2023/01/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にインビジブルさんが現れました。
インビジブル >  
 貧民地区の一部を深い霧が包んでいる。
 それはこの国に伝わるひとつの怪談が現実であるという証拠。
 迷い込んだものは文字通り精を全て吸い取られるとか。だが実際はそんなに恐ろしい物ではない。

「この地区はやっぱり捕まえやすいよね」

 元気な声が言う。

「人は多いから。それに大体1人だし」

 冷静な声が続く。

「だけど注意してくださいね。弱ってる人もいますから」

 優しそうな声が続く。
 殺さないように獲物から精を吸い取っているので一人当たりからは多く取れていない模様。
 相手が悪人ならば遠慮なく殺しにかかれるが、そうではないのなら優しさが出てしまう怪談の主であった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にあやめさんが現れました。
あやめ > 貧民地区に用件があったわけではなく、その鬼の女は、経由して別の地区に向かう予定であった──
が、しかし。

「…………?」

気付けば、深い霧の中に居た。
その霧が尋常のものであるかどうかは、今までの経験則……精度の高い勘で判断を。
女は歩きながら逡巡し、ぴたり、と脚を止める。
何か気配を感じる。
思えば、この霧の中に入ってからずっと。
これも特殊な異能の範疇ではなく、冴えた勘である。

それだけに、この霧の中で自分が知る法則が通用しないという致命的な事実にはまるで気付いていない。
ゆえに、錫杖をその場で構えて腰をわずかに落とす。
自分がこのフィールドにおいて弱者の側に立っていることに気付かず……
しかしまだ二十歳に満たない、血気と若さとしては無理からぬ話か。
凛然とした声をその場で張る、その相手の居場所は未だ掴めぬまま。

「魔性のものの気配がしますね。──行き会ったのも何かの縁、ここで私が退治してさしあげましょう」

インビジブル >  
「あ、人が来た」

 元気な声がする。

「ふーん……この地区にしては元気そう?」

 冷静な声がする。

「あらあら、物騒ねぇ……退治しないでいてくれるなら。楽しい場所に案内するわよ」

 なんて優しそうな声がすれば誰もいなかったはずの後ろから足音がするだろう。後ろを見るなら表情は霧で見えない物の、大人の女性がゆっくりと歩いてくるのが見える。

「別に殺しに来たわけじゃないもの。手伝ってくれるなら、楽しい時間よ?」

 フフフ、そう笑いながら手を広げて近寄ってくる。

あやめ > 「甘言を──」

複数の声に耳を傾けてから、女は小さく呟いた。
魔性の者たちの中で特に気を付けなくてはならないのは、
既に戦闘態勢をとっているこちらに近寄って来る相手だ……
少なくとも、不意打ちというアドバンテージに頼る必要のない相手、というだけ油断ならない。

はっ──
と声に振り返ると、聞こえて来た足音の主の姿が霧の向こうに見える。
妙齢の女性と思われるが、表情はうかがえない。
真後ろをとられたことに自分を叱責し、すぐに振り返って相手に向き直ると、

「問答無用!」

近付いてくる相手が女性であることに、無意識にセーブしてしまったのだろう、
鋭利な金属先端ではなく、逆、石突のほうを相手のみぞおち目がけて繰り出す。
それがこの霧の中で無意味であることも知らぬまま。

インビジブル >  
 腹部に杖を受ければそれは見事に貫通する。というより触れた感覚すら覚えないだろう。なにせ触れた瞬間霧となって消えるのだから。

「あら、酷い」

 攻撃を受けてもまだ平気な様子で。

「あ、お姉ちゃんに酷い事しちゃった」

 元気だった声が……なんか大人しくなる。

「……ご愁傷様」

 冷静だった声が何故か慰みの言葉をかける。

「うーん、お話できないみたい? 魔物とかに敵対意識ある人みたいだし……魔物らしく。行きましょうか」

 優し気な声は少し楽し気に。
 取り囲むように無数の腕が地面や壁から生えて、それは伸びるようにして侵入者へ向かう。
 殺意は見えないだろう。だがその手は確実にとらえる為の物で。体のあちこちの部位を狙って伸びてくる。

あやめ > 「なっ…………」

文字通り、錫杖の石突が命中した箇所が霧散するのを見て思わず声をあげる。
それは相手に痛手を与えたわけではないことは、聞こえて来た声ですぐにわかった。
周囲から聞こえる別の声の内容が何を意味しているかはわからないが、
直感的に虎の尾を踏んだことだけは肌感覚でわかる。

そして、その声は鬼の女を憐れんでいた。

市壁の内側に現れる魔性のものは危険度が高い、ゆえに自分がやらねば、
という意識に導かれるまま行動をとった女は、得体の知れない悪寒を感じる。
それは少し、遅すぎたのかも知れない──

「うっ……こ、これはっ!?」

体が、動かない。
気付いた時にはもう、何時の間にか周囲に出現した腕によって体の動きを封じられていた。

あやめ > 【部屋移動です】
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からあやめさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からインビジブルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にインビジブルさんが現れました。
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