2023/04/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にロイナさんが現れました。
ロイナ > 「なんか…」

最近動きづらくなったなぁ、とふと思う。
貧民地区はまだマシだが、富裕地区なんかだと場所柄衛兵めいた者を雇っている邸宅も多い。
それがある種当たり前なのだが、淫魔や魔族にとっては鬱陶しいことこの上ない。

「ま、別にいいんだけどね」

どうせ一時的な話だ。腐った部分はそのまま残っているのだし、少し待っていれば再び広がっていくだろう。
となれば無防備な王都民も増えてくる。
ねらい目はそこかな、とぼんやりざっくり考えながら。

そんな少女は今、貧民地区の娼館が立ち並ぶ通りを歩いている。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にフェティーダさんが現れました。
フェティーダ > 「つまらなさそうね。せっかくの可愛いお顔が台無し……とまではいかない程美しいあなたが。
 やっぱりつまらなさそうなのは。ええ。かわいそうね。かわいそう」

いつの間にか、貴女の隣を淫靡な下着めいた衣装の。
そしてそうした姿で客引きをする娼婦……にしては豪奢すぎるそれを身にまとった少女が歩いていた。
見た目からして年齢はおおよそあなたと同程度に見えはするが、その身にまとう気配は蠱惑的で明らかに魔族であろうそれ。
といっても、魔術の素養を持つものがかぎつけてあたりがパニックになっていないのは最低限の認識阻害程度はしているようで。

「私もこのところ、やりづらくって。別段、替えはいくらでもいるのだけれどポーンといえども無為に駒を失うのは気分のいいものではないでしょう?」

その少女は、あなたの表情から考えを読んだのかそういう事を考えていたんでしょう?
とばかりに笑みを浮かべて、あなたの顔を覗き込む。

「私はフェティーダ・アンダーザローズ。あなたのことは知っているわ。淫魔種のロイナさん。
 結構長く王都にいる魔族って、限られてくるもの。みんな飽きたり、死んだりして消えていくから」

フェティーダと名乗る少女は、瀟洒だがどこか演技臭く気取った様子であなたに宮廷風の礼をした。

ロイナ > 「んん?」

気が付くと、すぐ隣を少女が歩いていた。
パッと見でその正体は察することが出来る。自分と同じ魔族…それも中々の力を持つ者だろう。
認識阻害の術に関しては、この辺りに魔術の素養を持つ人間がいるかはわからないが…
まぁやっておくに越したことはないとして。

「あ、ご丁寧にどうも…フェティーダ。
ポーンだとか何とか、あたしは別にそこまで大したこと考えてないかな」

やや気取った自己紹介を受ければ、ぺこっと軽く頭を下げて返す。
同時になんとなくその姿を眺め回し…
自分程ではないが、中々淫靡な恰好をしているなぁと思った。

「あたしは王都を気楽にぶらついて、美味しいコトできればそれでいいもの。
相手が人間だろうと魔族だろうとね」

それが淫魔ってもんでしょ、と冗談めかし笑うロイナ。

フェティーダ > 「でしょうね。淫魔っていうのは……中には人間を吸い殺すのが大好きな娘もいるけれど、
 半分くらいは魔族にも人間にも肩入れせずに『楽しいコト』だけシていたいって娘が大半ですものね」

フェティーダという魔族。もしあなたが王都の裏事情に通じているならここ最近、王都に潜り込んでマグメール王国の貴族や軍部に対して
工作を仕掛けていることを知っているかもしれない。たとえばどこぞの子爵が頓死しただとか。貧民地区のとあるモグリ酒場――という名の盗賊ギルドが王国側を裏切って魔族側に情報を流し始めた裏事情だとか。あるいは、侯爵家の子女が魔族と通じ、今度富裕地区の『そういう』サロンに足を運ぶように仕向けたとか。とはいえ、それらはあなたの言う『美味しいコト』ではない。知らなくとも無理はないし、寧ろ知らない可能性が高いか。

「王都で活動できている魔族はおおよそ二つなの。ひとつは、貴女みたいに争いごとに興味がなくて。魔族側から戦力としても見られず、王国側からも対処の優先順位が低いから放っておかれているタイプ。もうひとつは、本当に優秀で王国や教会からの追及を逃れ続けているタイプね。だいたいがどちらか」

そう言って、フェティーダと名乗った少女はあなたの前に回って目を細める。

「私はね。その中間なの。そこそこ優秀な自負はあるけれど、まだマグメール王国に対してそこまで脅威ではない。だから強い戦士や聖職者の類が送り込まれてこない。端的に言うわね。ロイナさん。私は、あなたを『スカウト』しにきたの。私は私の名を残すために王国と魔族の戦いで大きな手柄を挙げたい。でも、その為には優秀な人材が必要で……『貴女』にぜひ私の手助けをしてもらいたいの。ポーンだけではチェスには勝てない。ナイトやクイーンがいなくちゃね」

……明らかにめんどくさい案件だ。これにYESと言ってしまうと今までほぼ無縁であったであろう魔族の国とマグメール王国の戦いに巻き込まれる。

「とはいえ。あなたは絶対にYESと言ってくれないだろうから、特別な報酬を用意したわ。報酬は『私』というのはどうかしら?
 私は『美味しい』ことは保証するわ。試しに一晩過ごしてみて、それから考える……ってコトでもいいけれど、いかがかしら?」

ロイナ > 生憎と、王都の裏事情に詳しいわけではない。
せいぜいが娼婦や王都の女性と寝た時、閨で聞かされる程度だろうか。
勿論自分を抱き抱かれれば、そんな話をするどころではなくなる子も多いのだが。
なのでフェティーダの名前は今日初めて知ったのだった。

「……」

つらつらと喋り続ける相手を見つめながら、口は差し挟まず一先ず耳を傾けていた。
が、正面に回られると一旦足を止める。
そこで『スカウト』という単語が出てくれば意外そうに瞬く。

「フェティーダはあたしがその、優秀な人材だと?」

首を傾ぐ。話を聞く限りでは相当面倒くさい事案に思えたからだ。
彼女が分けたいわゆる二つの種類で言うなれば、前者から後者になってそのまま戻ってこれない可能性が高い。
にべもなく断ろうとしたが、続く提案に目を丸くする。

「………ふぅん?」

じっくりとフェティーダの身体を眺め回す。
背丈は自分とそう変わらぬ程。女性としてほぼ完成された体形。顔立ちも悪くはない。
保証された通り、美味ではあるのだろう。
ロイナはやんわりと微笑み、僅かに開いていた彼女との距離を詰める。

「じゃあお言葉に甘えて…一晩、フェティーダを堪能しちゃおっかな。
あたしのことは呼び捨てでいいよ。協力するかどうかは兎も角、仲良くはしていたいもん」

豊満な乳房と乳房が密着する。
背に腕を回し、抱き寄せるようにしながら「宿行こ」とロイナは囁いた。