2022/12/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にテンドンさんが現れました。
■テンドン > ぱちぱちぱち、爆ぜる薪木の音。
貧民地区の一角にある小さな広場で火が焚かれている。
周囲を建物に囲まれている為に丁度良く風除けとなっていた。
御蔭で焚火は多少揺れるが鎮火するような事は無い。
乾燥しきった冬の大気に晒され程好く燃え易い廃材を細かくしたものが軽く積み上げられていた。
「さむさむ……」
それに当たるようにしてその場に屈み込んでいる。
かろん、と、時々に手元の廃材を投じて火が絶えないように。
■テンドン > 「まずしさはつらい…今日も混ざり物のパンと御芋に野菜くずのスープだったよ…とほほ…」
ぎゅるるー、抱える空きっ腹がオーケストラの序曲を奏でる。
何せ此処は貧民地区、明日食う事にも困るような輩は決して少なくないのだ。
■テンドン > 「はい!でも最近お肉が足りないなー!育ち盛りなのに!というボクに送る王都マグメールグルメ!でれれれーん!」
ぴょこんっとその場に跳ねるように元気よく立ち上がる。
「今日のメニューは?テンドンちゃん!うーん!実は何も無いように見せかけて、食べられるものはそれなりに在ったりするんだなあ!」
ごそごそと物陰から引っ張り出すのは、紐を通した棒から下げた小動物!良く肥えていて街中でも珍しくなく見掛けるドブネズミ君!
■テンドン > 「個人的にねらい目はそこそこ御飯捨てたりしてる平民地区や富裕地区辺り。浮浪者や乞食はキックキックされても鼠は何処からでも入り込んで食べちゃうもんね、越冬の為に良く肥ってる奴を捕獲出来るでしょう!」
「ただ、そのまま食べちゃうのはとっても危険!綺麗にしておかないと毒?とかでお腹が痛くなっちゃうからね!なのできちんとした下ごしらえが大事!生臭くならないように殺す際にはちゃんと吊るして血抜きをすること、お湯で下茹でをしてから皮を剥いちゃえばもう立派なお肉です!ただ、尻尾は食べられないから捨てようね!内臓も概ね止めておいたほうがいいかな、ネズミ君何でも食べちゃうから下手すると何処か変な場所で変な魔術師とかの薬とか毒物とか食べてる事もあるからね!」
「捌いたものに塩少々、もしも手に入るならば酒や胡椒で臭み消し!枝を折って串にした奴に刺し通した後にじっくりと遠火で炙りましょう!火の通りが甘いとお腹イタタになるので此処も要注意ポイント!!」
■テンドン > 「はい!でも調理済みの奴が既に此処にありますー!」
こんがりときつね色以上にローストされた鼠の串焼きを掲げる!
「後は郊外にある枯れ掛けた樹木とかも簡単お勧めポイント。この時期になると樹皮の下に虫の幼虫が寝てるからね…引き摺りだしちゃえばあんまり手間をかけずに直ぐに食べられるのは昆虫食のいいところ!毒性のある植物に潜んでる奴は絶対食べちゃダメだけど。同じくローストにするか、燃え尽きた後の熱い灰の中に埋めて加熱するのがお勧めです。味はモノにもよるけれども、この時期だと香ばしいナッツみたいな味がするよね…」
同じように焚火の周囲には、虫に串通してあるヤツが突き刺してある。
■テンドン > 「はふはふ…おいし…見た目で敬遠するのはもったいないよね…普通に美味しいのに……」
脂肪をふんだんに含んでるせいか中々骨離れの良い鼠肉の身を歯で解して削ぐように賞味。
ぱんぱんに張り詰めてころころとポップコーンみたいに膨らんでる幼虫類も普通におやつ感覚だ。
とろりと口の中にとけるお肉の感触のしあわせ感に眉が下がる。尻尾ぱたぱた。
■テンドン > 「ずず……」
そこらへんの野草でも、軽く焼いて干した奴は十分お茶になります。
生水を濾過して手持ちの鉄器で沸かしたお湯で出した奴を、素焼きのコップで熱々の所を啜る。
「貧しくとも心は豊かでありたいね…ちゃんと食べて、ちゃんと眠れば良き明日はやって来るんだなあ…ごちそーさまっ!大自然に感謝っ!」
御飯が終わってぱんっと手を合わせる。
万が一残火が周囲に延焼してしまわぬように、徹底的に焚火は踏み潰して消した。
ずびずび先っぽが赤くなった鼻先を鳴らしながら、空腹の虫の静まったお腹を撫でつけ。
「よし。寝床にかえろ。最近はちゃめちゃ寒くなってきたなあ…また防寒の為の毛布を調達してこないとね、襤褸でもいいし」
手を軽く擦り合わせ、はーっと真っ白になった息を吐きかけて暖を得ながらくるりと返す踵。
そのままてくてくと静かになった広場を置いて立ち去って行くのである。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からテンドンさんが去りました。