2016/02/22 のログ
ご案内:「貧民地区の路地裏」にシャルロットさんが現れました。
シャルロット > 「毎度苦労を掛けるね。エリシャ。」

貧民街の、とある娼館の裏で密会する者があった。

一人は、この娼館で働く娼婦と思われる、殆ど裸に近い露出度の高い下品な装束に身を包んだ女。
もう一人は、粗末なローブを目深に被った人物で、顔などはうかがい知れないが体格と微かに路地裏に
響く声から、女性であることが分かる。

「ローレンス伯の例の噂についてだが、他には何かわかった事はないか?
 ……そうか、なるほど。それはいい。この事は誰にも漏らしてはいけないよ。」

女性は、時折辺りを伺いながら娼婦と小声でいくつかのやりとりをすると、
最後に……懐から取り出した小さな革袋を手渡し、その場を後にする。

ご案内:「貧民地区の路地裏」にリドさんが現れました。
リド > ふらっと立ち寄ったのは貧民地区。
ローブを被った怪しげな者が路地裏、娼館の裏から出てくるのを偶々見て……

興味が湧いたのか覗き込む。
女が一人立っているのを見つければ、先程のローブ姿の人物を呼び止めて。

「―――こんばんわ。さっきの人……貴女の知り合いかしら?」

何気ない調子で声をかけた。
件の女ほどではなくとも、此方も露出度が高い。それを気にもせずに懐っこく笑っている。

シャルロット > 「ん、あぁ……。古い知人だよ。」

まったく、嫌な所で声をかけてくれるものだ――。
シャルロット・タールハイムは自身に人懐っこい笑みを浮かべるリドに、
心中で毒づいた。

とはいえ、そんなことは表面上はおくびにも出さず
ただ、通行人同士の何の気なしの世間話という風に言葉を返す。

「何か、私に用事だろうか。生憎、この後行くところがあってね。」

リド > 「そう。何か内密なお話だったのかしらね」

まぁいいか、と小さく呟く。あまり人の内緒話を追及するタイプではない。
もちろんシャルロットの心の中など読めないから、どう思われているかもわからない。

「少し声をかけてみただけよ。……どこか行くのなら、途中までご一緒して良い?」

主に、彼女へ興味が湧いたというのもある。随分と扇情的な格好をしているのもあるし。

シャルロット > 「まぁ、そんなところさ。
 人は誰しも秘密を持っている。君も、この国で生きているのだ。
 ひとつくらい後ろ暗いところを持っているんじゃないかな。」

ふふ、とローブの奥で微笑を湛えるが、
いっしょに行ってもいいか、というリドの答えには内心、どきりとした。

シャルロット・タールハイムは貴族である。
もし、こんなところで娼婦と密会していた、などと噂を立てられればたまったものではない。
自分は、ひとつどころではなく『後ろ暗い所』を持っているのだから。

「あ、ああ……そうだね。このまま平民街へといこうかと思っているところだ。
 君の目的地がそちらなら、ついてくるといいよ。」

とはいえ、ここで無碍に断って怪しまれてもいけない、と考え
リドの提案を受け入れた。

リド > 「私?……ふふ、どうかしらね。ご想像にお任せするわ」

口元に笑みを携えつつ、そんな言葉を投げかける。
しかし提案が受け入れられたのなら今度は嬉しそうに笑った。

「そう。なら行きましょうか」

彼女の『後ろ暗いところ』は、あまり興味も無い。
そもそも他人のことについてあまり詮索しない性格だ。
だから共に歩き始めて間も無く――

「でもまぁ、こんなところで会ったのも何かの縁よね。……良かったら、顔を見せてくれない?」

なんて気楽に強請ってみる。

シャルロット > 「っ……。」

顔を見せてくれ、と言われ言葉に詰まる。
没落しかけていたとはいえ、シャルロットが家督をついだタールハイム家は名家。
平民に貴族として、顔を出す機会も少なくない。そして、これから栄達を目指す私にとって、
その機会は必然的に多くなるはずだ。

(――エリシャには使いをだすべきだったか?いや、この情報は私だけの物にしておく必要がある……。)

故に、ここでもし顔を晒し、相手が私の事を知っていたなら?
もし知らなかったとしても、後々に私の事を知ったら?

(始末してしまうか……?やるなら路地裏にいるいましかない。相手は油断している。しかし――。)

しかし、相手はクロスボウを携えた戦士風の装い。
力も……おそらくは自分よりも強いだろう。失敗のリスクが大きすぎる。

「い、いや……顔は……。」

結局、もごもごと答えを返すだけにとどまってしまって……。

リド > 言葉に詰まる様子に、首を傾いだ。
タールハイム家は確かに知っている。今のところはあまり知識も無いが――後々となれば話は別だ。

「……どうしたの?…ひょっとして、顔を出せない事情とかあるのかしら」

それならそうで珍しいことではない。王都には色んな人がいるものだ。

「……ふふ、それなら。条件を一つ呑んでくれたら、どんな事情であれ黙っててあげる。……どう?」

悪戯っぽい表情がシャルロットへと向いた。
悪意など微塵も含んでいないような笑み。

シャルロット > (この女……。)

目の前の女にペースを握られている。
気位の高いシャルロットにとって、それは我慢ならない事だったが、
今、事を荒立てればまだ基盤が盤石ではない自分は確実に『終わる』。

「条件、とは……?」

やや、苛立ちと警戒をにじませながら言葉を返す。
密かに、ローブの袖口に仕込んだ護身用の短剣に手をかけながら……。

リド > 「ふふ。一晩、貴女をいただいても良いかしら。どう?簡単でしょう」

対して此方は一切身構えない、無防備にも程がある。
妖しげな笑みを浮かべながら提案する。

「まぁ私自身は、他人の秘密を言いふらす程ひどい性格じゃないけどね。念には念を入れておくべきでしょ?」

シャルロット > 「なっ……!?」

てっきり、金か何かを要求されるものとばかり思っていた所に、
予想外の言葉をかけられ、明らかに動揺したような声を出してしまった。
反射的に、口元に手をやるがもう遅く。

(この娘、一体何が狙いだ……いただく、つまり私を。抱く?)

「君は……なる程、そういう趣味の持ち主という訳か……。」

ここで、あらためてシャルロットはリドを値踏みするように見つめて。
ここで逃げ出してもかまわないし、おそらくはそうするべきなのだ。だが……。
シャルロットは、目の前の女と同じく『そういう趣味』を持っている。そして、
目の前の女の豊満で、健康的な体つきとエキゾチックな褐色の肌を抱いてみたいという、
好奇心が自分の中でむくむくと湧き上がるのを感じていて。

「……わかった。」

その好奇心が、シャルロットの判断を鈍らせた。

リド > 動揺するような声、そして値踏みされているらしき視線を感じながら、此方は悠々と笑みを浮かべている。

「……そう。なら、近くに宿があった筈だから……行きましょ」

言うと彼女の手を引き、その宿へと向かっていく―――

ご案内:「貧民地区の路地裏」からリドさんが去りました。
ご案内:「貧民地区の路地裏」からシャルロットさんが去りました。