2023/02/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にビョルンさんが現れました。
ビョルン > 【人待ち】
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にピスィカさんが現れました。
ピスィカ > 「怖いお話だなぁ……」

この国に生きていると、なかなかタガの外れた人物やら存在やらの話を良く聞く。
女は、そういった存在には関わらないようにしよう、と。
表情を曇らせながら考える。

「ありゃ、そりゃあまずい」

相手の言葉を聞き、一度ポーションをしまう女。
ポーションは、冒険者の必須アイテムとはいえ、やはり薬。
様々な種類のものを服用すれば、どんな影響が出るかはわからないし。
同じ種類の物でも、飲み過ぎれば毒になることもある。
なので、どうしたものか、と女は思案顔だが。

「う~ん、まずはそれがいいかもね。
 ちょっと待っててね」

相手からの注文に一度大きくうなずくと。
女は、水を用意し、相手に差し出す。
足りなければ、どこかから調達しなくてはいけないかな、と思いつつも。
女はそのまま寝台へと上がり、相手に添い寝するようにして。

「ん」

両手を相手に向けて広げ。いわゆるハグを待つ姿勢。
もしも相手の動きが鈍いのなら、女から抱きしめようという心づもりだ。

ビョルン > 「本当にな。
 ヒトは見た目によらない、……って、トコ」

深いため息また零せば、体調はまだ落ち着かないと実感する。
差し出された水は今飲めるだけ飲んでから手で覆った唇で噯気を発する。

相手が腕を伸ばしてくればそのまま抱きしめて冷えた身体を温める。

「今は、もう夜だよな」

思い出したように呟く。
休息にあてるこの夜を、この相手に買われたことにするべきか。
もうこんな境遇が御免だと詫びを入れるのも癪だ。

「嗚呼、畜生」

今は瞼を閉じた。
人心地がつけば風呂、それから食事──そうする頃には朝になろう。
そうすればスーツに袖を通し地回り……ならば少し寝ておこう。

頭の中で成すべきことの優先順位をつけ、抱き寄せた相手の頭の天辺あたりをすんと嗅いだ。

ピスィカ > 「それは確かに……」

一見善人に見える人物が悪人であった。
などというレベルではない人の内面の怖さ。
それは、この国、この街では珍しくない。
そう思いつつ、女は相手が水を飲むのを観察する。

「そうだね。しっかりと夜だよ」

そうして、相手が自分の体を抱きしめてくるのを受け止めつつ。
女は、相手の言葉に答える。
こういう会話もまた、相手の意識を保つのに役立つかもしれない。
そう思ってのことであった。

「ん。今は休みなって」

吐き捨てるように言う相手にそう囁き。
女は相手の背中を撫でるように腕を動かす。
女自身は、一応周囲の気配に気を配るが。
幸いなことに、女とこの相手を追ったりしているような気配もなく。

「……」

しかして、相手の状態がどうなるかわからない以上。
眠りに落ちることもできず。
女は、相手の体を、意味もなく見つめていた。

ビョルン > 用意された水は吐き戻すことなくひんやりと胃の腑に溜まった。
これならば眠り込んでしまってもそこそこの時間で尿意が己を覚醒させるだろう。

「死ぬかと思った──…
 いや、今思えば死んでもおかしくなかったな、と」

昼間、己の不在を不審に思われなかったのだろうかとか諸々のことが気にかかる。
けれどそれは今吐き出したところで仕方のないこと。

「……ん、」

撫でられる背中は痛む箇所もある。
相手の目から見える部分は両の頬や開けたシャツから覗く胸板などに打撲や擦過の痕跡が見えるだろう。
符丁にある「体に傷跡が遺らない」程度ぎりぎりの範囲ではあるが。

「お前は、こういうコトになるなよ──」

銀に光る相手の髪を手探り、指先で梳いて呟く。

ピスィカ > 相手が水をちゃんと飲めたことに。
まず、女は安堵した。
それすらも難しいとなると、状況はほぼ最悪だったからだ。

「そう言えるのは不幸中の幸いだけど。
 なんていうか、アンタも大変だよねぇ」

事情の全部を知っているわけではないが。
女としては、そう言うしかなかった。
もちろん、女としては。必要以上の深入りはしないつもりだが。
今回のように、助けを必要としているのであれば。
助力することには迷いはなかった。

「……大丈夫?」

相手の漏らした声に、女がそう問う。
ちら、と見えた相手の体には。
かなり傷が目立つ。
当然、女としてはやはり心配な気持ちが湧いてくるわけだが。

「……ご心配どうも。
 まぁ、そうだねぇ……」

髪に触れられつつ、女は相手の言葉に目を細める。
いつ、だれが。どんな目に遭ってもおかしくないのもこの国の特徴。
相手の心配ももっともだし。女とて、自分だけは安全、とは思っていないので。
素直に、その言葉は忠告として、女はありがたく受け入れていく。

ビョルン > 死線が見えていればそこを跨いだダンスなどしないもので、振り返って初めて知れる恐ろしさがあろうということだ。
相手の言葉には苦笑いを浮かべる。

「他の奴には言えないけど、
 まァ、そろそろ勘弁して欲しいさね──…」

降格されただの、破門が近いだの耳聡い向きには諸々の噂が回ってきていよう。
己が踏み越したという組織の規範の線もまた、その時は見えず、事後策も刑罰逃れと見做された。
そんな諸々を思っては深いため息しか出ない訳だが。

「ああ、骨が折れた訳でなし。身が削げた訳でなし。
 落ち着いて薬湯にでも浸かってればそのうち治んだろ」

痛いと泣くのはみっともない。
傷は消せないが今の痛みなど押し殺そう。
薄目を開けて、相手を抱きしめ直す。

「ナニがピクリともしなくて御免な。
 普段ならビンビンだろうな、お前はいい女になるよ」

己の性機能だけが先に過労で倒れたままだと──そこは少し自分でも不満に思う。
相手もまたそう思っていれば、とそんな言葉を紡いで吐き出す。

ピスィカ > 「……自分自身ではなんとかできないの?」

相手の呟きには、素直に疑問を投げかける。
もちろん、それができるのなら、とっくにそうしているだろうから。
この相手には、何らかの大きな事情があるのだろう、と。
女もそうわかってはいるのだが、聞かずにはいれなかったようで。

「それならいいけど。
 あんまり無茶や無理すると。
 周りの人とかに心配されるから」

これも、女としては、一般論としての言葉のつもり。
相手の周りに、どういった人物がいるかは知らないが。
少なくとも、女同様、身を案じる人物もいるだろう、と思っての言葉であった。

「いいよ、別に。
 っていうか、アタシだって、売った買ったが日常なわけでもないし」

時にそういうことに関与することはあれど。
毎日毎日、誰かのぬくもりが欲しい、ということもない女。
だが、こうして、求められること自体は嬉しかったりするので。
……たとえそれが、そういった行為ではなく。
相手に対する治療行為であったとしても……。
内心、少し誇らしく思ってしまうあたりは。
この女も、単純というか、素直な部分があるのであった。

ビョルン > 「この境遇自体が『罰』なのらしいから。
 不当に虐められているのであれば手も回せるんだが、ね」

脅しには屈してはいけないが、決議には従わねばならない。
大小を問わず何らかの組織に所属する者には、たとえその組織が家庭であったとしても──常識とすら言えることのようだ。

女が続けた言葉には、ああうん、と煮え切らない言葉を返して。

「こんな格好でカミさん2人には会えないってね」

抱きしめた相手の髪を撫でる仕草は良い子の頭を撫でているようでもある。
それから背中を撫で下ろして、更に温もるように密着した。

「迷惑かけるね」

夢か現か、呟く。

ピスィカ > 「そういうこと……」

相手からの回答に、納得したように言う女。
女なりにいろいろと想像するが。
とにかく、今この相手はこういった状況に陥るのを回避できないと知り。
女の表情が曇ることになる。

「ん。でも、そういう意味じゃ。
 奥さんもいろいろと気づいてそうだけど」

女の勘は鋭い、とは良く言う話で。
だが、その辺りはお互いの間での話であろうから。
女は、あまりそこをつつくことはせず。
相手と抱き合いながら。

「このくらいならお安い御用だよ」

と、相手にそう言い。
そのまま、相手を抱きしめる腕にかすかに力を込める。
相手の体のこともあり、あまり強く抱きしめることはできないものの。
女は、しっかりと相手に抱き着いていることをアピールするようにはしていく。

ビョルン > 瞼には世話焼きな年上女と、遠慮がちな中年男の姿が浮かぶ。
両の瞼其々に、と器用なことはできないが。

「便りがないのは良い便り、と思ってくれねえかな……」

相手の体温が伝わればその瞼も重くなる。
お安い御用との言葉を聞いたかどうか、とろりとした眠りの海に落ちてゆく。

夢も見ず、痛みを堪えて汗ばみながら暫く眠る。
世話してくれた相手にサービスができるとすれば、朝。

ピスィカ > 「さて、どうかしらねぇ……」

相手の言葉には、あいまいな相槌。
あまり無責任な言葉も口にできないからこその言葉であったが。

そうして、相手が眠ったのを見れば。
女はしばらく、様子を見守っていたが。
眠る相手のことを見続けているうちに、女もまた、睡魔に襲われていく。

そうして、朝になれば。

「うわ、やばっ、寝ちゃった……。
 起きてる? ていうか、生きてる?」

ぱち、と。目を開けた瞬間。
即座に状況を理解し、相手にそう声をかける女。

ビョルン > 目覚めれば、相手を起こさないように寝台を抜け出す。
厠で用を足して追加で水を飲めば、宿屋の主に相談して一般的な外用薬草を貰い薬湯に浸った。
どことなしに湿っぽい服は暖炉の傍に吊るして相手の傍に戻っていた。
真っ裸である。

「ありがとう、だいぶマシだ」

肌には血色が戻ってはいるが、微かな傷はほぼ変わらず。
どこか薬臭いのはご愛敬といったところか。
少しは余裕が生じたような口ぶりで相手の寝起き姿を見返す。

ピスィカ > 目を覚ましてみれば、相手の姿は無く。
何事か、と思えば。どうやら相手は外に出ていたようで。

「……はぁ~、びっくりしたぁ……。
 ……うん。でも、元気そうでよかったよ」

大事にならずよかった、と言い。
女は、脱力した様子で寝台に転がる。

「……ホント、何事もなくてよかったよ。
 ……お腹とか空いてない?」

とりあえずはこれで一安心かな、と。
そう考え、女は相手に尋ねていく。

ビョルン > 諸々の理由で、魔力とは親和しないが良くないものを含めて人間の世界の薬はよく効き治癒力も底上げされている身だ。
昨夜、荷馬車から路面に蹴り落されたとはいえそこそこには回復していると感じる。

「おはよう」

改めて相手の額に唇を落とす。

「──俺の分の朝食も、用意してもらっているんだけど」

暖炉の前を振り返り、ちょいと肩を竦める。

「いまひとつ、服が乾かなくて」

ピスィカ > ちらり、と相手を見た女は。
ぱっと見では、かなり回復したように見えるため。
そこで安堵の息を吐く。

「はい、おはよう」

額への口づけに、女はくすぐったそうに眼を細めるが。

「あぁ、そうなんだ」

相手が、朝食について言及すれば。
ぐい、と上半身を起こすのだが。
続く言葉には、ありゃ、と言い。

「それは困ったねぇ……。
 じゃあ、選べる選択肢は二つだね。
 服が乾くまでゆっくりと過ごすか。
 もしくは、アタシが外で服を調達してくるか」

どっちがいい? と言いながら。
いつしか、女は、どこか楽しそうに笑っていた。
ゆらゆらと上半身を揺らしながら、相手を見る女。

ビョルン > 「まさか女の服は着れないしな」

困ったねぇ、と嘯きながらカーテンの隙間から通りを見てすぐに目を離す。

「俺が石畳に投げ捨てられて、その後善意の王都民に拾われていったことくらい知られてそうだしな──今日はのんびり休むか」

その上、直近で己を買った貴婦人が実は要注意人物なのだということが知られていれば多めに見られてしかるべきだ。

ノックの音。朝食を運んでいいか、との問いかけかもしれない。
ガウンを羽織り、暖炉の前で暖を取る格好になる。

ピスィカ > 「それならすぐに用意できるけど?」

相手の漏らした言葉に、クスクスと笑いながら言うが。
続く相手の様子に、女も表情を引き締める。

「ありゃ、本当に?
 ……う~ん、ちょっと、油断したかなぁ」

相手を運ぶ時には、割と必死だったため、警戒を怠った部分もあったし。
もしかすると、通行人が情報を漏らしたのかもしれない。
油断が過ぎたか、と思いつつも。
ノックの音に、女は思考を切り替える。

「ま、ゆっくりしててねん」

そう言って、女は扉へと向かう。
そのまま、朝食を受け取れば、テーブルへとそれを運びつつ。

「……しかしそうなると。
 服が乾いた後はどうするの?
 普通に外に出て行って、なんか言われたりしない?」

見張りがいるとなると、それ相応の対応はしないといけないのでは? と。
女は、相手に問いつつ、一緒に食べよう、と身振りで促す。

ビョルン > 驚いたような女には、首を振る。

「いや、俺にな。
 助けには来ないけど監視だけはついてるせい」

そして己の組織は、相手のことを客の1人と認識しているかどうかといったところだろう。

朝食が配膳されればその席へつく。
そうしながらの相手の言葉には少し考える。
日が昇った今、あんなみすぼらしい格好ではどこに帰るのも気が乗らない。

「ピスィカは今日お仕事?」

朝食のプレートを前にこてんと首を傾げた。

「夜までお留守番してるねん」

相手の言葉遣いを真似てから、何処か得意そうに口角を上げた。

ピスィカ > 「……目をつけられなければいいんだけど」

もちろん、女自身。その程度のことがどうということもないが。
それでも、余分なトラブルは回避したいし。
もしかしたら相手に迷惑がかかるかもしれない、という思いもあった。

ただ、それはそれとして。
何をするにも、朝食は必要だ、ということで。
相手と一緒に食事をする。

「ふむ~……」

味や量に不満があるでもない朝食を食べつつも。
女の口からは、そんな声が漏れていた。
だが、相手からの問いかけに、女は呆けていた意識を覚醒させる。

「うん? そうだねぇ。
 一応、ギルドとか回ったりして。
 仕事があれば受けるつもりだけど」

そう説明する女だったが。
続いての言葉に、少し驚いたように目を見開く。
が、そこで少し考えこみ。

「まぁ、逆にそっちの方がいいのかな。
 何もなければ、すぐに戻ってくるつもりだけど」

相手の事情の詳しいところは知らないものの。
相手がそうするのを良しとしたのなら、それが一番安全なのかもしれない。
そう考え、女は相手が留守番するということを。
特に拒否したりはしなかった。

ビョルン > 野菜サラダの代わりによく煮込んだスープを。
黒パンをオートミールに替えた食事を慎重に摂りながら相手と言葉を交わす。

「ああ、まあ──うちの組織は女を重く見てはない。
 よく見てたところで、状の湧いたリピ客、とかな」

体温と食事の能力は戻ったようだがまだ少し、休息を取りたいのが事実。

「じゃあベッドは使わせてくれ。
 夜に戻ってないようなら宿代と一筆、残していくから」

スープが胃に染み渡る。
食事が済めばすぐにでも、寝台へと転がり込むだろうか。

ピスィカ > 「……なるほど?」

なんとも複雑な気分になる返答に。
女は、微妙にひきつった笑みを浮かべながら答える。
だが、逆に言えば、少なくともすぐに危機が迫ってくるわけではないと女は判断し。
ふぅ、と息を吐いた。

「うん。いいよ。
 ただ、何かあったら、自分の判断でうまいこと逃げたりしてね?」

少しの間、ここには戻ってこれないということなので。
女は、相手を心配し、そう言う。
そうして、食事を終えれば。
女は、がさごそと身支度を整えるが。
テーブルの上に、ある程度の金貨を置き。

「お昼、お腹空いたらこれで適当に食べてね」

と言い、部屋から外へと出ていく。

ビョルン > 「ありがとう、本当に。
 いい女だよ」

部屋を出る相手へ寝具の中から手を振って見送った。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からビョルンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からピスィカさんが去りました。