2023/03/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にレベリオさんが現れました。
■レベリオ > 一流の狩人は、狩場に溶け込み決して獲物に違和感を抱かせないという。
気が付けば、背後に忍び寄って、心臓を掴み取っている。
そういう点で論じるならば、彼は一流の狩人とは言えないだろう。
月明かりに照らされる貧民街の路地。
夜中も近くなって人通りの減った場所を選んだ。
それ自体はそんなに悪くない選択だ。
紳士ぶった服装も、そう悪いものではないだろう。
連れ込むにしても、攫うにしても周囲に住人がいるかいないか定かではない建物がたくさんあるのだから。
例えば、今立ち止まっている廃教会なんて、人を連れ込むには最適だ。
そういう意味での下調べは怠っていない。
「月が綺麗だな。ああ、今夜も良い夜だ。」
けれど――独り言を紡ぐ唇から零れる牙。
そして、王都で流行りの男性用香水を吹きかけても消えない香り。
仄かだけれども、確実に漂う血のような薫り。
それがどうしようもなく違和感を感じさせてしまうかも知れない。
けれど、気にした風もなく、赤い瞳はどこか虚ろな月を見上げる。
結局のところ、一流の狩人を気取っても仕方がないのかも知れない。
所詮は、下種な化け物に過ぎないのだから。
■レベリオ > さて、狩人、あるいは化け物の狩りがどうなったのか。
それを知っている者がいるのかいないのか。
いつの間にか人気のなくなった路地を、月だけが見ていた。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からレベリオさんが去りました。