2023/06/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル >  道の途中には衣服をはぎ取られた女が横たわっていた。
 みぞおちに強い一撃を食らい昏倒させられた後、衣服を破り捨てられたその女のぼろぼろに裂けた布切れが周囲に散らばっている。
 けれど、それ以上のことをされた形跡がないのが奇妙と云えば奇妙。
 暴力を受け全裸に剥かれてしまってはいるが、その後凌辱に及ばれた痕跡もぼこぼこに殴られた傷もない。
 
 ――何故衣服を剥がれただけの状態で女が路地に放置されているのか。ことは一刻程前に遡る。
 数人がかりで一人の女を犯そうと街を物色していた男たちに眼をつけられ路地裏に引きずりこまれたのだが、その後が一筋縄ではいかないタイプの女だった。
 ヒーラーたる女は暴漢対策にとある技を習得していたのだ。
 それは、強制的に対象を不能にしてしまうというもの。湧き上がった性欲を根こそぎ消去してしまうかのように萎えさせてしまう。
 今夜もそんな技を駆使して襲い掛かって来た暴漢たちを一人残らず、まるで無垢な稚児のごとく不能にしてしてやったまでは、良かった。
 しかし、暴漢たちはことには及べなくなってしまったがせめてもの腹癒せに生意気な女を辱しめてやることにし、気絶させて衣服を破り取ったのだ。
 破った衣服は捨て置き、はぎ取った下着は戯れに持ち去り、剥き上げた女を路上に放置して立ち去って行ったという経緯。
 
 今、そんな一連のできごとに依る結果が転がっていた。
 
 「…………………」
 
 呻き声も立てず、浅い呼吸の繰り返される胸を上下させる以外は一切の動きもなくうつ伏せに力ない腕をだらりと伸ばした、ちょうどI字型に近い姿勢で昏倒している女が一人。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にサウロさんが現れました。
サウロ > (日も暮れた夜間の巡回任務。
 やたらと不満げな男たちがぶつくさ言いながら女性の下着を持ち歩いていたのを引きとめて事情を問い詰めた所、
 反抗的な態度であった為にそれを制圧して。
 妙に引っかかった為仲間に男たちの処遇を任せて、彼らが歩いてきた方角を小走りに探る。
 その先、路地の途中で倒れている女性の姿を見つければ、鎧についている外套(マント)を外し、
 傍らへと駆け寄っていき。)

「君、大丈夫か!?」

(意識はあるだろうか。呼びかけながら、ほぼ全裸に近しい恰好の彼女に外套をかける。
 周囲に散らされた破られた衣服を思えば悲惨な目にも合っていそうだが、
 うつ伏せに倒れている肌の様子から、外傷のようなものは見られなかった。
 とは言え、うら若き女性の素肌をまじまじと見るわけにもいかなかったので、
 手早く体に巻き付ける形で体を覆い隠してから、ゆっくりと仰向けにして抱き起そうと。)

ティアフェル >  暴漢どもが下着だけ奪って行ったことが災いし、不審者として不運にも、この国では珍しい職務に忠実な騎士殿に見つかり。
 それは女にとっての大きな幸運で。なんと、救いの手となってやって来た。
 ――端的に云って相当珍しいことだ。
 この界隈には裸に剥かれて路上に棄てられている女など珍しくはないし、それが救われるなんてことはもっとない。

 だから彼の足音が近づくまで。声が掛けられるまでは意識を取り戻す機会もなく微動だにしなかったのであるが。

「………。ん、ぅ………」

 さすがに呼びかける声と素肌にかけられた外套の生地の感触に微かに呻き。

 日中はかなり暑気がきつい気候とはなっていたが――陽の光が絶えて熱の失せた路上はいささか冷える。
 故に、気絶したまま冷えていた身体がくるまれた布で暖かくなった違和感に薄く反応を見せ。さらに抱き起されて身体が動くと、うぅーん…と眉を顰めるようにして瞼も震え。

「う……ん、んぅ……? な……ぁ……?
                   ……? だれ……?」

 まるで寝起きの悪い朝の幼子のごとくむずがるような表情を見せ。
 閉じていた瞼がうすぼんやりと開き。霞んだ視界に見覚えのない顔が映ると、状況をまだ把握していないような、どこか眠そうな声で誰何した。

サウロ > (負傷している様子はなく、呻くというよりは寝起きの兆候のような反応だ。
 長いミルクブラウンの髪、少女らしさを残す顔の方にも凌辱の痕跡が見られない。
 サウロが知る限り、こういった場で複数の男たちから凌辱を受けた後の女性の姿は本当に痛ましいものだ。
 顔も髪も、腕や足にも酷く扱われた跡というのは残るものだが、
 道端に全裸で寝てただけですと言わんばかりに何かをされた痕がないというのは、
 必然と安堵してしまうもので。
 しかし女性が裸に剥かれて放置されること自体あってはならないことだと思い直す。)

「ああ、良かった。意識ははっきりしているかい?
 僕は自由騎士団の者だ。一先ず、君のことを保護させて貰う。安心してくれ」

(うっすらと開いた緑柱石の瞳を見つめ返すのは、碧の瞳だ。
 状況を把握できていない様子に、まずは自分の身分を明かす。
 自由騎士団は特定の主君を持たない騎士団組織であるが、彼女がそれを知っているかどうかはさておき、
 彼女の安全は保証される。
 誠実と真面目を絵にかいたような青年は彼女を支えたまま、通信魔導具で仲間へ連絡を取って。)

「君は、冒険者かい? それとも一般人だろうか。
 安全な場所まで護送するが、帰りを待つ家族がいるのなら、
 連絡を届けなくてはいけないから、名前を聞かせて貰っても?」

ティアフェル >  よくよく見れば腹部に一発喰らった痕跡はあるが――何分骨も筋肉もなく柔らかい箇所なため、暗がりで目立つような殴打痕でもない。
 通りがかりの騎士殿が絵にかいたように紳士的なのも相俟ってそれは外套の中に隠れているばかり。
 ただ、臓器に衝撃を受けているので……当人はそれなりに苦しいのだが。
 だから、目を覚まして介抱してくれる存在を認識した直後には――、

「っ、ぅ゛……ょ、よ、くは、なぃ………ぃ、たたた……お、腹ぁ……ぅくうぅ~っ……
 う、うん、う、え、えと……き、し……さ、ま……? ぁ、ありがと、ぅ……ちょ、ちょっとお待ち、くださるぅ~……?」

 まずは腹部の傷を何とかしたい、腐ってもヒーラーそこは自力で対処できはするが。気絶するほど強く急所に喰らって痛くて辛く、向けられている涼やかな碧眼に涙目で、ちょっと回復するのでぇ…と情けない声で呻くように会話の続きを一時待っていただいて。

「ぅう、っく……」

 身動きすると辛いので支えてもらっているそのままの体勢で腹部を抑えて、なんとかかんとか詠唱に入り……、普段よりやや手古摺りながらもセルフヒーリング開始。詠唱とともに紡いだ術式は正しく作用し、淡い橙の光を掌から産むと、外套の下に隠された腹部に翳し、痛みと痣を消し去ると。

「………ふ、ふぃー……
 あ? え、あ、ごめん! なんだっけ? えと、あと、名前!? ティア……ティアフェル!です! 実家は遠方で今は下宿暮らし!
 ってか、え、なんで、マント……? う゛、え!? 服! 服ない…!?」

 人心地ついて彼からの問いに返答しようとしたが――それはようやく現状を把握し錯乱気味な女の口から発されたため真面な物にはならなかった。
 相当なマイペースで今さら騒ぎ立てて。むく、と上肢を起こしてかけてもらっている外套の前をぎゅっと握りしめながらわたしの服はー?!と喚いていた。

サウロ > 「! 大丈夫か? どこか怪我を、────!」

(女性の腹部ということは自然と胸部も目に入ってしまう為、視線を背けつつマントを巻いたせいで気付けなかったのだろう。
 目を覚ました彼女が腹部に痛みを訴えることに治癒師の仲間に連絡をしようかと思ったが、
 少し待って欲しいということを伝えられれば心配そうにしながらも背中を支えて。
 彼女の手に魔力が流れ、彼女自身が自らの傷を癒していく様子にはホッと安堵する。
 彼女は癒し手なのか、と思いながらも、自己回復が終わるのを静かに待ち。
 しかしそこからはだいぶ意識もはっきりしたのか、落ち着いたかと思えば混乱しだした彼女に困ったように眉を下げて。)

「お、落ち着いて、ティアフェルさん。
 ……その、僕が見つけた時にはすでに、という状態で。
 おそらくアレが、君の服だとは思うんだが……」

(周囲に散らばっている無残に引き裂かれて破かれた衣服を指して告げる。
 ついでに下着は彼女を襲ったと思しき男たちの手に渡ってしまったが、
 今頃は仲間が回収してくれているだろう。)

「君を襲った連中については、此方で対処している。
 ……とりあえず服か……。そのままでは風邪を引いてしまう。」

(応急処置のようにマントを巻いてはいるが、当然心もとないだろう。
 とは言え、仲間が来るまではまだ時間がかかる。
 襲われたばかりであれば異性への恐怖心が強く出てパニックになってしまう恐れもあったので、
 宥めながらも彼女の様子を注意深く観察しつつ、どうしたものかと顎に手を当てて考え。)

「君が嫌でなければ、このジャケットを貸すけれど……」

(鎧の下に着ている白いジャケットを指す。
 騎士団の印章が入ったもので、サウロの太腿近くまであるそれなりの裾の長さ、
 彼女の身長ならお尻まで綺麗に隠してくれるはずだ。
 マントよりはいいと思うが、異性のものは嫌ではないかと念の為確認する。)

ティアフェル >  こくこくこくと、怪我の有無を問う声に肯いてはっきり肯定する反応。
 正直露出した胸部も含めた前面をしげしげ見られるよりは気づかれなかった方が精神的ダメージはマシだったのでその点に関し一向に構わないものの。
 ともかくも、自力回復し、一息つく――間もなく、気絶させられた後服を剥がれたという記憶は当然の如くないのでうら若き乙女としてそれは慌てます。

「落ち着け!? 無理すぎでしょ…!? 人の珠の肌剝きやがって再起不能にしてやる!
 見た?! 騎士さん見た!? てかよく見ればいやよく見なくてもイケメンじゃん…っ、イケメン騎士に全裸状態介抱していただくってどういう精神状態で受けとめればいいのかもう分かんないッ」

 ああぁぁぁ~。と頭を抱えて苦悩。落ち着くどころか一人で盛り上がるので大層やかましかったことだろう……。
 また、ここで遅ればせながらやたらめったら容姿の整った年若い騎士に救助してもらったと分かり。
 19歳女子の精神状態は大混乱を極めた。
 アレが君の服、と示されて。己の衣服の残骸を確認すれば、あそこまで破く…!?と目を剥いた。

「襲った連中……騎士様が捕まえてくれたの? わたし自ら処罰するのはアウト? だめ? いいよね?」

 襲った連中、と耳にしてぴくりと反応し、少し冷静になったというか、復讐心を宿らせた瞳で碧眼を見据え。
 そして、どこまでも騎士道精神に溢れる彼が衣服を気にしてジャケットを貸すと伝えてくれると、

「うぅ……や、優しい……不覚にも泣ける……ありがとう、ありがとう……借りる、むしろ貸してください……必ず洗ってお返しします……」

 身長差から羽織ればミニスカートくらいの長さにはなるだろうか。ジャケットをありがたくありがたく拝借しようと外套にくるまった下から手を出しながら。

「でも騎士様寒くない? ごめんね」