2022/07/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にステイラさんが現れました。
■ステイラ > とたとたと、路地裏の道をかけていく小さな姿が一つ。
ふわりとした衣装を翻しながら、子供が貧民地区をくるくると見まわしていた。
「んー、なにかおもしろそうなとこ、ないかにゃ~。」
こんな地区に一見して無防備な子供が歩いている理由は一つ。
普段はミレーの里で暮らす子供にとって、ここは中々に珍しい観光地のようなものだ。
なのでこんな場所でも彼にとっては物珍しく、新鮮な場所なのだ。
耳や尻尾はその加護で隠しているとはいえ、少々危うい。
それを理解はしていても、子供特有の好奇心は抑えきれなかったようだった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にステイラさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にステイラさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にステイラさんが現れました。
■ステイラ > そんな子供が色々と貧民地区を散策して、まず目につくのは繁華街。
相応に賑やかで華やかな場所に、やはりまずは視線が向かう。
「んんぅ~?」
しかして貧民地区のそうした場所と言えば…賑やか故に危うい場所でもある。
違法な店や怪しげな雰囲気の看板…興味を惹く場所では確かにあるが…。
「なんだか、へんな感じのとこだにゃ。」
子供ながらにそんな違和を抱くのも当然な場所でもあった。
……無論、だからこそ物珍しい視線が向けられるのだが。
■ステイラ > そうして暫く、子供はその通りをひそりひそりと、隠れながら進んでいく。
その最中に何かを見つけたようで――とてとてとそこに向かって走り出す。
怪しげな路地の奥に、子供の姿が消えて行った。
そのまま何事もなく彼は路地を跡にしたのかもしれなかったし…
もしくは怪しげなお店に入っていってしまったのか…
あるいはその耳や尻尾を見つけられて…危うい目にあってしまったのかもしれないが…
今ここでは、その行方は誰にもわからないものだった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からステイラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にカーレルさんが現れました。
■カーレル > 今回こそ死んだと思ったが生き残ったようである
明け方もまだ暗いうち、依頼で一晩明かし順調に仕事を終えて家路についた所、道を塞ぐように立った黒く小さな影
あ、この感じは久しぶりだな、と『あのお方』からの刺客だということは考えずともすぐ判った
何時も通りであれば軽くあしらい、さっさと家に帰って清潔なベッドに飛び込む所であったが、
フードを取った刺客が年端も行かぬ子供であったから、油断したと言うか何というか
…この手合の暗殺者が送り込まれることは数度目であったが、女子供の暗殺者、というのは
相手の境遇が脳裏をちらついてやりにくったらない
こちらが構えるよりも早く、言葉を投げかけるよりも早く引き絞られたが放たれたかのように突っ込んできて
脇腹にまず冷たい感触がして、その刹那、鋭く熱い痛みが走って、
とっさに影を着込んだけれども、深々と突き刺さった刃物がなかったことになる筈もなく―――
結局、刺客は思う様殴りつけて、気を失った所を黒い布地の衣装をひん剥いて、
子供にしては中々発育が良いヤツ、と確認してから路地裏にほっぽっておいた
あと、4、5年もすればよい女になりそうであった…等と今にしては思ったりしたのだけども、
その前に、腹の傷で自分がくたばりかねない状況であった
這々の体で貧民地区にある古い教会に助けを求め、大振りな扉をノックしたんだったか、
痛みで出来なかったんだがの辺りで記憶が飛んでいる
正確には気を失う寸前に、故郷で3児の母となった妹のまだ肝っ玉母さんではなくて、
可愛らしい少女であった頃の顔がチラついた気がしないでもない
…いや、協会で暮らしている孤児であったかもしれない…どちらにせよ、記憶は曖昧である
目を覚ますと軋むベッドの上
慈善家の貴族の寄付によって建てられた教会であるらしいがそれきり手入れはされず
ボロボロの天井がまずもって視界に入り、ゆっくりと上半身を起こした
明け方に帰ったにもかかわらず外は暗い…だいぶ、眠っていたようである
腹には一見、清潔な包帯が巻かれていて、傷の部分に恐る恐る触れてみれば、
突っ張った感じこそ残っているものの、既に塞がっている。確かに貫通創であったが、
半日程度で治ってしまうのだから、大した精霊達である
「……まともには死ねんな」
精霊を身体に宿してから、幾年か経ったが程度によるが傷は精霊が治してしまう
便利と思う反面、尋常ならざる力で気味が悪い。しかし、命を助けられているから悪くは言えなくもあった
とまあ、そんな事を考えながらベッドからゆっくり立ち上がり
ベッド脇に置かれた血の付いたままの衣服を手に取ればくらりと目眩がする
これも怪我のあとは何時もの事である
サイドテーブルに幾らかの、傷の手当て代にして過分と言える程の迷惑料を置いて静かに教会を後にする
まだ少し痛む脇腹を擦りながら教会の門を出ると煙草を取り出し、ささっ、と火を灯す
ふーっ、と吐き出した紫煙が暗闇に溶けていく
■カーレル > 周りに人の姿もなくじっとりと湿気を孕んだ空気
どこからともなく人の視線を感じるが、夜の貧民地区はいつだってそんなものである
ゆっくりと時間をかけて煙草を一本吸い終えれば、腹に何か入れるか、
それともさっさと帰って今度こそ清潔なベッドに倒れ込むか、
そんな事を考えながら歩き始めるのであった―――
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からカーレルさんが去りました。