2023/06/26 のログ
インフェルニア > 「あ、やっぱ変かなあ? どーやってもニンゲンにはうまく化けれんのだよね。気を抜くと角がでちゃったりとかさ
 この辺の連中は金さえ払えば、どーでもいいみたいで助かるけど。あ、まあみんな大抵、何かしらやってるから
 騎士とか警邏隊に見つかるとしょっ引かれっからかもな……」

あなたの視線でやっぱりへんなのかー。とつぶやきながら、自分の肌やら髪やら衣服やらを指でつまんでみたり。
魔族……の類で間違いなかろう。とはいえ、ハデクやらタナールに出没するマグメールを敵視する連中と違い、あまりとげとげしいところがない。
それどころか、自らそれとなくばらしてしまう始末。

「でもさァ、お嬢もそういう類? しっぽ出てるし」

そういうと、お嬢などと馴れ馴れしく声を掛けながら、大きな体でかがみこみあなたのスカートからはみ出た龍の尾を如何にも触りたそうに眺めるのだ。

「……んー、迷子じゃないってことは……あー、なるほどね。この辺にお貴族様が来るってことはそう言うことかァ。
 息をのむ陰謀、密談、研ぎ澄まされる寸鉄! 好色な司祭を登場させれば至極の物語となる! とかそういう……」

……女は急に芝居がかって話したが、急に恥ずかしくなったのかそれをまたすぐやめた。なんでもそこの酒場で酔っぱらってた詩人の真似、であるらしい。

フェブラリア > 「あらあら、自分から言ってしまうのですか?
ふふふ、正体探りの手間は省けましたけど、言わなければ無理には問いませんでしたのに。」

くつくつと、なんとも愉快気に竜令嬢は笑った。
何とも率直で、裏表のない性格。悪く言えば、バカ正直とでもいうべきか。
しかして、竜令嬢の好む性質なのは間違いないらしい。

「私は、こうみえても両親は人ですよ。先祖返り、というやつらしいですが。」

ひらり、はらりと、尾を揺らしながら竜令嬢はそう返す。
少なくとも人の側に居るつもりだと、そう言うように。

「…しかしてまあ、ふふふ、それはまたありがちな物語でございますねぇ。
残念ながら、ただのお忍びの外遊のようなもの、視察と言えば視察ですが大した理由ではありませぬよ。」

その上で、楽し気な笑みを保ったまま、竜令嬢は続けた。
実際、彼女がここに来た理由はしいて言えば私情が9割。
味わえる”餌”、あるいは楽しめる”玩具”…そうした類をお咎めなしに得られるからだ。

インフェルニア > 「ふーん、貴族とかはそういうの煩そうだけど……つまりはお嬢、アンタあれだねェ?
 相当お金持ってるでしょ。黙ってろ、って頬っぺたをたたく札束があるのはいいことだよォ。
 この辺の連中の黙ってろはアタシ含め、強烈なロングフックの一撃だから」

いいなァ、アタシもお金があればこんな路地裏の『どぶ水エール』じゃなく、まともなエールとかお高いワインのひとつでも飲めるのにィ、
などと女は冗談めかして言う。さきほどからあなたを明らかに得物としてみているチンピラも数人いるが、あからさまに人間離れした尻尾を警戒されているのか、なかなか襲ってこない。こいつは、声をかけてきたが羨むだけで取ろうなどとは一切思ってないようだが。

「お遊びの外遊ねェ……まー、お貴族様連中もこの辺の女をわざわざ味わいに来たりするらしいけどさァ、
 他は怪しげな薬の材料だったり、表向きご禁制の魔術書だったり。お嬢はどういうのが欲しいワケ?
 アタシはバカだけどさすがに、物見遊山でこんな場所に来ることはないってのはわかるよ」

そういうと、にやりと笑って。

「どこ行きたいの? お姉さんが案内したげる。悪い男かわいいお嬢がキズモンにされるのもしゃくだしさ!」

フェブラリア > 「まあ、それなりに…お察しの通り、黙ってもらえるだけのものはございますよ。」

どうやら目の前の相手は、正直であれども何とも鋭く、知恵者であるらしい。
だからこそ隠し立てはせず、「ワイン程度でしたら差し上げましょうか?」なんて冗談を交えて返す。

一方で、竜令嬢は既に周囲の有耶無耶にはほとんど興味がないらしく、警戒もしていなかった。
己の容姿故に襲われることが少ないのも知っているのもそうだが、
何よりも、”襲われたとてどうとでもなる”という己の力に対する自負から来るものであったが。

「キズモノにされるほど、軟でも無垢でもございませぬが、
まあそうですね――しいて言うのであれば、よい”食物”を探していたのですよ。
例えばそう物珍しく、味わった事のない――貴女のような。」

そして、その目的をさらに問われるのならば、まるで試すかのようにそう返す。

インフェルニア > 「ふぅん?」

食べ物を探していた、珍しい食べ物を。
その言葉を聞いたとたん、目の前の女はふぅん、と最初にあなたがしたように値踏みするような視線をあなたに向けた。

「いいね。軟でも無垢でもない、芯のあるお嬢をキズモノにすんの……
 そういう目をさァ、むけられっと……するじゃん。ムラっとさ。それにゾクゾクする……♡」

女は、貴女と同じく捕食者の目をしていた。男女関係なく、どいつもこいつも抱いて、抱きつぶしてきた、そんな風だ。
そう、値踏みするような視線はいつしか、獲物を見る眼に変わっていたのだ。

「来なよ。お嬢が満足すっかわかんねーけどさ、この辺で一等『マシ』な宿を紹介してやっからさ。
 その変わり……ついてきて、ドアにカギがかかったら。そういう目をアタシに向けたこと、後悔するよ」

フェブラリア > 「ふふふふ、人の事は言えませぬが――貴女も中々、好き者のようで。」

実に楽し気に、フェブラリアはそう返した。
己を喰らおうとする捕食者の視線。
決して熟しているとは言えぬ己に対して向ける、明確な欲望。

それは久方ぶりに向けられる、新鮮な感覚。
そしてただ喰らう以上のモノを得られるかもしれないという期待感。

こうも強気に、己に対してそれを切り出せる彼女を、如何にして”壊せる”のか。
竜令嬢はその事を思うと、たまらぬ愉悦を感じてしまうのであった。

「では、案内されることにいたしましょう。
そっくりそのまま、同じ言葉が返ってこぬことを期待しておりますよ?」

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からインフェルニアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からフェブラリアさんが去りました。