2023/07/23 のログ
ご案内:「貧民地区-スラムの路地-」にミリヤさんが現れました。
■ミリヤ > 貧民区の外れ。人として生活することができなくなってしまった人々の行き付く最後の温床。
そんなスラムの薄暗い路地に少女は一人立つ。
あまりにも場違いな装い。
仕立てたばかりの白いワンピースはこんな掃き溜めのような場所でさえも、キラキラと輝いて見えるだろう。
その少女は路地の壁に凭れかかり、何処を見るわけでもなくただ微笑みを浮かべていた。
まるで待ち合わせの相手を待っているかのような。そんな雰囲気を漂わせる。
「……ふふっ、上手いこと罠にハマってくれると良いのですが、どうでしょう」
軽やかな声で呟く。無論、周りに人はいない。
既に人払いの結界魔術は張っている。
少女が本日ここへ赴いた目的。
それは──王族・貴族に該当する者、またはそれらに従する騎士や傭兵の誘拐。
個人的には後者の方が自身の欲求を満たすのに丁度良い人材ではあるが、
一族としては前者の方が適任か。
こんな寂れた場所へ赴く者等そうそういない訳だが、そこはまったくの無問題。
つい先刻、この近辺で強力な魔族が徘徊していると嘘の情報を流しておいた。
そんなデマにみすみす釣られてやってくるかは微妙だが、
市民からのタレコミだ。裏取りくらいには向こうも人を回す可能性だってある。
さて、ここへ赴く者は果たして少女の乾いた欲を満たしてくれる者か否か。
まあ、たとえ全く無関係の人間が立ち寄ったとて、取る行動は同じだが──。
■ミリヤ > 「…ふぅ、今回は不作でしたね。鼠一匹も掛かりませんでした」
暫くの時が立ち、夕刻。
もう少し粘れば人っ子一人くらいは通りかかったかもしれないが、
本日はこの辺で潮時だと悟る。
欠伸を漏らしながら空に指を逸らす。
さすれば現れる闇色の魔導陣。
眩い光が少女を包み込み、そして一瞬の後、その場から姿を消してしまった──。
ご案内:「貧民地区-スラムの路地-」からミリヤさんが去りました。