2023/06/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にサウロさんが現れました。
サウロ > (貧民地区の定期巡回──。
 無法者に絡まれていた老人を助けるために介入し、結局は話し合いが通じずに鎮圧することとなった。
 周囲で野次を飛ばすのは娯楽に飢えてるような柄の悪い連中で、どうしてもこちらが敗けることを期待してるような輩ばかり。
 ならず者に負ければその後の扱いは悲惨なもので、ここでの戦闘はいつも気が抜けない。

 ────とはいえ、今回はサウロ一人ではなく、相棒のジャミルも居た為問題なく対処は出来た。
 死屍累々とばかりに路地に転がるならず者たちと、腰を抜かしてしまった老人の対処と。
 明るい内から仕事が絶えない場所である。)

『憲兵呼んでも無駄だろーな、この数』
「貧民地区での恐喝程度じゃ、動いてはくれないだろうしね……」

(貧民地区にも憲兵がいるが、場所が場所だけに貧民地区で力のあるものと癒着しているものが多い。
 その裏には貴族に繋がってるものもいるのだから、この国の治安は乱れるばかりだ。
 ため息を吐きながら、縛ってまとめておくぐらいに留め、老人を保護する方向で移動していく。)

サウロ > (後をつけてくる者を警戒し、時に相棒が追い払いながら安全な貧民地区の教会あたりへと移動する。
 そこで老人を任せた後、老人は助けてくれた礼にと謎の液体の入った小瓶をサウロへと渡した。
 青色の液体が入ったそれが何なのかと問うと、薬じゃよと返される。
 それが回復薬なのか、解毒薬なのか、はたまた別の効能があるのか。
 相棒が「爺さんが持ってた方がいいんじゃねえの」と言えば、どうやらそれのせいで絡まれたようで、
 さっさと手放したいと返される。)

「……ありがたく受け取っておきます」

(一先ずそれをポーチに入れて、教会の敷地内から出ていく。
 「どうすんの、それ」という問いには、流石に得体のしれない薬を使うつもりもなく、
 効能を調べて然るべき対処をする、としか言いようがなかった。
 この後も何もないと良いが、とまだ陽の高い空を見上げ。)

「とりあえず、仕事に戻ろうか」

サウロ > (昼を過ぎても、平民地区でのいざこざは多い。
 とは言え、面倒な巡回があると分かっている頭の回る者は、そう言う日は悪事を控えるので、起きるのは小さな揉め事ばかりだ。
 それを仲介し、宥めながら、時には力尽くで引きはがしたり。
 食べ物がなくて困っている者には、炊き出しを行っている教会へと誘導したり、栄養価の高い木の実を分け与えたり。
 スリをする子供を捕まえては、罵られて逃げられるなんて場面もあった。
 ありがたがられる時もあれば、厄介だから早く出ていけと言われることもある。
 度胸試しのような若者の突っかかりを何度受けたかもわからない程で、
 昼を過ぎてまだ陽が高いというのに、それなりに疲弊していた。)

「……ふう、少し休憩しよう」
『賛成ェ……』

(そんな話をしていた矢先に、相棒が何かを見つけて深々息を吐いた。
 どうしたと問えば「迷子くせーのいる」と。
 ちょっと上等な服をきた少女が泣き顔でウロウロしている。きっと平民地区から迷い込んだのだろう。
 「俺一人でいいわ、行ってくる」と告げて向かったのを止める間もなく、
 少女を平民地区まで誘導する相棒の背を見届けてから、今更追っても遅いかと肩を竦めて。)

「……さて、休憩できる場所を探さないと」

(道端で休むのは悪手、さっきの教会まで戻ろうか、あるいは広場の方に行くか。
 お腹空いたな、と軽く腹に手を当てながら、路地を歩いていく──。)

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にファルスィークさんが現れました。
ファルスィーク > 日が高くなる時間帯は過ぎつつあるが、それでも出歩くには少々難が出てくる季節になり始めている訳で―マントの内に冷却の術を行使すれば外気と違い内側は涼しく…。
相変わらず迷路のような貧民区に迷い込んでしまっては、さてどうしたものか…と途方に暮れる。
それでも、此方の方角だったかと見当をつけて歩き始めるのだが――。

「さながら、地下迷宮と大差ないんだが…。
まあ、階層がないだけまだマシか」

最悪、転移か飛べば何とななる。
そして、迷宮に跋扈する魔物や怪物に比べれば、出くわす荒くれ者など赤子に等しい。
罠がある訳でもなく敵対する脅威もないので、其処は気楽な部分ではあるのだが。
取り敢えず、スリを働こうとする者、喧嘩や恐喝をして来る者は、適当にあしらい叩き伏せている内に誰も近寄らなくなったので歩きやすくはなる。

―ふと、見知った姿を見かけると唇の端を上げ、近付いてかけてみる声。

「久し振りだが、壮健なようで何よりだ」

サウロ > (合流場所は広場で良いかと思いつつ、休憩する場所を決めて移動していた所に声を掛けられて振り向く。
 そこにいたのはサウロより上背のある男。風があるとは言え厚手のフード姿に、その下から覗く蒼銀の双眸。
 整った顔立ちにはどこか見覚えがあるような、と思ったところでズキ、と頭に走る痛みに思わず手を当てて。

 ──かつて彼によって掛けられた精神・思考支配にも等しい魔眼の効果はとうに切れている。
 深く根付いていたソレを仲間の術士に半ば強制的に解除、治癒された結果記憶に幾らかの後遺症を残した。
 故に、彼に何となく覚えがあるがどういう関係であったか、何をしたかという記憶が抜け落ちている。

 痛みを払うように頭を軽く振った後、改めて向き直り。)

「すみません、何処かで……お会いしたことが?」

(申し訳なさそうに告げながら、彼の身なりを改めて見る。
 貧民地区をうろつくにしては、上質な素材を使った衣装だ。
 それに気品のある雰囲気や、美しい顔立ちから、貴族や上位の階位にある存在に思える。
 一体何故こんな場所に、と不思議そうな顔で彼を見上げ。)

ファルスィーク > 声を掛けた青年の反応はと言えば――しばらく眺めてから成程と納得したように頷き笑みをこぼした。
それなりに時間が経っているし、対処しているのも当然か。
元より素質のある者でもあったので、自力で脱したか助力があったか。
いずれにしても、己の支配下には無いという事は理解した。

「以前に少し……な。
―まあ、覚えていないのであれば、その方が君にとっても幸せではあるだろう」

ひらりと手を振り、気にしなくてもいいという仕草。
若干、冷やりとした空気が青年の元にも届くかもしれないが。

「ああ、私か。
そうだな…分かり易く言うなら迷子だ」

この句家訓は場違いないでたちであるから、青年の反応はもっともだろう。
不思議そうな表情をしている青年に笑いながら告げた。

サウロ > 「……?」

(軽く振られた手に、人違いというわけでもなさそうだが、と怪訝そうな表情をする。
 覚えていないことが幸せとはどういうことかと思ったが、
 思考の邪魔をするようなツキンとした痛みが走るので、それ以上は考えることをやめて。
 ひやりとした風が首筋を撫ぜると、動き回って熱くなっていた身体には涼しく、気持ちが良かった。
 ともあれ、迷子だと称する彼に数度瞬きをしてから、顎に手を当ててポーチから貧民地区の地図を取り出して広げる。)

「貧民地区に目的地が? 崩れている場所もありますから、これも正確ではないんですが…。
 それか平民地区へ出る道でしたら、ご案内できると思います」

(貴族らしき服装をしていることや男性であることも加味して、
 おそらくは娼館のある歓楽区に用事があるのではないかと考えているが。
 それにしてもこんな時間からは空いてる店もないだろうし、単純に迷い込んだという意味なら平民地区へ送り届けた方がいいか。
 真剣な表情で地図から顔を上げ、彼の方を見上げてどうするかを問い。)

ファルスィーク > 青年の反応を何処か楽しげに眺めているだけで、今のところはどうこうするつもりもなく。
若干の残りはあるようだが、日常に支障をきたす事も無い程だろう。
地図を取り出すのを見て流石に準備が良いと感心。
それに目を通すに、やはり迷宮だな…と、率直な感想を呟いた。

「いや、道を間違えたか、方向が違ったか…いつの間にか入り込んでしまっていた。
…ほう。道案内迄してくれるとは親切だな。
贅沢を言えば、娼館へ…とも言いたい所だが」

何処か迷子を楽しんでいる雰囲気もあったりはするが、抜けれるのであればそれに越したことはない。
青年が分かり易い地区まで案内してくれるというのであれば、それに任せた方が良いだろうか。
真剣な表情は、職務に忠実である証で青年の性格をよく表している様でもあって、取り敢えずは礼にとマントの合間より伸ばした右手の指が青年の鎧へ触れると、段々と丁度良いくらいに冷えていくのは感じられるか。

「随分と暑そうだったので、冷却の術を掛けておいた。
日が沈むまでは持つだろう」

サウロ > 「貧民地区は区画整理がされないままですからね、勝手に建物が建ったり潰れたりしてます」

(迷宮だと呟く彼に苦笑しながら告げれば、娼館、という言葉に王侯貴族も通うと噂されている区画の方を地図で指さす。
 ここからでも行けなくはないが複雑な道のりだ。口頭での説明も難しいので、連れて行った方が早いだろうと地図を畳む。)

「そう遠くはない場所ですから、ご案内しましょう。
 陽が高い時間とは言え、安全とも言い切れない場所ですから、────!」

(不意に鎧を通して、暑く汗で蒸れた身体に少しずつ涼しい感覚が入ってくることにびっくりする。
 火照っていた身体には気持ちがいいくらいの冷たさが徐々に広がって、彼の気遣いだと知れば微笑を浮かべた。
 魔術の応用か何かだろうか。それなら、彼のように羽振りのよさそうな人物が一人で貧民地区を歩いてて無事な理由も頷けた。
 すでに何人か返り討ちにしていることまでは分からなかったが。
 ともあれ、ありがたい気遣いに礼を告げる。)

「ありがとうござます、助かります。
 ────では、此方へ」

(誘導するように歩き出しながら、「仲間に連絡しておきますので」と断りを入れてから、
 通信魔導具で相棒の方に連絡を入れておく。了解と簡素な返事を受けた後、
 娼館の並ぶ区画への道を歩き、複雑に入り組む路地を通っていくだろう。
 十分か、十五分か。それぐらいの時間を歩いていった先で、明らかに他とは異なる整備された区画へと出るだろう。
 少し品のよい外観の建物がいくつも並んでいるが、昼過ぎということもあって人も閑散としている。)

ファルスィーク > 「ふむ……自立型迷宮と言った所か。
…マッピングが出来るのなら、1か月ごとの物をそれなりの値段で買い取ってもいいが」

どの様に変化を見せるのかは観察すれば面白そうだと思っての提案。
傍から見れば単なる物好きでしかないのだが、貧民区を巡回するのが仕事であるのなら、そのついでも小遣い稼ぎも出来るだろう。
娼館の位置を地図上で示されると、大体の方角などは理解はできるのだが…。

「…言葉に甘えるとしよう。
そうだな…男娼でも構わないが。
―魔法、魔術の類は、使い勝手が良いほうが価値が出る。
特に日常で使える物は、実感できて分かり易い使い方だろう?」

驚きの表情になるのを見て、また笑った。
ただでさえ熱を帯びた金属は躰に負担になるばかりで疲労する。
剣の腕が以前洞窟での邂逅より下がっていなければ、青年の実力では鎧などは必要はなさそうだが。
――目を凝らせば、少し離れた所に倒れている男が2人。
それらの所持品を奪おうとしている子供達が何人か見受けられるかもしれないが。

礼の言葉にまた手を振りながら、案内されるままに足を進めていく。
以前に聞いた通り、何人かの仲間と共に従事しているらしいのは伺えた。
短い時間での移動で街の様相の変化が見え始めたのは、貧民区から離れつつある証拠か。
まだ夕方前という事もあり、飲食関係の店が開くのももう少し後の時間帯ともなろうか。
まして、娼館となれば夜の商売であるが。

「ふむ…まだ時間は早いか。
―私的には―サウロ、君も十分、好みの部類に入るんだが……」

まだ名も聞いていない青年の名を呼び、フードを少し上げて真正面から、魔眼を行使しながら青年の瞳を見詰めてみるが―さて、反応は如何に。

サウロ > 「はは、貧民地区の冒険者ギルドで、マッパー……地図製作で小金を稼いでる冒険者もいるそうです。
 依頼を出せば、金額次第で私のものよりいいものが得られると思いますよ」

(とは言え、貧民地区にあるような冒険者ギルドは後ろ暗いところもある。
 金額次第では何でもする、という組織もあるのだから、注意が必要ではあるが。
 そんな話をしつつ、彼の言葉にはやはり娼婦に用事が?と軽く首を傾げるだけで。
 相棒ならずけずけと事情を聞いたかもしれないが、職務中のサウロが色事について話す事もなく、
 話題は必然と使って貰った魔術のことになるだろう。
 これから先、暑くなっていく季節には便利だという話になっていったか。

 ────道中の事はさておき、目的地へとたどり着いた。
 まだ軒並み店は開いておらず、飲食店もぼちぼち開店準備を始めている所。
 彼がこの後どうするかは分からないが、一旦は案内を終えたことで振り向き。)

「何をご冗談を、……────どうして僕の名前を?」

(名前を呼ばれて、僅かに双眸を見開く。
 名乗った覚えはない。が、以前に会ったことがある素振りをしていた彼なら、知っていてもおかしくはないのか。
 蒼銀の双眸と視線が合う。彼が持つ魅惑の魔眼。
 その瞳が妖しく輝くのを直視したものの、サウロには抗魅了の能力があり精神干渉に及ぶソレを弾いた。
 しかし過去に一度かかったことがあるそれは、反動のようにズキッとサウロの頭に痛みを齎して。
 頭に手を添えて眉間に皺を寄せながら、数歩よろめいて下がり。)

「ぐぁ……うっ、……なに、を」

(流石に、何かをされたことはわかる。帯剣している柄に手を伸ばして添え、警戒するように数歩下がり。)

ファルスィーク > 「地図というのは意外と馬鹿にならない物だからな。
仕事の依頼を出してもいいが、出来栄え以上の値を吹っ掛けられる可能性も出てきそうだ…」

特に都市部の地図となると、それは軍事的にかなりの重要度を占める。
正確なものであればある程、その価値は計り知れないのだから値が張るのは当然の事だが…己としては一種の迷宮地図として愉しみたい所がある。
冒険者ギルドというのは、都市ごとにやはり違うものなのだろうか。
区画ごとにあるとすれば、確かに貧民区ではならず者の類が多くなりそうではあるか…と、出会った事のある数人の冒険者を思い出しつつの。
問われれば、普通に性欲の解消だと答え乍ら、お勧めの店があるのかと逆に問うてみたりも。
魔術に対して聞かれるのであれば、それにも答えはするが在り方としては特殊なものであるので、その道の専門家にその話をすれば眉間に皺を寄せて唸るか、ホラ吹きだと一笑されるかの反応となる。

道案内も終盤。娼館が開くにはやはりまだ早く――。

「冗談ではいう事ではないし、私は君を知っているからね。
であれば、君も無論私を知っているという事になる訳だが……さて、君の幸運を量ってみるとしよう」

見据えた瞳。指輪を外していないので、その力はかなり軽減されてはいる。
そして、青年の能力も以前把握済みではあるが…打ち込んでいる楔がまだ完全に抜けきれずに残っているのであれば、例え弾いたとしても躰が思い出す可能性が大きい。
特に強制的に解除したのであれば、何処かに無理は生じている。
そして、その隙は…今己を目の前にしていれば青年自身の内でも無視できない程に大きくなるのか。
幸運を量る……それは言葉そのままの青年の未来がどうなるのかという意味を持ち――。

「さすがは天賦の才……何を?か。
では、もっと分かり易くした方が良いだろうかな」

間合いを取り剣の柄に手を掛けるのは警告を意味するのは理解できるが………下がった分己も足を進めながら、指に嵌っている指輪を2つ抜きとり、再び見据える瞳は先程とは比べ物にならない程の輝きを持ち、それは射抜くという表現が適切か。

サウロ > (地図についてや魔術についての話をしながら歩んでいた時間が平穏であっただけに、
 魔眼を用いてきた彼が急に豹変したように感じるのは、サウロの記憶がないせいだろう。
 記憶を削がねば解除できない程に深く浸透した魔眼の効果は強力で、
 それが再び襲い掛かるのであれば無理をした分の反動は当然起きうる事実。
 幸運を量る、その意味を正確に把握しきれないままに、下がった分距離を詰めてくる彼に息を呑み。)

「それ以上、近付くな……ッ────!」

(危険だ、この男は危険だ。
 警鐘を鳴らすような頭痛が酷くなる。覚えのない映像が砂嵐のように脳裏を過っていく。
 過去に、どこかで、確かにこの男と会ったことがあると確信させる断片的な記憶。
 ちゃり、と指輪が外れる音がやけに響いて、その瞳を見ないようにとしていた視線が、
 まるで強制的に引っ張られるように合わさる。

 瞬間────突き抜けるような衝動が走り抜ける。
 精神や思考を支配しようとする効果を弾いたとしても、その体に及ぼす効果までは防ぎきることは出来ず。
 鎧の下で涼しく冷却してくれている魔術が強く感じるほどに、身体が熱く火照っていく。
 熱が下半身に落ちて、疼き、込み上げる性欲とその衝動に白いサウロの肌に朱が走る。
 眦や頬に、耳に、首の裏まで色が付きやすい肌を赤く染めて、身体の芯を熱くし、強制的な発情状態へと陥っていった。
 苦しく、窮屈なズボンの中で屹立する逸物と、疼く後孔と、こんな路上でという羞恥心。)

「────ッ、……!」

(まだ、足が動くうちに逃げなければと踵を返したが、それよりも近づいた彼が手を伸ばす方が早いだろうか。
 あるいはその目と声で命令する方が、確実か。
 逃がすつもりがないのであれば、サウロは彼から逃げられないだろう。)
 

ファルスィーク > 青年がどのような処置をしたのかは己は知るはずもない。
が、その対処がそれ相応に負荷をかけたものであるらしいのは、初見の反応から。
初めの魔眼を弾き、直観的に反応したその対応は間違いではなく、玄人の判断であり相応の経験から勝手に躰が動いたようだったが…剣に手がかかっているのにも構わず、距離を詰めたのは青年にとっても意外であったらしい。
予想外の出来事の連続……警告の言葉を向けられるも、楽し気な笑みを浮かべるばかり。
先程までとは打って変わっての、何処か好戦的にも取れる態度ではあった。
そして―相当な熟練者ではない限り、視覚は意識せずに周囲を窺いながらも、危険なものには特に集中する。
故に見るという行為は中々に防ぎようがないか。

―合わさった瞳。見据え捉えた。
精神面への反応は鈍く感じたが、身体面への効果は覿面であり記憶は削られたとしても、一度その快楽を味わっている躰にとっては忘れられない疼きとなるらしく、あっという間に上気して朱に染まる顔がそれを物語っていた。
息を呑むのは青年自身がその状態に戸惑いながらも吞まれ始めている証拠か。
その一瞬の反応の遅れ―間合いを詰めた己は青年の目の前まで移動しており、剣の柄に掛けていた青年の右手を左手で抑え、踵を返そうと翻そうとした時には抑えた手首を掴んで引く事で己の方へと引き寄せようか。

「先ほども言ったが…君も十分好みの部類だ。
君の躰もすっかり私に反応しているようだしな……サウロ自身分かっているだろう?」

抱き寄せた青年の顔を上げさせ、顔を覗き見るように近付けながら囁く言葉の次に唇が重なっていくのか。

サウロ > 「はな、せ……ッ、う、ぐ、ぁ、あッ」

(武器を持つ手を抑え込まれ、ガントレットをつけている手首を掴まれて、その細身からは想像もつかない力で引き寄せられる。
 その腕を振り払おうと力を籠めようとしても、まるで抗うなと言わんばかりに頭痛がして苦し気な声が漏れる。
 それは彼からの圧力というよりは、魔眼の力に魅入られた身体が抵抗力を削ごうとしているようで。
 思考や精神はまだサウロの意思を保っているというのに、身体がサウロの意思を裏切ろうとしている。
 発情して発熱する身体と頭痛で汗を滲ませながら、囁くように告げられる声に、眩暈がする。
 その言葉の通り、身体はどうしようもない性欲の昂りを覚えてしまっていた。
 それを認められずにいるのは、常のサウロの理性が強いせいだろう。)

「違う、……ッ、これは、貴様が、ぁ゛、ぐぅ……ッ!」

(見えない何かで体の内から囚われていくような感覚に、身体が強張る。
 覗き込んでくる双眸から逃れようときつく双眸を閉ざしながら、唇が重なればドク、ドクと全身の熱が悦びを見出す。
 意識と身体のちぐはぐさに困惑と羞恥を覚えながら、抱き寄せる彼の身に力が入らなくなる身体が凭れていって。)

ファルスィーク > 抵抗する意思と従順であろうとする躰の鬩ぎあい。
青年の内で行われている歪みへの整合性がもたらすものであるのだろうが、己からしてみれば存分に隙だらけでもある現状。
引き寄せ腕の内に捕えれば、鎧の冷気と己が内の冷気が重なり、火照る青年の躰にはさらに心地よく感じられるのだろうが。
強制的に引き上げられる感度と情欲は発情と言い換えても過言ではないだろうが……それに抗う様な理性は、強ければ強いほど快感というものを実感し、躰の内を焦がしていくだけになろうか。

「そうだな……私がサウロを再び捉えただけだ」

残念ながら、己が手から逃げ切った幸運は、今回は敵わなかったようだ。
懸命に瞼を閉じて何とか抵抗の意思を示しているようだが……重ねた唇は感触を楽しむように軽く吸い…その度になるリップノイズ。
それから擦り合わせて口付けを更に実感させ、唇が開くのならば唇で食み舌をゆるりと滑り込ませてみるのだった。
力が入らなくなるのなら、その躰を片腕で支えるだけの膂力はあり。

サウロ > (暑いぐらい火照った身体を冷やす冷却の魔術が心地いい。心地いいというのは快楽にも通じる。
 物理的な接触によるものではないにしろ、気持ち良いと脳が認識してしまえば、発情している身体を鎮めるどころか、
 ますます昂らせていくばかりで、昂る程に理性ががりがりと削られていくことになる。
 下半身に落ちた熱がもどかしいぐらいで、性欲が昂るほどに各箇所が疼き出す。
 どこか楽し気に捉えたという声に、身体はもう抗う力を失い、唯一閉ざした目だけが、
 意識まで呑まれてなるものかという最後の砦だ。
 無防備にも等しく、彼に凭れ、縋りつくしか出来ない体を支えられ、触れあう唇が吸われる感触が、やけに強く感じられる。)

「っ、ふ……ぅ、んん……ぁッ」

(唇を閉ざしても零れる声はだんだん艶を持ち、ぬるりと這う舌の感触に熱を持った吐息が零れ、
 その隙間を縫うように入り込む舌の侵入を許すことになる。
 押し返そうとした舌は、追い出すことも出来ず舌を絡ませていく形になるだろうか。
 目を閉じているからこそ、余計に鮮明に感じられる舌の熱と、動き、唾液が絡まる音まで、
 否が応でも性感を高めていくのは、生理現象でもあるだろう。
 傍から見れば、変わった格好をした男娼が客に媚びるような濃厚なキスをしているようでもある。

 ────往来でそんなことをしていれば必然人の目にも触れる。
 「そんなとこで盛ってないでさっさと店行きな」と、誰かしらが二人に声を掛けるだろう。
 娼館が並ぶ通りではあるが連れ込み宿も多い区画だ。外観だけでも、すぐにわかる筈。)

ファルスィーク > 様々な事が快楽へ紐付けされていくばかりで、孤軍奮闘している青年の意志は確実に削られ消耗するばかり。
ここまでくれば抵抗という名の気力も、強すぎる理性が仇となりその内に瓦解していく事になりそうだ。
人であれ魔であれ…苦痛には耐える事は出来ても、快楽には抗えない――それは長年の観察より得た答えの一つ。
それでも今だに…きつく閉ざしている瞼が意思表示の表れ…意地みたいなものか。
そう言う強さを見せる程に堕とす心地よさも増すだけなのだが――。

零れた甘さを含んだ声は、もはや性的な快感を示すような物。
開いた唇から入り込む舌は、迎え撃とうとした青年の舌に絡まりながら舐め…同時に流し込んでいく唾液が淫猥さを徐々に掻き立てていくか。
そんな口付けは長く、青年の呼吸にも苦しくなるほど濃密なものとなるばかり。
だが抱き寄せたまま、まだ口付け以上の事はしない為に内包した熱は燻りを大きくしていくのみ。

不意に駆けられる声は野次のような揶揄う物ではあるが――行為をひとしきり見せ付けるようにして離した唇。

「…宿の方はもう開いているようだ。
躰の熱は責任をもってとってやろう」

間近で甘く囁きながら、ぐったり君の青年の躰を抱きつつ向かう先は宿。
受付をしている宿主は、慣れているのかすぐに部屋を提示したので、青年と共にその部屋へと姿を消していく事になるか。

サウロ > (舌が絡まり、流れ込む唾液が絡まる度に立つ音に、この濃厚なキスすら気持ちよく感じてしまう。
 追い出すつもりのソレが積極的に絡ませにいくものになっていくのはすぐで、
 意識ではまだ抵抗しているつもりであるのに、頬を火照らせ甘い声を漏らす身体は、すでに陥落している。
 息苦しさで酸素が足りずに霞掛かっていく思考力は低下し、発情している身体も相俟って、
 冷却魔術がなければ火照った体の熱を発散させるためにあられもない痴態を見せていたかもしれない。
 とは言え、そう遠くない内にそうなるのだろう。
 ようやく離される頃には唇には糸が引いて、離れるのを惜しむように赤い舌が覗く。
 薄っすら開いた双眸は抵抗が緩んでいる証であり、潤んだ碧の双眸が揺れる。
 じんわりと額に汗を滲ませ、赤く色づく頬から顎まで伝い落ちるのは、整った見目も相俟って妙に色香を放っていたか。
 その顔も、彼なら良く知っているだろう。)

「……はぁ、ッ、……」

(甘く囁く声に、身体が期待して疼きを増すのが、酷く恥ずかしくて。
 離せと言う声も言葉にならず、彼に支えられる形で宿へ。そのまま宛がわれた部屋へと、姿を消すだろう────。)

サウロ > 【中断、後日再開】
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からファルスィークさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からサウロさんが去りました。