2023/05/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にオウルさんが現れました。
オウル > 口に棒つきキャンディーを咥えた少年が小雨の中を歩く。
降り注ぐ雨粒は外套に当り流れ落ちるか、布に滲みこんで少年の身体を冷やす。

王都マグメール貧民地区。
今宵は小雨とはいえ雨で濡れるのを嫌う住人達は静まり、喧騒も聞こえず、極々稀に喘ぎ声が聞こえるが、いつもよりはだいぶ静かな夜だった。

ハァ……少し羨ましい。
喘ぎ声ではなく、屋根のある場所で生活できるのが羨ましい。
自分で言うのも何だがあまりお金のやり繰りが得意じゃあなくて、今日もそれで失敗して無一文……とはいかないが、宿に部屋を借りるだけのゴルドを賭けですって、ギルドに縋りついたらついたで、じゃあ被験者ね?何てマッドや薬師に口に棒つきのキャンディーを放り込まれて、宿代にたらないゴルドを握らせられて、今に至る。

どうしようか?
本当にどうしようか?
風邪を引くとそれはそれで金が掛かるし、部屋にもぐりこめる知り合いもなし、このまま歩いていれば幸運に出会えるか?と言えばそれも無さそうな……。

取り合えず、愚痴りながら平民地区を目指して歩く。
外套が雨水を吸い込みすぎて重たくなる前に、何とかしなければと。

平民地区まで行けば、何とかなるというのは特に理由は無い。
少年はひとまず駆け出して、貧民地区を抜けて平民地区の通りへと消えるのだった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からオウルさんが去りました。