2022/11/26 のログ
■クレイ >
そうこうしている内に宿につく。自身がよく貧民街で利用する宿だ。
うーんと少しだけ唸るが。肩をすくめて。
「ま、いいか」
ここでいいやとその宿の扉をくぐる。
たまの休日。しかしそれも激動を生き続ける彼にとっては暇な1日となってしまうのだった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からクレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/骨董屋」にシシィさんが現れました。
■シシィ > 貧民地区の路地裏にひっそり佇む骨董屋。
看板らしい看板があるわけではない。
扉を開いたって、本当に価値があるのか疑わしいものが、さびれたものはさびれたまま陳列されている。
値段と物品の乖離は激しく、中には本当にがらくたが紛れ込んでいるのも知っている。
覚書は嘘か真かわからない物語が綴られて、ただそういったものを楽しむためだけに訪れる好事家も存在しているらしい。
幾度か訪れている己は、さてどちらなのだろうかと、相変わらず愛想のない店主に挨拶を告げながら、棚の前に立つ。
それでも幾何か、品物の並びが変わっているのにかすかに眉を上げて。
「あら、……あの指輪、売れましたの?」
覚書はどうあれ、いまではもう価値のある石ではない、硝子玉が据えられた真鍮製の指輪。
鈍い赤い色がそれでも美しかったのを覚えているそれが棚から消えていることに小さく声を上げた。
『売れた』とそっけない店主の声を聴いて、女は少し面白がるように口許を笑みに象り、己が訪れていなかった間の間隙を埋めるべく、陳列棚の間を歩く。
新しく妙な機械が増えていたり、それ単体では意味をなさないだろう何かの欠片。
あるいは純粋に古代の遺物である化石などが、やはり無造作に陳列されているのだ。
それらを見つめる眼差しは一様に、楽しそうに細められ。
■シシィ > 「───それでは、これを」
ややあって選んだのは、白色がかった小さな石。
柔らかそうな色合いは、仄かに透明度もあるが、貴石の類ではない。
それでも需要があるところにはあるもので。
それを知っているがゆえに女はそれを手に取り、代価を支払う。
いく分多めに払うのは、好きに品物を見させてもらっている分もあるのだろう。
それでは、と短い挨拶の言葉を交わし、女は静かに、その店を後にした。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/骨董屋」からシシィさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にロブームさんが現れました。
■ロブーム > 貧民地区の中でも、特に奥まった路地にあるその酒場。
用心棒の男が出入口を固めているその店は、住民たちの間で『治外法権地帯』と呼ばれている。
地元の住民のほぼ誰も使わないにも関わらず、今も尚存続しているその宿の中は、暗い。机に立ってあるキャンドルで、辛うじて目の前の人の輪郭は見えるというぐらい。
その店の中に、ロブームはいた。正確にはロブームとあと一人。
粗末な服を着た、人間だった。
『……これが、あの薬……なのか』
彼の目の前にあるのは、国で規制されているとある薬だ。
ガラス瓶の中に入った虹色のそれは、薬と言うより飴に似ている。
それが、蝋燭のほの赤い光に照らされ、きらきらと光っている。
粗末な服を着た男は、それを手に取り、しげしげと眺めていた。
「うむ。『彩の薬』。魔族の国においては、嗜好品の区分だが……こちらでは、麻薬の類として扱われている。
私としては、服用をお勧めしないが……まあ、需要があるなら応えるのが私の商売だ」
『ああ……助かるよ。いつも……お代は、いつもので良いんだな?』
「ああ。貧民地区内の情報だ。変わった事。特に、貴族や商人の様な、身綺麗な人間が来たら教えてくれ。
情報の受け取りについては、後で配下を遣わせる。それまでは服用しない様に。……一回の服用では大丈夫だと思うが、支払い前に廃人になってもらっても困る」
そう言うロブームは、しかしその約束が果たされるかは半々と見ていた。
彼のことは信用できるが……しかし、亡き娘と弟に、夢の中であるとはいえ会えるという機会を前にして、早々"待て"が出来るほど自制心が強くないとも知っていた。
「(まあ、その場合はその場合で、使い方が無いでもない……。
薬物に染まった人間ほど、扱いやすいものもないでな)」
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からロブームさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にタマモさんが現れました。