2022/09/20 のログ
リク > 「よし決めた!!」

(しばらくそうしていたが腹をくくって立ち上がり、店主に事情を話す。一通り罵倒されたりげんこつまでされて、とりあえず今日の所は店の皿洗いと掃除を手伝って、足りない分は明日なにかしら仕事を探してこいとのことで収まった。しばらくこの宿を贔屓にせねばならないだろう)

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からリクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にシャノンさんが現れました。
シャノン > 「おーい……ごめんって、ねぇ、出ておいで……?」

雨上がりの裏路地、昼でも薄暗く治安の悪い界隈を、
全身白ずくめの娘が歩いている。
足取りは慎重で、通りのあちこちに積まれた廃材や木箱の陰に回り込み、
いちいちそこに何もないことを確かめては、溜め息交じりに声を投げて。

「ねぇ、ごめんってばぁ………悪かったよぅ、
 脅かすつもりはなかったのよ、ねぇ?」

娘の片手に握られたのは、いかにも上等そうな革の首輪。
つい半時ほど前、それをしていた愛らしい黒猫を見かけて、
こんなところにどうして、と不用意に近づいて―――怖がらせてしまったのだ。

首輪を振り捨てて逃げ出した猫を、捕まえなければならない理由は無い。
けれども、この首輪を見る限り、あれはどこかの飼い猫だ。
きっととてもお金を持っている、誰か、であるはず。
そんなところで飼われている猫が、こんな界隈で生き延びられるはずは無い、と、
――――なんだか、責任を感じてしまったのだ。
いつの間にか娘自身が、本当に物騒な界隈へ入り込んでいることにも気づけず。

シャノン > 「――――――――あ」

か細く、消え入りそうな啼き声。
おもわずぴるる、と猫耳を弾ませそうになりながら、
娘は声のした方を振り返る。
暗くじめじめとした空気の淀む、恐らくは廃屋と思しき建物の入り口。
その奥から、また、細く、哀れっぽく響く声。

「なんだ、そこに居るの、……雨宿り?
 もう雨は止んだわよ、出ておいで……?」

声を掛けながら、娘はその建物に足を踏み入れる。
白一色の小柄な姿は、すぐ、闇に紛れて――――――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からシャノンさんが去りました。