2023/01/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にドラゴン・ジーンさんが現れました。
■ドラゴン・ジーン > 夜の王都マグメール、貧民地区。人知れずして王都の外部から帰って来る者達が居る。そしてその中には一部人間ですらないモノもまた混ざっている事も在った。見目においては一見犬か猫かに見えるかも知れない。暮れなずんだ空模様の暗がりに紛れ込んでいるだけでその実態は異なる。
その腹部は、デフォルメした絵画の如くにはち切れんばかりに膨れ上がっていた。ゴムのような黒い粘皮が極薄になるまでに張り詰め、樽を呑み込んだが如きになっているそのぱつんぱつんの黒い粘膜胎の内部には悍ましい程に搾精した大量の白い子種が詰まっており。
下手をすれば四肢の長さ以上に誇って釣り下がった体積量は一歩進む毎にだぷんだぷんに前後に揺れ、それをそのまま地べたにへと引き摺らんばかりの有様だった。
「………」
げぷ、と、内包している余分なガスを追い出す為の生理反応でげっぷめいた息が開いた竜顎からあふれ出る。今日は外部においてそれなりの収穫があったという事。既に多くの子に恵まれて産み落とし続け、尚も有り余っている遺伝子汁の多くは既に単純な蛋白源として、自分の身体を維持する栄養にへと回す為に消化に移行中だ。
■ドラゴン・ジーン > そして風除けの出来そうな廃墟の一角を探り。そこにへとその身を潜らせて落ち着く事になる。普段のように俯せの姿勢になろうとするが、腹部が膨れすぎて、まるで全身でバランスボールの上にへと跨っているかのようになってしまう。
「………」
致し方無く胎を横向きにしてごろりと、腐りかけている廃墟内の床板の上にへと横たわる姿勢となった。母親の腹の中で眠れる胎児のようなスタイルで休息を取り始める。頭部から生え出ている三本の淡い燐光を湛える触角がゆらゆらと揺れた。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にシリルさんが現れました。
■シリル > 「面白そうなものどころか、何もなさそうね……」
人気のない寂れた貧民地区の一画
そんな場所に何か用事があるというわけではなかった。
ただ夜の散歩に出たついでに、歩いたことのない道を選んでいたら迷い込んだだけ。
ただ今更来た道を戻るのも何か負けた気がする。
それに戻ったところで何があるというわけでもない。
そのうち誰かか、そうでなくとも何かに出くわすだろう。
暗い路地裏を年端も行かない少女が歩くには、無警戒ともいえる足取り。
まるで暗闇の先が見えているかのように迷うことなく進んでいく。
―――その実、全く見えてなどいないから、何かが足元に転がっていれば踏んづけてしまうかもしれない。
■ドラゴン・ジーン > 完全に油断しきって、休眠していたと考えていいだろう。微睡みに炯々と輝き続けていた触角の光も希釈化され、うとうとと深い眠りの中にへと沈みかけていた。天体の明かりも乏しく周囲の視野は著しく狭窄されるような環境であり、よってその足が寝転がっている竜を踏む事は十分にあり得る事であり、また不幸にもその行く手において丁度居たという事になる。
ぐにゃ、と、恐らくにおいては踏み込んだ靴の裏側に拾うべき感触とは別の感触を拾い上げるに違いない、柔らかく弾力感のある水風船を踏み付けたような。
「ギャウッッ!!?」
そしてたちどころに悲鳴、というよりも驚いたような叫び声が辺りにへと劈いた。ぬるりとした質感が水のようなあっという間にその場より退く。転がるようにして寝ていたその場から直ぐに起き上がった。
面白そう、だとは限らないが、相手はそれを目の前にする事になるだろう。ゆっくりとその場において四つん這いで四肢を立てる疑似的な竜の怪物は、腹を踏んづけられたのか搾り出されたかのように逆流した疑似的な消化器官を経由し、その顎から溢れ出して来た得体の知れぬ精液をぼたぼたと垂れ零しにしている。
点滅するかのように輝く触角の目が、一瞬混乱するように泳いだ後に相手の姿を正面に据えて捕捉し始めようとしていた。
■シリル > 「わっ!? な、なに……今の?」
靴越しに気持ちの悪い感触を覚えて、咄嗟に飛びずさる。
ゴミを踏んだのなら、もう少しはっきりとした異物感があるだろう。
けれども伝わって来たのは、ぶちょりとした不定形の何か。
手を翳して、蛍火のような幽かな灯りを生み出して、
ついさっきまで自分がいた場所へと目を凝らしてみるも、やっぱり何も見えず。
「あれ……今、確かに何か踏んだ…よね?」
首を傾げてみたところで、何かが上の方からぽたぽたと滴り落ちてくるのが見え。
そのまま持ち上げられる視線とともに、揺らぐ蛍火がゆっくりと上昇していき。
「うゎ……なに、これ。街中に居ていいの、こんなの。」
見上げた先に、竜に似た何かのシルエットが佇んでいた。
けれど竜種と決定的に違うのはその威圧感。
目の前の相手からは、それなりの魔力は感じ取れるものの、畏怖とか恐怖とかそういったものは感じられず。
こんな街中で暴れられたら面倒だなぁ、と暢気に見上げていて。
■ドラゴン・ジーン > 「ウ゛ウ゛ルルル……」
とても長閑な反応に対して尖ったような応対、低くくぐもった唸り声を漏らす、先程よりも踏み付けられた分だけ萎んだ胎を揺らしながら、警戒するかのように見据える眼差し。そして同時に染み付いた癖はくんくんと出っ張った作り物の鼻先を鳴らすようにして、目の前に佇んでいる相手の匂いを嗅ぎ取り出していた。
全ての行動原理は貴重な遺伝子の採取、という目的に基づくが故に。果たして、今目の前に居る人物の遺伝子の価値は如何程となるだろうか。もしも高等級を誇る代物であるならば、多少のリスクを引き換えにしてでも採取行動に入る事となるだろう、しかし、もしもさしたる価値でも無いならば、また別の振る舞い方がある。
「ウウ゛…」
照らし出す魔力の薄明に眩しそうに触角群がたじろいだ。じりじりとお互いの距離間を測って間合いを取りながら、相手の出方もまた窺い気味になっている。身を低くして飛びつくべきか、警戒を解くべきか、あるいは踵を返して逃げてしまうべきか。尻尾をぱたんぱたんと激しく左右に揺らしながら迷っているかのような態度を顕著に。
■シリル > 「あー、さっきは踏んじゃってごめんね。
そんなところで誰かが寝てるだなんて思わなかったから。」
警戒というよりも威嚇のような唸り声を上げる相手に、取りなすように声を掛ける。
人語を解するかどうかは分からないけれど、まぁ、退屈していたところだし話し相手にでもなって貰おうかというところ。
襲ってくるのなら、それはそれで容赦なく撃退するつもり。
ふわふわと揺らめく蛍火に照らされた相手は、見たこともない生き物で。
見た目は可愛いとは言い難いものの、未知という点においては少女の興味を引いた。
「あ、もしかしなくても明るいの苦手なんだ?」
蛍火に怯んだような仕草を見せられると、手を振って光量を落とす。
消してしまうと自分が見えなくなってしまうから、辛うじて見えるぎりぎりの明るさまで絞り。
見た目は大きいものの、丸みを帯びたフォルムに尻尾を振る様子は、どことなく愛嬌がある。
怖くないよー、と両手に何も持っていないことを示して、少しずつ近づいてみて。
■ドラゴン・ジーン > 「…………」
何処までもマイペースな態度に徹する相手に戸惑うような空気が顕著に顕れる。いかに対応すべきかの逡巡に何となく毒気を抜かれた気配にすうっと全身に漲らせていた剣呑な空気が剥げる。雄弁に混乱と警戒の感情を物語っていた尻尾の動きが次第に弛み、ぱたん、と、真っすぐに地べたにへと沈む。ごぼ、と、先んじて響かせるのは竜顎を形成していた喉に立たせる濁ったような泡の音。
「おど……ろいタ。だれか、クル、きづかナカった」
たどたどしいながらに紡ぎ出力するのは模倣した人の言語となる。近づいて来る足踏みに対して寧ろ困惑するかのように頭部から伸びている触角は竦むように揺れた。
しかしながらに敵対的な行動は差し当たっては採択しない、取り敢えずに垂涎の遺伝子、という訳でも無さそうだ。相手にも敵意が感じられないことから、無理をして激闘を繰り広げる必要も無いと判断する。
「あかルイ。くらいところ。しげき。つヨイ。ものおじ、しない、こわくナイか?」
犬のおすわり、のようなスタイルにその場に座り直す。大分体積量の減った子種を呑んでいる胎を揃える両前肢に隠すようにしてゆるく潰しつつ。長い竜の首が不可思議そうに傾げられる。
■シリル > 相手が纏う空気の変化に、何かやっちゃったかな、という気がしないでもない。
けれど、向こうが攻撃もしてきていないのに問答無用に仕掛けるというのは趣味でもない。
他にどうするという選択肢もなかったわけだし、まぁいいか、と開き直り。
「おぉっと。喋れるんだ! すごーい! 魔獣でも喋れるのって、あんまりいないんだよ?」
まさか喋れるとは思わなかった。
やや聞き取り辛くはあるけれど、しっかりと意思疎通ができている。
思わず両手を叩いてしまうほどテンションが爆上がりして。
「私は、シリル。キミはなんて名前なの?」
会話ができると判れば、更にぐいぐい攻めていく。
距離のほうはもう少し詰めれば、伸ばした手が届くほど。
それ以上は相手の方も嫌がるかもしれない。
「まだ明るいかな…? ん? 怖くないよ、だって襲ってこなかったし。」
宙に浮く蛍火を少し離れたところに移動させる。
不可解と言わんばかりの相手に、あっけらかんとした答えを返し。
■ドラゴン・ジーン > 「フふん。わたシはどらゴン。かしコイ。ただのケモノとおなじ、ちガウ」
ドヤ…という褒められてまんざらでもないような調子に乗った空気が蔓延する。威張ったような振る舞いに首を長く伸ばし、目を細める代わりに光を放つ触角の光が薄まった。
しかしながらに吐き出す言葉はその一言一言が言葉を考え、懸命に捻り出すかのようにとぎれとぎれの代物となっている。
ふすん、と、疑似的な鼻腔から薄っすらと呼気が吐き出された。すいっと目線で束の間にくゆる光を追いかけるが、直ぐに目の前の相手にへと目線を戻す。現在の体格は1m程度。故に仰ぎ見るのはこちらの方だ。
「ドラごん。こたいめいは、ない…そっちは…たダのにんげん、ちガウ。におい、わカル。まぞク。それモ、こういの。ひんみんチク、あるくかっこうじゃない。わたシが、へいきなのも、そのセイか?」
僅かばかりに対話をする程度には打ち解けているが、必要以上に距離が狭まればどうなるかは解らない。今も細心の注意を払うようにある程度の距離間隔は保っている。落ち着いて座しているように見えるその肢も、じり、と、いざとなれば離脱する緊張とバネを蓄えているのも、もしかしたら見えるかも知れない。
ぎょろんと見遣る目が吟味するのは、このような余り治安の宜しくない地区には若干不釣り合いなそのワンピーススタイル。そして華奢ながらに栄養の良さそうなその容姿だ。
当ててやったぞ、どうだ、とでも言わんばかりの空気を漲らせつつ。
■シリル > 「どらごん! キミみたいな『どらごん』は初めて見たよ。レアだねっ!」
表情はよく分からないものの、ドヤっている雰囲気だけは伝わってきた。
思わず苦笑しそうになるのを堪えて、大仰に驚いて見せる。
本物ということはないだろうけれど、そうでなくとも初めて見た魔物という意味ではレアに違いない。
多少大袈裟なだけで、嘘はついてない。
まぁ、見た目も仕草も大型犬と変わらない気がするから、怖がり用がないのだけれど。
「じゃあ、どらちゃん…かな? ごん君でもいいかな。
へぇー! そういうのも分かっちゃうんだね。すごいすごい!」
センスが良いとは言い難いネーミングを披露しつつ、相手の考察にこれまた大袈裟に褒めちぎる。
どうやら感知能力だけでなく、観察力も人並みにあるらしい。
いっそ撫でてあげたいけれど、まだどうやら警戒されているらしいと見て取ると、それは我慢して。
「で、どらちゃんは、何しに街に? まさか、ここが塒ってわけじゃないんでしょ?」
勝手に名前を決めてしまう。相手が嫌がれば、他のに変えることもやぶさかではないけれど。
普段どこに棲んでいるのとか、何を食べるのとか、訊いてみたいことは山のようにある。
それを一気に訊ねれば、相手が引いてしまいだろうから小出しに投げかけ。
■ドラゴン・ジーン > 「れアだ。わたシはいずれさいきょうのドラゴンになる。きょうのデアいはけうなものだ、じまんしていいゾ……でもどらチャンはヤメろ、かっこワルい」
ふんす、ふんす、滅茶苦茶に調子に乗っている態度に威張り。俗にいう空気を読む、裏を読む、という行いが全く出来てはいない、額面通りに受け取って機嫌が良さそうにぱたんぱたんと尻尾を躍らせるが、その後に続く愛称を拾い上げた途端ににべもなく拒否の一声をかぶせてぎろりと睨む眼光を送る。
「わたシは、こどもをツクりにきた。そのために、いでんシをサイしゅしている…おまえも、こうイだが。でも、えきドナにくらべたらたいシタことない。だからおそう?しない、いまはヒツようナイ。こうウンだ」
ぽんぽんと示すかのように自らの誰かの精液で膨らんでいる胎を前肢でさするような手つきで軽く叩いた。最初は値踏みするかのような空気を立たせていたが、今は関心の色味は大分薄くなっている。単純な好奇心と、余りにもあけすけにフレンドリーな態度に飲み込まれているかのように対話を続けているだけだ。
「そうイウ。そっちハ。なぜ、ココに?ひんみんたちでも、たベにきたカ?じゃくにくきょうショク、よわいものはクワレる、しかたナイ」