2023/02/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にマーシュさんが現れました。
■マーシュ > 「───では、これで失礼いたします」
定期的に物資を届けている施療院。時折別の勤めも依頼されることがあるが───本日はそのどちらもであったのか女の顔色はわずかに白さを残している。
常のように辞去の言葉を告げて、施療院の裏口の扉をくぐり、その場を後に。
常のように路地裏を歩みながらふ、と息を吐いた。
空になった籠を手にしながらの帰路。そろそろ見慣れてきた街並みの並びに、季節の彩が加わっていることにただ純粋に眦を緩めた。
ほかの地区よりは多少荒れた石畳のタイルの上を控えめな靴音が追随する。
そろそろ街灯に灯の入る時間でもある。貧民地区の路地と言えども宵の喧騒と共に、ぽつぽつと灯りが点ってゆく中を、薄暮に溶け込むような装束の修道女はただ歩を進めていた。
■マーシュ > 急くことのない歩みのまま、宵口らしい呼び込みの声や、炊煙の香り。
賑やかで雑多な情報を目や耳で受け取りながら、日常のやり取りを耳にしていることに安堵を覚え。
「────、……戻ったら、一つ灯りをともしましょうか」
誰に告げるともない呟きは、そんな雑踏の中に消えてゆく。
祈りの為のそれ。
己の為のそれではなく、先程迄病床に臥していた人のために。
己ができることは束の間のまやかしでしかないことを痛切に感じいりながら。
修道服の長い裾をさばき、とめない歩みはやがて雑踏の中へと紛れて消えてゆく。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からマーシュさんが去りました。