2023/05/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にナナさんが現れました。
ナナ > 貧民地区の片隅。
死んだ目で拾ったであろうカビの生えたパンをかじる子供。
美味しいはずはない、そもそも美味しいものを食べたことが無いのだから。

それでも飢えをしのぐ必要がある、だから必要な行為として食事をする。
楽しくもない、ただ必要だから仕方なく行う栄養補給。
だがその痩せ切った体を見れば栄養補給にすらなっていないことは明白だろう。

食べ終えれば何をするでもなくその場にじっと座る。
余計な行動は疲れるだけだ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にファルスィークさんが現れました。
ファルスィーク > そう言えば…と、王都の中でもまだ足を運んだことのない区画でもある貧民地区へ訪れてみたはいいものの…。

「……戦禍に巻き込まれた村よりはマシか」

とは言え、王都内ではある。
大きな貧富の差と治安の悪さは、一目でわかる程。
足を踏み入れた時から、己へ向けられる視線の数々は、獲物を見定めるような…賊よりも分かり易いものであるのだから、日常茶飯事なのだろう。

そんな目線は気にせず…だが、己の後を付けてくる者は何人かいるらしく、やれやれと吐き出す溜息。
力を示せば蜘蛛の子を散らす様に一時的にいなくなりはするだろうが、徒党を組まれると厄介である。
そこで気が付いたのは、何と形容すれば良いのか―パンらしきものを齧っている子供が一人目に入った。

「…丁度良い。そこの子供。道案内でも頼めるかな?
無論、報酬は払う」

随分とやせ細ってはいるが地元の者であると判断して座っている前で足を止めてかけた声…一寸した気紛れはあったかもしれない。

ナナ > 急に声を掛けられて顔を上げる。
どう考えても貧民地区には似つかわしくない格好の男、時々見かける貧民地区を観光地か何かと勘違いした勘違いした人間か。

「……道案内?何それ?訳の分かんない事言ってんじゃねーぞ」

声を聴けば一応女の子らしい声で答える。
だがそもそも教養もない。
道案内という概念すらない、道案内と聞かれてもそもそもそれが何をすればいいのか全く理解できない。
何を言っているんだ、といった表情を浮かべてまたじっと座る。

「それと、報酬ってなんだ?」

また、働いて金を貰うということも知らないので報酬というのが何なのかも分からず聞き返した。

ファルスィーク > 上げられた貌と向けられた瞳。
さて、少年だが少女であるかの区別もつきにくい。
少々荒ぽい声は高めなのだが、少年だとしても声変わり前とも取れる背格好な上、痩せているせいもあり―やはり、性別は今のところ己には分からず。

「ふむ……ああ、恐らく質の悪い連中に狙われている様でね。
その追手から逃げたいんだが、生憎と私はこの辺りの土地勘はない。
君なら詳しそうなので、追手を巻けるかと思って頼んでみた。
―報酬は……そうだね。頼んだ事をしてくれたお礼と思えばいい。
美味しい食事とかは如何だろう」

己よりも遥かに年齢が下である相手に対しても、言葉遣いは変えないまま。
金銭を提示しても良かったが、この地区では与えた所で奪われる確率の方が断然高い。
であれば、確実に与えれるものとして、それを提案してみるのだが。

ナナ > 理由を聞いてようやく内容を理解する。
ゆっくりと立ち上がって。

「……こっちだ、ついて来い」

スタスタと子供にしては足早に歩いてさらに細い路地へと進む。
何度も曲がって大人がギリギリ1人通れるかどうかの道に入る。
何かあった時の逃走ルートとして覚えている道だが後ろに大人がいる分子供専用ルートは使えない。

「お前がいるからちょっと面倒だ、時間かけるぞ」

何度も道を変えてとにかく姿を隠すように道を何度も変えて。
とにかく追手とやらが見失うまで細かく何度も曲がりくねった道を歩き回って。

「おい、追手ってやつはもういないのか、いなくなったら声でもかけてくれ」

自分では追手がいることは分からない。
巻いたかどうかはこのよく分からない男に聞くしかなく。

ファルスィーク > 相手に求める事。その理由は短く分かり易く伝えれば理解が早く、早速動き始めるのに従い頷いて後を追う。
コンパスの差はあるのに早足で動く相手の後を追いかけるのに一苦労するのは、道の選択に躊躇が無い部分が大きいか。

それでもしっかり己の事は気にかけてくれているらしく、ルートの選別は己が通れそうな場所を選んでくれている物の……貧民地区特有の一種の迷宮のよう区画造りにに加え、何度も道を変え細い路地を移動したりが続けば、あっという間に方向感覚も失い…途中から何だか楽しくなってきたのは言わないまま。

案内を頼んで物の数分で追っ手をまく事は出来たが、楽しくなって来たのをいいことに暫くは逃避行を満喫し……。

「……もう大丈夫…のようだ。
感謝する」

しっかり後を追い動き回ったが、呼吸の乱れは見せずに先導する相手に声をかけると膝を折り、目線の高さを合わせてかける礼の言葉。

「さて…では約束の食事だが、この辺りには詳しくない。
足労をかけるが平民地区まで連れて行ってもらえるだろうか」

瘦せこけてはいるのに、あれだけ動き回らせたのだから大丈夫だろうかと少々気にはしつつ―体力が厳しいようなら小脇に抱きかかえてみようともするが。

ナナ > 「そうか」

大丈夫と聞いてぶっきらぼうに、短く答える。

「平民地区……とにかくここの外だな」

あまりここを出たことは無いがここの外、というあいまいな感覚ではわかってはいる。
行こうかと思った時に小脇に抱きかかえられて。

「……おい、汚れっぞ、とにかくこっちの方だ」

埃塗れ泥まみれでお世辞にも綺麗とは言えない体。
それを小脇に抱えられれば汚れるだろうが男を顎で使いつつ平民地区へと移動して。

ファルスィーク > 行きたい場所について言えば、どうやら分かるらしい。
一見、愛想が悪く、言葉もぶっきらぼうではあるのだが、それでも見ず知らずの己に対して応えてくれるのは好感が持てる。
ギブアンドテイクの関係であるから…とも言えなくもないが、追手に売って分け前を…という事も出来たのだから。

小脇に抱えてみれば思った以上に軽い。

「問題ないよ。…こっちだね
それにしても…ここは昼間に来ても道に迷いそうだ」

方向は指示されるままに移動していけば、ようやく貧民区を抜ける事が出来…振り返ってみれば、やはり迷宮のようだと率直な感想。

此処からは己の方が地理がある。という事で、相手を小脇に抱えたまま入るのはこの時間では空いているのが一寸した酒場しかなく―多少の喧騒はあるものの、そこは我慢してもらう事にした。
店に入ると店主から微妙な顔をされたが、其処は先に幾らか支払う事で黙らせ。

「いや…助かった。
食べたいものがあれば、何でも言ってくれて構わない。
…取り敢えずパンとシチュー辺りで良いだろうか?
肉や魚も扱ってはいるようだが」

ナナ > 平民地区にはめったに来たことが無い。
本能的に自分がいてはいけない場所だと感じてしまうから。
酒場など当然入ったことも無く表情こそ変えないが周りをきょろきょろと見渡す。

「食い物なら何でもいい」

椅子に座る。
パンというのは分かる、シチューも昔啜った記憶がある、熱い泥水みたいなやつだ。
肉とか魚はよく分からない。

「そのパンとシチューってやつでいい、他はよく分からないからな」

メニューを見てもそもそも字が読めないから何なのか分からない。
じゃあこの男の言う通りパンとシチューでいいだろう。

「まだ来ないのか、落ち着かねーぞ」

始めてくる場所に落ち着かず足をぶらぶらさせて。

ファルスィーク > 己と小脇に抱えた相手との組み合わせに、酒場の客達からも好奇の目を向けられる事になるが、それも一時的の事で特に絡んでくる者もいないのは、さりげなく牽制をしていたからでもあるのだが。
店の奥のテーブルに陣取り、脇に抱えていた相手を椅子に座らせるように降ろし。

「食欲があるのは良い事だね。
まあ、育ち盛りな時期でもあるから当然と言えば当然か。
うん……では、肉と魚も頼んでおこうか」

よく分からないというのは、食べた事が無いという意味だろうか。
であるのならばと、己はワイン、羊肉と川魚を追加でオーダー。

「そう言えば名乗るのがまだだったかな。
私はファルスという」

向かいに座る相手に名乗る頃には運ばれてくるパンとシチューの入った深皿にスプーンが添えられる。
香草と塩で焼いた羊肉と魚が運ばれてくるのはもう少し後になるのだが。

ナナ > 「ナナ」

一言だけ名前をつぶやく。
ごろつきが適当に呼んだ名前をそのまま使っているだけで何も思い入れもないが意思疎通に便利なので使っている。

運ばれてきたパンとシチュー。
パンの時点で自分の知っているパンじゃない、石のように固くも無ければカビも生えていない。
指で押すと形が変わるほど柔らかい。

「おお……」

珍しく驚くとそのままかぶりつく。
口に入れたまましばらく固まる、パンってこんな味がするのかと。
ようやく飲み込んだかと思えばシチューに添えられたスプーンを掴んで見つめ。

「何だこれ、いらね」

その場で投げ捨てて皿ごど持って飲む。

「熱い!ごほっ!」

美味しいが熱くてその場でむせて吐き出してしまい。

ファルスィーク > 問いかけには短いがしっかり応えるので、もしかしたらコミュニケーションが下手なだけだろうか。
相手の名前を聞きはするが、さて…プライベートな事に突っ込んで聞いていいものかと悩んでいると、相手は運ばれてきたパンの柔らかさに興味津々な様子。

おもむろに口に運んで食べている反応は見ていて微笑ましい。己と言えばワインのグラスを片手に傾け……シチューに皿ごと行くのを止める間もなく―。

「いや…豪快ではあるけれど、流石に熱いからね?
誰かが取るわけでもないし、ゆっくり食べればいい。」

苦笑しながら咽る相手の小さな手を軽く叩きながら、吐き出してしまったものはハンカチで拭き取った後、落ちたスプーンを拾い上げると店主に交換を頼み……少しは落ち付いた頃に…はたと気付くと改めて…食べ方を教える事にしてみた。

「パンはそのまま食べても美味しいけれど、シチューに付けて食べても美味しいからね。
後、スプーンはこうして使うんだよ」

実際に目の前でしてみれば分かり易いかと、スプーンでシチューを掬い息を吹きかけて冷ましてから相手の口元へ運んで見せる。

「ナナはずっと貧民区に住んでいるのかな?
ご両親の分もいくらか土産という事で持たせた方が良いだろうか」

ナナ > 「こうか?」

相手の持ったスプーンからシチューを飲み込む。
さっきよりは熱くなくちゃんと飲める。

「うまいな、これ」

平静を装っているが今まで食べたの物の中でもトップクラスに美味しい。
親のことを聞かれると首を傾げ。

「りょーしん?なんだそりゃ?お前は時々変な事を言うな、おれはりょーしんなんか聞いた事も見たこともねーぞ」

物心ついた時から孤児だったので両親と言われても分からない。
何を言っているのか分からないといった顔をして再びシチューを、言われた通りスプーンですくって息を吹きかけてから飲み込んだ。

ファルスィーク > 「そうそう……熱いものはそうやって食べると、さっきみたいにはならないから。
美味しいのなら何よりだよ。
……両親というのはナナの親の事だが…」

何度かスプーンでシチューをすくい上げ、息を吹きかけて冷まし飲ませ―今度は自分でやってみる様にと渡すスプーン。
親の事についても訪ねてみたが、単語の意味も伝わらないのは、教えてもらう事が無かったからなのだろう。
となると…親がいない可能性が大いにあるようだ。
そんなやり取りをしていると運ばれてくる肉と魚は、取りざらに綺麗に取り分けると、シチューの深皿の横に置いた。
添えているフォークを手に取ると、スプーン同様に使い方を教え食べるように促してみる。

「ふむ……ナナ。
良ければ私の下で働いてみないか?
住む所、食べる物に関しては、私が保証しよう」

ナナ > 「親?知らないな、おれはずっと一人だ」

親というのもよく分からないが要するに仲間の類なのかと思い自分はずっと一人だったことを伝える。
肉と魚は初めて見るのか用心深くスプーンで突く。

「働く?それはよく分からないけど寝床をくれるのならいいぞ」

働くという概念が無いのでよく分からないが住むところを提供してくれるのは助かる。
正直何を考えているのかよく分からないし妖しいと言えば怪しいが少なくとも今より悪いことは無いだろう。