2023/03/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にクレイさんが現れました。
クレイ >  とある酒場、別に珍しいわけでもない光景が広がる。
 それは子供の店員。自分も人の事を言える立場じゃないが、経験はある。
 物を運ぶとか、その程度の軽い仕事をして代わりにパンなどを貰う。そういう事はよくある。
 しかし往々にしてトラブルもつきものだ。そんな子供が物を男の服に引っ掛けてしまう。
 周りが息をのむ。そりゃそうだ、見た目は魔剣を腰に差した明らかに戦士といった風貌の男。その子供が酷い目に合うんじゃないか。そう思っていた。
 チラと汚れた服を見て、汚した正体を見る。そして前までの会話を思い出して。

「ほら、客にこれ返してこい。このまま渡せばいいから」

 本来この注文を届けられるはずの相手にチップ込みで返す。こうすれば注文した相手も店員に文句は言わないだろう。
 お礼を言おうとする子供相手に良いから行けとシッシッとジェスチャー。お礼を言われるような事はしていないのだから。

「……でも、どうするかな」

 服を見る。ソースでグチャグチャだ。ハンカチなどもっていないし、宿につくまでこのままかぁとハァと溜息。

クレイ >  
 服にべったりと付いたソースは気分が良い物ではない。
 とはいえ、じゃあ拭く物をと言ってもそんなもの持ち合わせがあるわけじゃない。店に言えば良いとも思うが……それはそれで萎縮させるし、後で子供が被害にあう事が多い自分はよくわかる。
 例えば汚れたタオルの分子供の給料から引かれたり、食事をもらえなかったり。そうした扱いも普通に見てきた。そんなことをされては助けた意味がない。

「……しゃあねぇか」

 我慢するしかねぇかなぁと。
 さっさと宿に行けよと思われそうだが、それはそれで自分1人割りを食いすぎで面白くないという考えだった。