2023/03/22 のログ
タマモ > 「あぁ…面倒じゃ、本当に面倒じゃ。
こんな、新月直前の、気だるい日だと言うのに…」

王都マグメール、貧民地区。
路地の一つに、少女の姿はあった。
はふん、と溜息を吐きながら、そう呟いた、その視線の先にあるものは。
誰かしらを囲う、荒くれ者達。
無謀にも、そんな連中に挑もうとしているのか。
それとも、目を付けられ、この状態となっているのか。
理由は何にせよ、数に者を言わせる相手と言うのは、少女が最も嫌う人種である。
そんなものを、目にしてしまえば、つい絡んでしまうのだ。

ただ、今日は日が悪い。
新月を前後する日は…まぁ、色々とあるのだ。

ともあれ、そんな、背後から聞こえる少女の声に。
少女が歩み寄るのに近い、荒くれ者達の一部が気付き、こちらに注意を向ける。
あぁ、うん、邪魔すんな、ってオーラが窺える。
むしろ、一部はこいつもやっちまうか、みたいな雰囲気だ。
そんな雰囲気も構わず、少女の歩みは止まらない。

タマモ > 囲っていた内の数人が、少女へと、同じように近付いてくる。
調子に乗るなり、油断するなりして、近付いてくれればありがたいが…
どうやら、そんな事はないらしいか。
手に手に刃物を持ちながら、何やらいちゃもんを付けてきているみたいだが、そんな言葉、聞く気もない。

「あー…今の妾は、悪いが、そう加減が出来んぞ?
こんな日じゃからのぅ、どうしても、調整が大雑把になってしまうんじゃ。
だから………こうなる」

ぱちん、歩みを止めぬまま、少女は指を鳴らす。
その瞬間、周囲を覆うのは、背筋の凍り付きそうになるような、畏怖の気配。
ずろぉ、と足元の影から伸びるのは、何本もの手。
その手が、近付いて来ていた者達の足を掴めば、声を上げる余裕もなく、ずるんっ、と影の中に引きずり込んでしまう。
それと同時に、その気配は消える。

「おやおや、可哀想に。
いつもなら、悪戯程度で済むんじゃがのぅ?
今日は特別な、悪夢のぷれぜんと、でも受け取る事じゃろうて。
…あぁ、でも殺めはせんから、安心せい?
ちょっとばかし、後に残る恐怖体験をするだけじゃ」

くすくす笑いながら、そう残った者達に伝えるも。
ぴたりと足を止め、はふぅ…と、今度は長い溜息。
そんな状況を見ていれば、全員が全員、目の前の相手よりも、その少女へと注意が向けられるのは、当然の事か。

タマモ > 「ほれほれ、向かって来るのか、逃げるのか、好きに決めさせてやるぞ?」

しかし、そうなろうとも、少女の調子は変わらない。
ゆらりと揺れるように、再び歩みを再開すれば。

「二択で決められんならば、三択目を与えてやるんじゃが…どうする?」

笑みを浮かべながら、近付き続ける少女の雰囲気に、荒くれ者達の戸惑いの色が強く見える。
まぁ、そう言われて、即断なんて簡単に出来るものでもないか。
そもそも…己は最初から、与えた選択肢通り、してやるつもりはないのだが。

「………と、言う訳で、時間切れじゃ。
えーっと…頭を張っておるのは、お主じゃな?
ならば、こうしてやろう」

と、その言葉と同時に、少女の姿が掻き消える。
正しくは、その姿は、リーダー格と指した、男の目の前。
するりと伸びる手が、その顔面を覆うように、がしっ、と掴むと。
そのまま、ぐぼんっ、と豪快に、男を影の中に押し込んでしまう。
時間としては、数秒程度か。
今度は、その押し込んだ男を、ぐいっ、と引き上げるようにすれば。
その姿は、それなりの見た目である女、となっていた。

「ふふ…これで、今度はお主が襲われる側となる訳じゃな。
まぁ、襲ってくれる連中は、こうして周りに居る訳じゃからのぅ。
女子の体、連中に楽しませ、お主は楽しんでくるが良い」

そう伝え、周囲の、残った者達に向ける、その瞳が鈍く輝く。
と、何やら騒ぎ立てる元リーダー格の元男は、その他の連中に抱えられ。
路地の裏に、怒鳴り声と共に、消えていった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアレンシアさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からアレンシアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアレンシアさんが現れました。
アレンシア > 囲まれていた少女はかなりの上物なようで、服の生地は結構良い物を使っているし姿勢もちゃんとしている。何より胸も尻もデカく男好きはしそうだなと思われるであろうか。

「助けて頂きどうもありがとうございました」

深々と礼をするアレンシア。作法通りの綺麗な礼であった。
男たちが去っていった方を見やると悪戯っぽい笑みを浮かべて感想を言った。

「性別って結構簡単に変わるものですね……でもあれでは愉しめていないのでは?」

怒鳴り声はあっという間に悲鳴に代わり今は絶叫が聞こえている。どう考えても優しくされているようには思えなかった。

「あ、アレンシアと申します。お名前を伺っても?何かお礼をしなければいけませんね……」

礼をしてからそう聞いた。どんなお礼をしたものかと少し考えている様子。

タマモ > 去って行った荒くれ者達、その後を、少しの間眺めているのだが。
ふと、元々囲っていた場所からの声に、はて?と視線をそちらに向ける。
そうそう、一体多数が嫌いで、絡んで行ったのだったか、忘れてた。
どうやら、己が考えていた内の、後者っぽい感じだと、女を見てそう思う。

「あー………あぁ、うん、いやいや、大した事ではないからのぅ?」

深々と礼をする女に、少し間を空けたのち、ひらひらと手を振りながら、そう答える。
さすがに、正直に答えを言うのは、あれなのだ。

「うん?簡単…と、言う訳でもないがな?
妾は、その手の術が、ちと得意じゃからのぅ。
いやいや、きっと楽しめておるじゃろうて。
今まで、どうせ何人もの女子にしてきておるんじゃ、体験するのは良い機会じゃろう」

まぁ、変化の術におまけをして、感度を上げてやったのだ。
女の悦びを、存分に堪能出来る事だろう。
…とまでは、さすがに言うのは止めておいた。
それが無ければ、多分、女の想像通りになっていただろうが。

「………アレンシア、か…うむ、大丈夫そうじゃな。
おっと、妾の名か、妾の名はタマモ、覚えておくも忘れるも、お主次第じゃろう。
お礼?いや、だから大した事でも…
…あー…まぁ、どうしてもと言うならば、受け取らんでもない。
ちなみに、どうして、あんな連中が集っておったんじゃ?」

一応、復唱をしてみる女の名前、大丈夫そうだ。
呼び難かったら、あだ名にするところだった。
それは置いておき、お礼を考えている女だが、己としても、本当に大した事はしていない、むしろ気晴らしをした、とも言えるのだが。
中には、どうしてもお礼をしなければ、気が済まない…と言うタイプも居る。
と考えれば、受け取った方が良いかと、それを受けようとは思ったものの。
ふと、気になった疑問を、向けてみるのだった。

アレンシア > 「ああ……なるほど?」

相手の力量を見るに神か何か……とまではいかないのかもしれないが相当の力を持っていることは間違いない様子。相手の機嫌を損ねた様子が無いことにそっと安堵した。
アレンシアがいくらチンピラ時代より強くなってるとはいえ中級冒険者ぐらいの力量しかないのだ。

「確かに。媚薬とか発情とかその類です? でもいきなり気絶するまで快楽責めというのも大変そうですが」

相手が言わなかったことをあっさり口にしてしまうアレンシア。
絶叫は何時の間にか甘ったるい嬌声になり女がヤられているという事を近所に知らしめてしまっていた。

そして貧民街でそんな声を上げてしまったら女日照りの男達が群れを成して近づいてくるのは明白。男達全員満足するより女が使い物にならなくなる方が早いだろうなという元チンピラらしい正確であろう推測。

「タマモ様ですか。ありがとうございます」

学のある人なら東方の方の名前とかそういうのがわかるのかもしれないがアレンシアは現状小学生レベルの学問しかわからないのでそんな推測をできるはずも無かった。ただ強い人に失礼があってはいけないと思っているというだけの話。

「あ……いえ……ちょっと誘惑に負けて外に出たらですね?変なのに絡まれまして」

目を逸らしながら誤魔化すように語るアレンシア。持っていた鞄から良い匂いが漂ってしまっているかもしれない。

「というわけで一緒に悪事をしながら安全な所に行きませんか?」

と言って匂いの元である焼き芋を一つタマモ様に渡そうとした。幸い2つ買ってあるので自分の分はちゃんと残る。

タマモ様の様子から大層なお礼はしない方が良いのかなと思っただけ。焼き芋一つなら受け取るほうも気分が楽だろうかと。

アレンシアはチンピラ上がりらしく相手の機嫌というか気分というか、そういう物を察する能力には割と長けていた。

タマモ > 「うむ、分かってくれれば、それで良い」

本当に、理解出来たかどうかは別として。
納得した様子を見せれば、それで良いや、と。
いつも以上に、この時期は、考えるのが億劫になるのだ。

「おや、気付いたか。
どうせ、連中とて、そう言う事をするものじゃろう?
先も言ったように、体験するのが一番の薬じゃ」

なかなかに、鋭い、とも思うのだが。
それはそれで、細かな説明が不要になるのはありがたい。
その後の想像も、女が思う通りなのだとは思っている。
とは言え、伝えた通り、やって来た事を、そのまま返されているだけ、自業自得で済ませるつもりだ。

「ふむ…なるほどなるほど、そう言う事か。
まぁ、食の誘惑と言うのは、なかなかに抗い難いものじゃろうなぁ」

と、もうそれは置いておいて。
こうなった成り行きを聞けば、鼻に掛かる匂いもあって、それはすぐに理解出来た。
そして、その後の言葉に、軽く思案すれば。

「ほほぅ、悪事をしながら…悪事なぁ。
良い良い、それが良いならば、付き合うとしよう。
その悪事、とやらにのぅ」

手渡そうとする焼き芋、それくらいならば、みたいな感覚で受け取ってはいるも。
女の語る悪事、の言葉に、また少し思案して。
うむ、と自身で何か勝手に納得したように頷き、とりあえず、その焼き芋は受け取って。

さて、女の直感がどこまで鋭いか。
己の思い付いた何か、を行う為に、その意見に頷きながらも。
女の腰に腕を伸ばし、抱き寄せる事が出来たのなら。
その場所を後に、移動をするのだ。
その先が、女の言うような、安全な場所、かどうかは分からないが。

アレンシア > 【移動です】
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からアレンシアさんが去りました。