2022/10/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアーシャさんが現れました。
アーシャ > ありとあらゆる最低と最悪の坩堝見たいな貧民地区において、比較的治安がマシである平民地区との境に近い路地。
幾ら貧民地区の人間でも無茶をして平民地区の見回りにつかまって臭い飯を食わされるのは楽しい筈も無く、そうならないように、だが平民地区から迷い込んできた人間を餌食にするために互いが互いを牽制しあい、互いが臭い飯を食わせてやろうと企むという地獄絵図による偽りの平穏が保たれているそんな路地で、今日も一人の少年が欠伸を噛み締めながら路地の壁に寄りかかっている。

昨晩財布をお借りした大人二人に追い回され、住処まで暴かれそうになったのを逃げてきたのだ……本当なら平民地区にある隠れ家ではないが、比較的安全な場所に隠れようとも考えたが、ただ逃げるのはプライドが赦さずで、どっち着かずの踏ん切りつかずで、今現在に至るのだ。

「……子供相手にムキになりすぎだよなぁ?そう思わないか??」

話し相手は野良の猫である。
その猫も別に話を聞きに来たわけではなく偶々路地の壁の上を歩いているだけの一般通過猫である。
だから自分の声は届けどニャァと鳴いてそれで終わり。
そんな猫もさっさと逃げていき、直ぐに独り言の時間となった。

一応服装と身体は清潔に保たれているので、誰かの家に転がり込むのも悪くないだろう、ただそれは相手がいればの話で、それ以外に出てくる考えは浮かばす代わりに欠伸がでる始末。

一矢報いなくても、すっきりする者があればなぁ?と、また欠伸を噛み締めながら、狭い路地から夜空を見上げ、耳は平民地区のにぎやかな喧騒へと向けるのだった。

アーシャ > 平民地区も決して安全な場所とはいえない。
それを言えば王都自体が日常と非日常が入り混じる危険な都市であって、それを今更嘆いたところで搾取側に生まれ変われるでも、搾取代わりに入り込めるわけでもなし、そういう場所でそうして生きて愉しむしかないと……。

それでも平民地区から聞こえてくる喧騒は賑やかでどこか温かく此処とは違う意味合いで反吐が出そうであったが、それはそれ、また大きく欠伸を噛み締めながら、何か無いかと自分のズボンのポケットに手を突っ込んで漁る、程でもないが何かないかと探る。

指先が当たるのは飴玉。
平民地区や富裕層の住む地区で売っているのとは比較にならいほどシンプルで雑な砂糖を溶かして冷やし固めただけのもの、包み紙にすら入っていないそれを取り出すと、少し高く宙へと投げて、欠伸を終えた口をあけて器用にキャッチ。

「………ほとぼりはめたら、かえるは……いやへも、はあぁ……。」

ほとぼり冷めたら帰ろう、でも、あいつ等が見張っていたら面倒だなと言いたかったが、口の中に広がる甘さと大きな飴玉が入っていたので、こうなった。
まあ甘いので表情は比較的ゆるくなってしまっているだろう。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にミンティさんが現れました。
ミンティ > あまり遅くならないようと考えていても、そういつも望みどおりになるわけではない。
出張鑑定の依頼を受けた帰り道。平民地区ち貧民地区の境にあたる場所という事もあって、不安を隠しきれない表情で先を急いでいた。
せめてこれ以上遅くなってしまう前にと早足になるものの、それはそれで、見通しの悪いこのあたりだと、なにかに躓いて転んでしまうかもしれない。
焦りと、慎重さと、その狭間で微妙な速度を保ちながら、このまま道をまっすぐに進んでいけば平民地区まで戻れそうだ、といったところ。
あとすこしで多少は気の安らぐ場所だというのに、ぴたりと足を止めたのは、壁に寄りかかる少年の姿が目に入ったから。

「こんばんは。えー…と、あの、名前…ごめんなさい、忘れて、しまって。
 このあたりで、何度か炊き出しのお手伝いした事があるんだけど……
 一人…?いつも、一緒にいる子たちは……?」

自分自身が孤児であったから、身寄りのない子に食事を振る舞ったり、そうでなくともただ様子を見るための巡回活動などを手伝う機会は何度となくあった。
その中で、たしか彼の顔を見ていたはずだと思い出し、驚かせないよう静かに声をかけてみる。
活動の都合上、皆一様に長い時間構ったりする事もできず、そのせいで呼びかける名前を思い出せない頼りなさではあったけれど。

アーシャ > 何もない時間が過ぎていく。
何度も欠伸を噛み締めるほどの暇と危険とを天秤にかけながら、流石にそろそろ貧民地区の隠れ家に戻るか、本当に最終手段としてどこかの孤児院に弱者を装い転がり込むか、教会に敬謙な信者の真似をして潜り込むか、どれにしようかと、くぁ~っと大きな欠伸をかみ締め、ついでに残り半分ほどの大きさまで溶けた飴玉をガリと噛み締め噛み砕くと、それを嚥下するのと同時に――…気が抜けていたのか、そこで初めて人の気配を感じ、そちらを振り向く前にこの辺でよく聞く声に視線をぐるっと向けた。

「ああミンティの姉さんか……。」

退屈の眠気で曇った眼がほんのり晴れたのは見知っていた顔であったし、少々悪戯をした覚えのある顔であったから、ひらりひらりと挨拶がてらに軽く手を振ってから、彼女の問いかけに隠し立てすることなく、飴玉の甘い香りのする息を吐き、答えながら折角の顔見知りの登場に――…いい事を考えたと一瞬だけニヤッと悪い顔をしてから、彼女の方に歩み寄る。

「……アーシャだよ……忘れんな。で、あいつら?あいつらならばらばらに隠れ家に帰って寝てるんじゃねぇの?そんな時間だろ今……それよりミンティ姉さんはあいつらに何か用事かい?それとも何だ道にでも迷った?」

彼女の傍でピタっと足を止めると同時に答えを返し終え、言葉の最後におどけたそぶりで軽く小首を傾げて見せる。

彼女の言う一緒にいる子達って幾人か心当たりがあるが、今はとっくに各々自分の隠れ家で寝ているか、数人は固まって寝てるだろう、それを確認すると言う事は厄介ごとでも?と勝手に想像して、正直に答えてみる想像通り厄介ごとであれば早々に情報共有が必要となるわけだし。