2023/03/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にシャナさんが現れました。
シャナ > 娘は焦っていた、同時に、全力でビビり倒してもいた。
夜更けの貧民地区、しかも通り一本隔てた向こう側は怪しげな歓楽街で、
娘が現在、足早に辿っているこの通りはといえば、絵に描いたような裏通り。
暗くて、細くて、そこここに木箱や空樽、ぼろきれなどが蟠り、
迷路のようにささくれた枝道があちこちに伸びているような、そんなところだからだ。
先刻から擦れ違う人もないけれど、それは、いい。別に構わない。
こんな所で行き会うような人、きっとロクな人物ではない。
よくて娼婦、普通なら酔っ払い、悪ければ―――――ぶるぶるぶる。

「だめだめだめですっ、変なこと考えてる場合じゃないですっ。
 早く帰らなきゃ、みなさん、きっと心配してるです…!」

イヤな想像を振り払うよう、おさげを揺らして頭を振り。
胸元に抱え込んだお使い物の包みをぎゅっと抱き締め直すと、
更に大股に、ほとんど駆け足になった。
平民地区の外れ、貧民地区寄りにたたずむ修道院まで、あと、どれくらいかかるだろう。

シャナ > 「っ、ひゃあぁああ!!」

ぶかつき気味の木靴で駆け足を試みた結果、盛大にけつまずいて転倒しかける。
色気の欠片もない悲鳴をあげると同時、びゃっ、と銀色の猫耳と、長い尻尾が出現したが、
今の娘に、それらを元に戻す、心のゆとりはなかった。

とにかく一刻も早く、この界隈を抜け出そう、と、そればかり。
からっ、ころっ、という軽やかな音が、暗い通りを木霊した―――――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からシャナさんが去りました。