着いて来て下さい」

迷ってる時間はない
証拠は消したが観測役が居れば話は別
急いで貧民地区を抜け富裕地区にまで来れればやっと一息つける
ここは衛兵も多く何より向こうもここで騒ぎを起こしたくない筈

「……やっと安心できますね。一時はどうなる事かと…」

はぁぁ……と深く息を吐いてうな垂れる
疲れた、とても疲れた
何より暗殺者が想定外だった、この後の事を考えると頭を抱えたくなる

セラフィーナ > 青年に引かれる儘、区画を抜ける頃には緊張もあってすっかりへとへとだ。
走った訳では無いのにこの疲労感。荒い呼吸を何度も繰り返す。

「一体、…何だったの、あれ…。」

幾らなんでも命を狙われるような所業をした覚えはない。
と言うか、たかだか16歳の、それもほぼ箱入りの小娘にそんな事が出来る能力は無い。
さっぱり思い当らぬ節、然し、一難を逃れたと言う安堵に幾らか緊張が緩んでずるずるとその場に座り込んでしまい。

カリギラ > 「…暗殺者です。狙いは貴女、貴女を殺したい誰かが差し向けたんでしょうね」

心身ともに疲労してしまっているセラフィーナ
無理もないだろう、16の娘が命を狙われるなんて大きすぎるストレスだ

「一応、送り届けるだけの予定だったんですがね
こうなるとセラフィーナ様のご両親にも会っておかないといけないですね」

子供が狙われる理由なんて親が殆ど
これからは手練れの護衛でもつけるよう進言しておいたほうが良いだろう
手土産の死体を添えて

「とりあえず、お疲れ様でしたセラフィーナ様。よく頑張りましたね」

笑顔を浮かべ褒めてみる
騒いでも仕方ない場面できちんと自分の言う事に従ってくれたのも助かった
とても芯が強い娘なのだろう、そこらの者には真似できない

セラフィーナ > 暗殺者。
聞き間違いではないらしい。

「私を、殺したい…、」

改めて言葉にすると背筋の凍る話である。何処か茫然と、噛み締めるかのように呟いた。
青年の言に小さく頷いて、お願いします、と紡いだものの、続けられた台詞に、フードの隙間から覗く笑みに緩み始めた緊張の糸が更にたゆむ。
糸が切れた様、唐突に滲み始める視界。瞬く間にぼろぼろと涙を溢れさせ。

「っ、ぅ、…ひ、…――~、」

然し、声は上げまいとでも言わんばかり、ぐう、と唇を噛み締めて。

カリギラ > 「…えぇ……」

どう繕った所でその事実は変わらない
自分を殺したい誰かが居る、そんな重圧が今彼女に圧し掛かっている
まだ幼さが残る様な少女に

「大丈夫ですよ、もう暗殺者はこの世に居ませんから
向こうだってもう貴女を狙う事はありませんよ」

そんな保証はない、むしろ更に手練れを雇う事になるだろう
それこそ…大金を積んで独自の紹介が必要な相手を
そっと泣きじゃくる彼女を抱きしめる
泣いている女性の扱いなんて知らないが…せめて安心して泣ける様に

「今はもういつもの日常です。怖い事や痛い事なんて怒ったりしないです」

セラフィーナ > 冷静に考えれば、これが計画的な物や、誰かの差し金であるならばこの一度で終わる筈がない事位、分からない筈もない。
然し、今は己を安心させるような彼の言葉を信じて縋りたい。
堪えに堪え、噛み殺した嗚咽を零していたが、相手に抱き締められた瞬間一気に強張りが解け、

「―――っ、ひ、ぅ、うええ…っ」

抑えていた恐怖心が吹き出し、溢れ出る涙と声。
寄る辺を求めるよう、相手に抱き着く――と言うよりは、最早しがみつく勢いで相手に腕を回して。
人前だなどと気にしている余裕はない。

カリギラ > 「大丈夫、大丈夫…」

頭を撫で、慰める
相手が今回の失敗をどう判断するか
更に手練れを用意してくるかそれとも諦めるか
もしや自分に依頼をすることが有るのかもしれない

「今はしっかり泣いて、叫んで…
腹の中にあるものを全部吐き出してしまってください」

セラフィーナが落ち着いてくれば再度彼女の住む場所にまで送り届ける
その後は、彼女の両親と色々と話しておかないといけないが

セラフィーナ > 頭を撫でられる度に、栓を無くしたように溢れ出る涙。
これ程までに泣きじゃくる事など多くは無い。

「こっ、こわ、こわかった~…っいみ、いみわかんない…っひ、く、っ…!」

暫しの間、涙の止め方を忘れて青年の言葉に促される儘、内側で留めていた言葉を溢れさせるのだろう。
存分に泣き叫んだ後、落ち着きを取り戻すまでに少々の時間を要してはけろりとした様子を何とか取り繕うのだ。人前で泣き叫んだ恥ずかしに仄かに羞恥心を覚えながら。
そうして彼に家まで送って貰えば、酷く憔悴した様子の両親やら焦った様子の家人に出迎えられる事と。
青年も詳しい話を聞く為に少しばかり時間の拘束を受けてしまうやも。
全てが後、改めて報酬が送られる事と―――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からカリギラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からセラフィーナさんが去りました。