2022/12/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にグラスシエルさんが現れました。
■グラスシエル > 貧民地区
スラム、というよりは人もあまり寄り付かない路地裏
悪臭や淀みもすくない。ものや食料の跡もないのだ
ときおり禁制の薬物や魔法書などの取引に使われる程度の路地裏。区画整備もされなさそうな辺鄙な場所だ
そんな路地裏に一人で入り込む少年がいる。
小柄で痩身だが硬そうな生地の濃紺の軍服を着込んでいる
周囲をみわたし、壁を睨むようにみつめて、手を当てる。
別に睨んでるわけではないのだが目つきはもともと悪いのだ。顔立ちは整っている、というか男の娘のように可愛らしいのかもしれないほどだが、その纏う雰囲気と目つきのせいで小柄な肉食獣のような印象をもつ相手もいそうなほど
少年としてはどっちでもいい。ただのガキに見られても舐められるだけだし無駄に諍いをする気もなければなめた相手を許してやるつもりもない。蹴り飛ばして少々痛い目をみてはもらうが、そんなことは面倒なだけだ
さて
そんな少年は壁を撫でるように手をあててたがゆっくりと離し……小さく舌打ちをする。
「っち、ハズレか。どうにもガセが多いな」
王国から請け負った仕事、魔族の潜伏先の情報の確認
金に困ってはいないのだが魔族を殺すのが本来の仕事故に受けた。人間の味方ではなく、天使としてだ。
とはいえ情報はおそらく外れ。気配というか真新しい外壁…誰かがここに背をあずけた跡はあるが魔力の痕跡がゼロだ。
「魔族っぽい雰囲気じゃねえなコレ。闇取引、ってやつか」
声変わりもまだだが、ぶっきらぼうにつぶやく。
これ以上は自分の仕事ではないが――もう少し路地裏を歩いてみる
■グラスシエル > 寒い
寒いが一応外套代わりにもなる魔法での耐寒耐熱用の服だ
風や顔や耳がさむくて壁をけりとばしたくはなるが…けっても暖かくなるわけでもなし
手がかりらしいものも無いし大したものもない
最近こんな場所に複数のなにものかが居たのは間違いはない
足跡を隠すように地面を掃いたせいで露骨に地面に石や砂利が平坦な部分が多いのでそれは間違いはないが…せいぜいが人間のあれだ
「うーん…どうすっかねえ」
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からグラスシエルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にプラセルさんが現れました。
■プラセル > 何時の間にやら季節は過ぎ、冷えた空気の満ちる冬が訪れていた。
まだ雪は降っていないものの、それも、もう暫くもすればちらつく時期になるのだろう。
ただ、冷え冷えとした夜気とは裏腹に、冒険者向けの宿やら酒場やら、娼館やらが立ち並ぶこの通りは人の熱気に満ち溢れている。
人が行き交う通りの中、荷物の入った紙袋を抱えながら、人にぶつからぬよう緩やかな歩みで進む姿が一つ。
足りなくなった材料の買い出しに出て、無事、それを終えた帰り道だ。
もう暫くも歩けば、己が身を置く酒場兼娼婦宿も見えてくるだろう。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にクチナシさんが現れました。
■クチナシ > 指の末端が冷たくなる。そんな冷え込みを見せる夜空の下。
普段ならば、平民地区の宿等を取っていたのだが――。
この冷え込みの中、野宿なんてしていられない!なんて考えた冒険者が殺到したためか、普段寄っている宿が満席になってしまった。
ならば他の、と思ったが。……同じことを考えた者が多い故か、平民地区にめぼしい宿は見つからない。
ならば、どうするか?――普通の人が立ち寄りにくい地区の宿を選べば良い。
「この肌寒さの中でも……此処は活気があるな。」
娯楽街も兼ねている貧民地区の道。すい、すい、と通りを歩く小さな影。
とはいえ、普段あまり立ち寄らない地区。地理に詳しくなく、丁度良い宿が何処にあるかなんてわからない。
だからか。
――ふと、目に入る。如何にも宿や屋敷などに向かいそうな、荷物を持つ少女に。
「あー。――そこの子。ここらに宿はないかな。」
声を掛ける。その顔を見上げ、伺うようにして。
■プラセル > 不意、掛けられた声。
けれど、己に向けられた物と判断できずに足を踏み出しかけ―――ここらでは余り聞かぬ音の高さに動きが止まった。
視線が移ろって、声の主の元を辿って、上から下へと滑り落ちる。
己の目線よりも低い位置にある頭に、形の良い三角の耳。
はつり、瞳が瞬き、
「……あるには、あるけれど―――……、……迷子、だったりする……?」
数秒の間の後、訥々とした音が落ちた。
人によっては余計なお世話で、要らぬ一言だろう、遠回しな問いかけ。
然し、抑揚の薄い音の中に混ざるのは、仄かな心配の色で。
■クチナシ > ――彼女の反応は当然。
傍から見れば、その獣の意匠。そして、小柄な体躯はこの治安の悪い貧民地区にはそぐわない。
ある意味。"奴隷"という存在という意味では――それっぽさがあったりするけれど。
彷徨う視線。それが頭頂から揺れる耳を捉え、自身の顔へ向き、言葉を零す。ハーピー等を思わせる甘い声を。
「……いや、迷子じゃあない。
……この時期だと、外の冒険者が平民地区の宿に駆け込んでいてな?――普段、厚意にしている宿とかが埋まってしまったんだよ。
……で、ここならば。空いているだろうと思って、な。」
別に子ども扱いに腹を立てたりもしないし、余計なお世話と想う精神性でもない。
それに、声色に混ざるのは心配の色。自分を案じての言葉だろうから。
――わざとらしく肩を竦めつつ、此処に居る理由を彼女に告げて。
■プラセル > 見目だけで言えば、界隈では然して珍しくはないのだろう、彼の姿。
けれど、問い掛けの内容を思えば、『商品』の類の人種では無いことも明らかで。
道を逸れて迷い込んでしまったのだろうか、と思ったが、そうでは無かったらしい。
そう、と、短い相槌を一つ打ちつつ、彼の言葉に思わず視線が空の方へと持ち上がる。
雪は降ってきてはいないけれど、この寒さでは確かに野宿は厳しいだろう。
緩やかな動きで視線が戻り、それから、納得したよに頭が小さく揺れた。
「そう、ね―――……今の時間帯なら、空いているところも多いと思うわ。」
独り言めく呟きを落としては、緩く頭を傾げ、
「―――……よければ、うちのお宿に来てみる……?」
■クチナシ > 此処に来るまでも、如何にもな人に声を掛けられたのは――まぁ、よくある話。
腰に武器を帯刀しているとはいえ、外見だけ見れば子供であり。――ミレー族と勘違いする輩も多い。
彼女に関してはそうではなかったけれど。それでも、子供としか見えない外見は矢張り、色々とある。
釣られるように視線を空へ。星は綺麗だが、それよりも肌を刺す冷たさが気掛かり。
勿論、呪術等を利用すれば野宿の一つや二つ、出来なくもないが――それを此処まで来て行うのはナンセンス。
さて、彼女への返答。それに少し納得した素振りを魅せた彼女の口が、再び揺れる。
「――何よりだ。これで、此処まで埋まっている。と言われたら、草原なりで野宿の予定だったよ。」
口元に弧を描かせ、安堵の表情を。其処と――。
「……それは渡りに船。うむ、是非肖ろう。――これぐらいで足りるかな?」
彼女からの提案に、安堵を笑顔に変えて。和装の中から取り出すのは、分厚い如何にも頑丈そうな革の袋。
――其処から1枚、金貨を取れば。
他の人に見えないよう。1枚を、その荷物の中に紛れ込ませようと。所謂、お駄賃。
■プラセル > 彼の口振りに、浮かべられた表情に、変化の乏しい表情がほんのり和らぐ。
折角宿探しに来たのに、外へと舞い戻る羽目にならずに済んで幸いだ、なんて、心の内に。
それから、何やら探すような仕草に、不思議そうに様子を眺めていたものの、取り出された革袋と、其処から抜き取られた金貨。
伸ばされた手に制止の声をかける間もなく、紙袋の中へと落とされてしまえば、また、瞳が瞬く。
困ったような、吐息交じりの笑み音が、緩やかに抜ける。
「――――……うちのお宿、料理も美味しいのよ、」
頂いた分は、しっかり案内しなくては。
荷物を片手で持ち直し、誘うよう、掌を上へと向けて彼へと差し出す。
取ってくれても、くれなくても。先導するように、前を歩き始めるのだろう。
―――相手を伴い歩む事暫し。
辿り着いたのは、この辺りには珍しい、屈強な傭兵が入口の左右に立つ二階建ての酒場、兼、娼婦宿。
傭兵の二人には軽い挨拶をして間を抜け、店の中へと相手を案内しようと。
■クチナシ > 貧民地区。と言えど、娼館を兼ねている宿も多く、そういった場所は衛生面でも一夜の宿として向いている。
少女に話掛けたのも――そのふわもことしたケープ辺りに、ふわふわとした羽のような物と、首輪があったから。
――そう、そういった店の従業員だと踏んでのコトだった。勿論、言葉にはしないけれど。
何せ、道案内をしてもらうのだ。
冒険者としてそれなりに稼いでいる故、少しぐらいは駄賃を弾みたい。
相手が動くよりも前に袋の中に収めてしまえば――それこそ、宿に到着して中身を仕分ける作業辺りでしか取り出せない。
行動の後は――どこか意地悪そうに。楽しそうに口元を緩める。此処だけは、外見相応に。
「くはは。それは何より。
料理の美味な宿は良い。特にこの寒い日には、尚の事、な。暖かく精が付くものを食べたいところだよ。」
――差し出された掌。勿論、その手は取るに決まっている。
握り締めた其処に伝えるのは、獣人特有の体温の熱さ。この寒さの中でも、握り合う其処だけは、きっと温かい。
歩調を合わせ、――もう暫く。
其処まで遠くもないのは、嬉しいやら悲しいやら。
「――おおっ。」
――予想はしていたが、予想以上に綺麗な宿だった。それでいて、確りと門番がいる辺り、セキュリティも安全だろう。
「――邪魔をするよ。お仕事、お疲れ様。」
軽く会釈をし、彼女と共に再び歩を進める。1階は酒場。2階は宿になっているようだ。
店の中に入れば、既にそこで食事をしている冒険者や買い手も居ることだろう。――もう少しすれば、夜のお誘いなんかも始まるかもしれないが。
「そういえば――名前を聞いてなかったな。
自分はクチナシ。……お主は?」
■プラセル > 外気に晒されていた己の手は冷えていて、繋いだそこから伝わる温度が熱い位だった。
それも、宿に辿り着く頃には混ざってしまって、同じ位にもなっていそうだけれど。
入口を潜れば、客を招く従業員の朗らかな声がかかる。
柄の悪すぎる者は摘まみだされてしまうものだから、喧騒と言う程ではないが、賑やかな店内だ。
店内を見渡し、空いている席を探せば、カウンターと壁際の小さめの丸テーブルが数席。
どっちが良いだろうか、と、問いかけようとした矢先、紡がれた言葉に誘われるよに相手へと顔を向けた。
「……―――プラセル、よ。 いらっしゃいませ、お客さま。」
ほんのりと撓らせた眼と唇で、うたうよに嘯けば繋いだ儘の手を軽く引いて歩みを進める。
途中、カウンターとテーブルのどちらが良いかを聞いてから案内をした事だろう。
相手が椅子に座ったのを確認し、
「食べたいもののリクエストは、ある?」
■クチナシ > ――冷えて、冷たくなっていくからこそ。
僅かに残る熱を確かめるように、その手を包み込む掌は、力をほんのりと強めて。
と言っても、子供の小さな掌。痛み等を与えることはなく。ただ、剣士らしく僅かに硬い掌の質感を伝えた程度で。
――まず、宿を見ての感想は【活気がある】だった。
こういうところには奴隷が陰鬱そうに働いていたりするが、オーナーか宿の気風か――雰囲気は悪くない。
それによく見れば。……酒場内のミレー族に首輪を付けていない子も居る。
「……ああ、お邪魔するよ。
何というか……良い雰囲気だな。これはアタリを引いたと言っても過言ではないかな。」
もしかしたら――。噂に聞く【貧民地区にある、ミレーに首輪を付けない宿】が此処だったのだろうか。
繋いだ掌はそのまま。ただ、暖かい室内に入れば、再び其処は熱を灯し始める。
戻り始める熱同士を伝え合うように、包んだまま。彼女の問いかけにはテーブルを指し示し――。其処にある椅子に腰掛け。
漸く、その手を解いた――。
「そうさな。……パンとスープ。出来れば肉が入っているとありがたい。
……後、良ければプラセルも食べていかないか?――戻ってきて、身体も冷えているだろう?」
――が、まだ彼女を離すつもりはない様子。