2023/01/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にテンドンさんが現れました。
テンドン > 貧民地区。夜の小さな広場。
月明かりも眩い地上の光。
痩せて乾いた土壌の上に枯れ木をくべて育てた焚火中。

「♪~~」

ご機嫌なハミングを口ずさむ。
めちゃ風通しが良くて寒いので普段より厚着。
襤褸の布切れとかをマフラー代わりに首に巻いている。
ついでに上着も一枚二枚ぐらい増やして、穴あきだらけの手袋を二枚重ね。
ついでに座している膝下には安い毛皮の絨毯を敷いて熱が逃げるのを抑えていた。

テンドン > 「今日の~、飲み物は何かなリトルシェフ~♪」

隣に置いてあるデカい荷物のリュックサックは何と風除けにもなってしまう。
ごそごそと中身を探って取り出すのは家財道具が幾つか。
そして今日買い付けたばかりの飲食物。

「新鮮な牛乳~♪お高いチョコレート~♪牧場を手伝って分けて貰った鶏卵一つ♪のんべえのお爺さんからラム酒を少々♪」

かん♪かん♪かん♪
鶏卵を凸凹の鍋の端っこに叩きつける音響がリズムを齎す。
注ぎ込まれる鍋の中身は牛乳と、溶かした粉末少々ばかり。
そこにラム酒を足した後に。
ぱかり!開いた卵の殻から飛び出した黄身と白身がダイビング!

テンドン > 「じっくりことこと弱火でとろとろ~♪卵が固まり過ぎないように火加減には要注意~♪」

燃え続けている焚火の上に鍋を翳して火を通す。
卵の蛋白質が熱変成でかちかちになってしまわぬようにゆっくりゆっくり。
木のヘラで鍋底から引っ繰り返すような手使いで掻き回す。
素朴に精糖したが精白はされていない赤砂糖の塊を一かけ二かけ。

テンドン > 「あっという間に!夜の御供のチョコレートエッグノックの出来上がり!!!」

十分に温まった所から火からあげた。
手持ちにある端っこの欠けた素焼きの杯にへと丁寧に注ぎ込む。
淡いチョコレートから香り立つ幸せの甘い匂いにうっとりと目を細めた。
ぱたん、ぱたん、と、牛の尻尾が左右に振れる。

「…冬の良い所その7、温かいものが何時もの二倍美味しい」

冷えている両手を杯の厚み越しに伝導される熱であっためながら湯気を顔いっぱいに浴び。
目を細めながらちびちびと飲み始める。
舌にじんわりと広がる熱と甘さ。美味。

テンドン > 「…楽しみ方なら、家の中で薪暖炉をがんがんに効かせている富裕地区にも負けないぜ。貧民地区流だ、にへへ」

ずず。啜ったホットドリンクが体を芯から温めてくれる。
冬の夜空を仰ぎ見ながら過ごす静穏な一時。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からテンドンさんが去りました。