2016/06/14 のログ
ご案内:「廃墟地区」にレイカさんが現れました。
レイカ > 「………へっくちっ!……?」

別に寒いわけでもないのに、私は手で口を抑えて小さなくしゃみをしていた。
確かにこの時期だと風は少し冷たいのは間違いないのだけれども、それでもくしゃみが出るほどではない。
どういうことだろうと首をかしげながら、私はこの地区にある”自宅”の中で荷物を整理していた。

もう、ここは私の自宅であって自宅ではない。
拠点を向こうに移すことにしたから、ここにある荷物は全部片付けてしまうつもりだ。

「……………。ふう…。」

雨風凌げるだけのボロボロの自宅だけど、いざはなれることになるとやっぱり寂しいものがある。
今までここで、苦しいことにじっと耐えてきた。
罪悪感、虚無感……。それが、先日にようやく終わった。

私は、生まれ変われたんだ…。

レイカ > 荷物を纏めるといっても、たいしたものは持ち合わせていなかった。
いくつかの衣服と下着に、騎士団時代から唯一残っている髪留めのゴム。
後は、ちょっとした身の回りのもの。
カバン一つに余裕で納まってしまう程度の物で、私の家は片付いてしまった。

「まあ……向こうで揃えればいいか…。」

新しい拠点では、少しくらいしゃれっ気のあるものをそろえよう。
花壇とかもいいし、少しくらいおしゃれなものも着てみたい。

レイカ > 「……あと、1週間か……。」

そう、あと一週間で、私はここに来ることはもうなくなる。
拠点の集落の馬車を調達してもらえれば、ここにいる全員が向こうに移ることになる。

ずっと、ずっと私はここで彼らを見守るつもりだった。
それが私の罪滅ぼしだと、ずっと考えていた。

…けど、私はチェーンブレイカーに出会えて、変われた。
彼らのおかげで、贖罪の方法が見つかった気がする…。

レイカ > 廃墟地区の皆には既に説明を終わらせていた。
皆半信半疑だったけど、チェーンブレイカーの噂は彼らにも届いていたようだ。
信頼できるかどうかは自分たちで判断するといっていたけど…あの目はどこか希望に満ち溢れていた。
ようやく、迫害を受けない場所にいけるのだから、無理もない。

「後は……マスター…か。」

だけど、一番説明しなければいけない人に、まだ私は説明をしていなかった。
彼に拾ってもらっただけに、お店をやめるという報告は…どうしても切り出せなかった。

レイカ > マスターには、明日ちゃんと話をしよう…。
散々世話になっておいて、黙っていなくなるのはあまりにも失礼だ。

私は、纏めた荷物を傍らに置き、自宅だった場所に一礼して…お店へと向かった。

ご案内:「廃墟地区」からレイカさんが去りました。