2022/12/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にドラゴン・ジーンさんが現れました。
■ドラゴン・ジーン > お昼時だ。今日も天候は晴れ渡り差し込める日向ばかりは貧富の差異も無くその恩恵を授けている。冬も本格的になるに連れて凍える寒さは貧民にとっては死を予感させるものにすらなって来ているが、今日は風が比較的に柔らかく日照にあたためられた暖気が広がっている。
貧乏暇なしという言葉通りに、束の間の糊塗を凌ぐ為に労働に従事し続ける人々は少なくない。多忙に駆られる労働者達は例え物流と食料の豊かな街中であっても中々自炊の時間などは取れないだろう。中にはきっと何処かの店で食事をする時間すらも惜しむ者すらも居るに違いない。だからこそ宅配というものに需要が湧き出して来るのだ。
宅配業者が、今も街中を駆け回っていると想像して欲しい。定期的にか、予約の声を受け取っていたのかは解らないが、その手には岡持ちという料理食器を収める為の木造容器を携えている。基本的にインフラが整っておらず荒れ果てた路上を廻る足取りが何処かの居宅の前に辿り着いたとしよう。
しかし不幸ながらにその家主はノックをしても出ては来ない。留守中なのか。寝ているのか。幸いな事として代金は前払い済だ。故にこそ業者は次の仕事に移行するために、家の前にへとその岡持を置いて走り去って、という選択が出来る。
所謂置き配という奴だ。
■ドラゴン・ジーン > では、この置き配のデメリットは何だろう。今日を食うにも困る貧困層の屯する貧民地区で手つかずの食糧を置いておくなど狼の前に羊肉を放るに等しいと思うかも知れない。あるいは人間ではなくとも荒れ果てた街中を闊歩する野犬や鼠、蟲なども喜んで放られている食事に集る事も在る筈だ。だが治安が悪く、清掃の行き届かないこのような場所だからこそ在り得る危険性は更に存在する。
日向の届かない建物の陰に潜伏していた粘液体が、ぬるりと路上にへと這い出して来る。真っすぐに向かうのは業者によって無防備に置きっぱなしにされた岡持の置かれた場所だ。器用にぬるぬると伸びる触腕が閉じた蓋を抉じ開ける。そのままいとも簡単に窮屈なその容器の中にへと入り込んでしまった。
無論に岡持の中の料理や食器が狙いという訳ではない。その陰に潜む事それ自体が目的となる。恙無く宅配先の客が岡持を手に取るも良し。飢えた誰かがこれを盗んでいくも問題無し。変哲も無い日常風景の中に混ざり込んで、誰かが開けた瞬間に後悔する吃驚箱がそこに仕立てられる。後は陽射しのささぬ岡持の中の陰の中で待つだけでいい。これが持ち去られる瞬間を。
■ドラゴン・ジーン > 「………」
がた、と、外部からかけられる持ち上がった気配、事は恙無く運んだ。
よもやその誰かは想像もしないだろう。食べる為に手に取ったその中身にこそ。自分が『食べられる』などとは。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からドラゴン・ジーンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にクロスさんが現れました。
■クロス > (月明かり照らす貧民地区。
法律などなく、あるのは暴力と欲望のみ。
この街では自身の身の安全は自分で守り、他人を信ずる者は痛い目を合う、そんな理不尽な街だ...。)
「・・・。」
(とある闇金融の店。
黒一色に染めた服装をしている店長、クロスはテーブルに足を乗せて座っていた。
回収も終わり今は客が来ていないためにだらけており昼寝をしていた。)
「……ふぁ、ぁあ…」
(牙を見せつけるような大あくびをし、静かな事務所で過ごす。
ここは闇金を取り扱う店、こんな街でも金は必要不可欠だ。
だが、タダで稼ぐのは難しいためリスクを背負いながら金を借りる客は多い。
しかし、1度借りれば最後、期日内までに返せなければ身ぐるみ剥がされ、金がなかった時よりも最悪な人生を迎えることになるだろう。
そんな店であるが、客が来れば面倒事も起きる。
そんなことが無いように祈りながらも1人静かなは事務所の中、昼寝を続けている。)
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からクロスさんが去りました。