2016/03/18 のログ
ストーク > 「ほう、やる気だな。…あまり巻き上げてやるなよ?」

彼女の表情を見れば賭け事が好きで、しかもある程度強いことは察しがついた。
実際にはどれだけの力量を持っているか分からないし、相手がそれ以上に強い可能性もあるのだが、景気づけの意味も込めて勝ちすぎるなよと軽口を叩いた。
賭場の男達の勝負が一区切りすれば、彼らに話しかけていった。
幸か不幸か、新たな客に男達は歓び、ある者はこの少女から身ぐるみ剥いでやろうと舌なめずりをしていくに違いない。

「さて、じゃあ俺たち二人が参加させてもらうよ。」

偶数か奇数かを当てるゲームであることの説明を軽く受ければ、早速彼らは博打に加わっていった。

「さて、タマモ。せっかくだ。俺はあんたの勝ちに賭けてみることにするよ。」

彼女の腕を見たかったのか。それとも出会った記念にか。彼は彼女の判断に委ねることにした。半裸の男達はにやりと笑いながら、それなら一発勝負で身ぐるみ置いていってもらおうかと持ちかけていく。つまり、ここにある衣服を含めた全財産を賭けろということらしい。

「さて、あちらさんはああ言っているが…やるか?何度も言うが、今日の俺はタマモに賭けているから、あんたがやるというならついていくつもりでいるぞ?」

タマモ > 「勝負は時に残酷なものなのじゃ」

ふっ、とどこか遠くを眺めて呟く。…まぁ、要するに容赦する気はないらしい。
とはいっても、少女にとって賭け事はただのお遊びの一つ。
そもそも、結果なんて未来は誰にも分からないものである。
話が通り自分もこの賭博への参加が決まる。
相手がどう思おうが気にはしない、気にしたところで…結果は変わらない。

「カジノと比べれば簡単過ぎるくらいじゃ。
お主はやらんのじゃな…まぁ良い、妾は妾で楽しませて貰おうかのぅ」

そして場所に着くも、男達の提案に少女は首を傾げた。
その言葉を聞けば、少女はにっこりと笑顔を浮かべる。

「…ならば、この一発勝負で妾が勝てば、今そこにある金や身包みは全部妾のものじゃな?」

そうあっさりと言い放つ。
実際に己の身に纏っている着物や諸々、全部揃えればここにある金額では足りないものだったりする。
それでもそう言えるのは、負ける気が全く無いからこその言葉だ。

ストーク > 「いや、やらないとは言っていないぞ?タマモが負けたら俺も身ぐるみ置いていくことになるからな。」

何か勘違いをされている様子。やらないのではなく、彼女の賭博の力量に賭けたいのだと言いたいらしい。それほど、出会いが面白いものだったということだろう。
いずれにせよ、男達はそれで構わないと卑下た笑みを浮かべながら頷いていった。

「まあ、どうなるかは見物だな。俺も裸で帰りたくはないから、ここは頼むぞ。」

そうは言っているが、彼も負ける気はしなかった。
コップの中でダイスを二つ振り、トス…と置いていった。
さあ、どちらに貼る?と。

タマモ > 「ふふ…そうか、そうじゃったな?」

確かに出会いの面白さは人により、それに思いを馳せ事の流れに身を任せるのも悪くは無い。
それならば、負けてしまっては可哀想じゃな…そう思えば、少女の瞳がうっすらと鈍い輝きを放つ。

「泥舟に乗った気持ちで居るが良い」

自信満々に言い張る…うん、少し間違ってるが気にしない。
少女の瞳が向けられたのは、ダイスの入ったコップを扱っている男と、その関係者。
何をしているのか、それは言うまでも無い…その者達の表層心理を覗き見ているのだ。
イカサマをしているならば、それに合わせてどちらに張るか決めれば良い。
イカサマがなければ、普通に張るだろうが…1/2どころか、それ以上の確率を簡単に当てる少女だ、外す事は無い。

ストーク > 「ああ、期待しているぞ。一期一会ならばここで一蓮托生と洒落込んでも悪くはないだろうしな。」

そうはいっているが、負ければ負けたで何か手を考えればいいだけだという楽観的なものの見方もあった。

「泥舟は焼けば陶器の船になる。焼かずに溶けて沈んでも、タマモとの出会いの代償なら安いもんだろうよ。」

さて、男達は案の定いかさまを試みていた。
彼女が奇数というならば偶数を、偶数というのなら奇数を袖から別のダイスで出すつもりでいたのだ。
しかし、その目論見が成功することはないだろう。タマモかストークか、どちらかがダイスをすり替えられないようにする、あるいはすり替えても意味がないようにするはずだから。
もっとも、それを含めてタマモに「任せて」いるストークは何もしないだろうが、それにしたところで、哀れな男達はいかさまを駆使しながらも敗れることとなった。

「さて、俺たちの勝ちのようだな。」

すまし顔で口にすれば、半裸の男達は自分たちがやろうとしていたことを棚に上げていかさまだ、許せねえ、やっちまえと飛びかかろうとしてきた。ストーク目がけて飛びかかってきた男はストークの手刀で退けられる。あっという間の最小限の動きに、男は何が起きたかもわからぬまま悶絶するハメになった。
さて、タマモの方はどのように男達をあしらっているだろうか。
それも含めてストークは「見物」していった。

タマモ > ちらりと瞳を向け…少し間を置いて、はふ、溜息。
いやいや、負けはないから、と心の中で呟いておいた。

「………?…はっ!?…いや、違う、妾の船は沈む事はないからのぅ!?」

男性の言葉に、?を頭に浮かべたような仕草。
少し考え…やっと言葉の違いに気付いたか、ぱたりぱたりと慌てたように手を振った。

それはともあれ、勝負は決まった、こちらの勝ちで。
すり替え程度でどうこう出来る少女ではない。その寸前、イカサマならばイカサマと力を使いダイスを弄ったのだ。
自分達と考えていたのとは違う目が出ているダイスに、逆に男達が不思議そうにしていた事だろう。

「ふふ…面白い事を言う。
イカサマは、気付かれなければイカサマとは言えぬのじゃぞ?」

男達の言葉に、あえてイカサマをした風な発言を面白そうに言い放つ…まぁ、やったのだけど。
分かってはいた流れだが、男達がこちらへと襲い掛かってくる。
あまりにも定番過ぎて、真面目に構う気も起こらない。

「………さて、一つ聞こう」

ぽんっ、と手を叩くと、地面の石ころが一つふわりと浮き上がった…それは大人の拳大程度の大きさの石ころだ。

「お主等の中の誰が…こうなりたいかのぅ?」

手を差し出すような仕草、そして…ぐっと握ってみせる。
それに合わせたように、ばぎんっ、と浮いていた石が何かに圧迫され、潰れた。
握っていた手を離せば、やはりそれに合わせるようにぱらぱらっと細かく砕け散った石ころだったものが地面に落ちる。

ストーク > 当然の如く勝った。
ストークに襲いかかった男は撃退していたが、タマモには二人が一度に襲いかかろうとしていたのだ。
しかし、タマモの行った行為を見れば、器用にも即座に背を逸らし、怯えて腰を抜かし、そして、悶絶している仲間を連れて男達は定番通り逃げていった。

「おお、なかなかやるな。それに比べれば、俺は手が出てしまった。まだまだ未熟だな。」

彼女の鮮やかな手並みに、これは面白いものを見せてもらったと彼は二度ほど手を叩いて笑っていった。

「さて、とりあえずそこにある賭け金と玩具は回収しておくか?」

男達もいくつか金を掛けていたし、彼も最低限の礼儀として10ゴルド硬貨を場に出していた。

「いいものをみせてくれた礼だ。何かあれば、ここに来い。金か商品のことしか工面は出来んと思うが、力にはなるぞ。」

彼は懐中から木札を取り出し、彼女に渡していこうとした。そこには、富裕地区に出来たばかりの宝石店の住所と簡単な地図が描かれている。彼はそこの人間ということらしい。

タマモ > うん、この結果も含めて予想通りではある。
逃げていく男達の後姿を、のんびりと眺めて見送った。

「いやいや、その者にはその者の対処のし様があるじゃろう?
それをどうこうは言いはせんのじゃ。
あの程度ならば、まだ優しい方ではないのか?」

男達の姿が見えなくなれば、くるりと振り返り、言葉を返す。
そう、人によっては生かしておいたかどうか、という場合もあるのだから。

「これは妾でも楽しめそうじゃな…これだけ貰っておくかのぅ。
身包みと金は置いておけば良い、そのままにしておけば取りに戻って来るじゃろう。
お主も賭けておったじゃろう?この金から、その分だけ貰っておけば良い」

ひょいっとコップとダイスを手に取り、懐へと仕舞い込む。
結果はこうなったが、この貧民地区の人間から全てを巻き上げようなんて事は元々思ってなかったからだ。
まぁ、玩具は駄賃代わりである。

「ふむ…金と商品か、覚えておくのじゃ。
妾はここに居る、という場所がないからのぅ…まぁ、出会えたら幸運とでも思っておくのが良いじゃろう」

渡された木札、受け取れば書かれている内容を見る。
住所らしきものと、地図らしきもの…は、なんとなく分かった。
これを見て実際に行けるかどうかは疑問だが、それも懐へと仕舞っておいた。
自分の住まう場所も言うべきとは思ったのだが…森の中、しかも結界が張ってあるし、自然しかない。
ならば、この王都で会うのに期待した方が良いだろうと思い、それは教えなかった。

ストーク > 「…そう言ってくれると助かる。だが、あの程度でも手を出した時点で報復って可能性があるからな。怖いものは怖いんだよ。その点、圧倒的な恐怖を植え付ければ恨まれようもない、ってことだ。」

かけてくれた言葉に肩をすくめながらも感謝していって。

「いや、俺はいい。奴らは襲いかかってはきたが、それでも楽しませてくれたことには違いないからな。それに、最初に場に出すチップは参加料みたいなものだからな。」

彼女が巻き上げるつもりなどないというならば、彼も手を付ける気はない。むしろ、あれだけ定番通りの面白い動きをしてくれたことへの見物料が必要だと、最初に場に出した硬貨は置いていくことにした。

「そうなのか。それなら、次は幸運に身を任せることにするよ。…さて、俺はそろそろ帰る。また、幸運が出会いをくれたら遊ぶことにしよう。」

そろそろ遊び人の時間は終わり、彼は本業に戻らなければならない。名残惜しいと小さく微笑むも、またなと告げて彼は店のある方向へと歩み出していった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からストークさんが去りました。
タマモ > 「ふむ…まぁ、そういう考え方もあるという事かのぅ?」

誰某によって色々とやはり違うものだ、首を捻って考える。

「そうか、ならばこれはこのまま置いておくとするのじゃ。
さて…妾もまた適当に行くとしようかのぅ」

という事で、結局持っていく者はコップとダイスだけだった。
この残した身包みと金が果たして本人の元へと戻るのか…それは謎である。
男性が歩いていった後も、もう少しだけその場に留まり、のんびりするも…ゆらり、その姿は霧のようにその場から消えていった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からタマモさんが去りました。