2022/06/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にピスィカさんが現れました。
ピスィカ > 「……ぷあぁぁぁっ!」

夜も更けた貧民地区。
とある酒場で、一人の少女が酒を飲み、気持ちよさそうに声を上げた。

「マスター! お代わりちょうだーい!」

上機嫌ここに極まれり、といった調子で。
麦酒のお代わりを注文する少女。
カウンターに頬杖付きつつ。干し肉をガジガジと齧り。
その姿は、少なくとも、優雅、とはいえないものかもしれない。

「しっかし、退屈ねぇ……。
 どっかに面白いこととかないかなぁ」

程よく酔いが回っているのだろう。
そんなことを、口から漏らしつつ。
少女は、届いた酒をぐびぐびと飲んでいく。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にクレイさんが現れました。
クレイ > そんな酒場に1人の客がやってくる。
 ボロボロの姿は明らかに戦場帰り。まだ頬に治療用のガーゼを付けたままの姿で適当なカウンター席に腰を下ろす。腰の剣は外してカウンターに立てかける。

「酒、あと……俺に依頼した奴に伝言頼む。結果的に助けられたし」

 とチッと言わんばかりにそんなことを話した後に腰からドシッとゴルドが入った袋を机の上に、適当に持ってこいとそれをマスターに押し付ける。
 そこで同じカウンターに座っていた少女に目線が行く、上機嫌に飲んでいる姿を見て。

「あぁ、1杯目は同じ組み合わせで頼むわ。なんか旨そうにやってるのみたら欲しくなった」

 と少女を親指でビッと差しながらマスターへ。
 そして少女に目線を向けて。

「感謝するぜ、1品目のメニューだけ決まった」

 なんて声かけて。

ピスィカ > 「む?」

そうして、一人ご陽気に酒を飲んでいた少女だが。
近くに来た新たな客が自分に声かけてきているのだ、と気づけば。

「別に礼を言われるようなことはしてないけど。
 まぁいいや。逆に言えば、そのお礼を拒む理由もないし」

少女にしてみれば、好き勝手に飲んでいただけなのだが。
お礼を言われて嫌な気持ちになるでもなし。
特に気にするでもなくそう言い。

「……アンタ、見た感じ冒険者?
 お仕事終わりってところ?」

相手が自分に気安く声をかけてきたのだから、と。
少女は、お返しとばかりにそう気安く声をかける。
そのまま、相手を値踏みするような視線を向け。

クレイ >  
「当たらずも遠からず。傭兵だ」

 仕事としちゃ近い。だけど冒険者とは明らかに違う職種。その為当たらずも遠からずなんて表現をする。
 そしてやってきた酒と干し肉をムシャムシャと喰らう。

「で、お察しの通り仕事帰りだ。災難だったぜ、戦場に出たんだが……魔族の奇襲受けてな。1人で100近い魔族のど真ん中よ」

 生きた心地しなかったぜなんてヘラヘラ笑う。
 一気飲みで酒をグイッと飲み干すとグラスをマスターへグイッとお代わりと言わんばかりに。

「ま、運よく救助が来て助かったが。そういうお前さんは冒険者だな? 軽装とはいえ鎧着てるし。今の質問で冒険者って最初に出てきたしな」

 もし自分が逆の立場なら傭兵か? と聞いてしまう。こういう時自分の職業が先に出てしまうと予想していた。

ピスィカ > 「へぇ~。逆に珍しいかも。
 傭兵なんて久しぶりに見た」

そう言いながら、少し体を相手の方に向ける少女。
相手の食いっぷり、飲みっぷりの気持ちのよさに、わぉ、などと呟き。

「うわ、そりゃ大変だね。よく生きて帰ってこれたもんだ」

相手の発言に、驚きを隠せなくなる少女。
さすがに、そんな状況は想像もしたくないようで。

「へぇ~。ずいぶんラッキーだったんだねぇ。
 ……ん~、当たり、ではないかな。
 一応冒険者資格はもってるけどね。
 アタシの仕事は何でも屋。冒険者、っていう肩書き。なんか窮屈でさ」

相手の指摘には、微妙な笑みを浮かべながらそう答える少女。
実際、何が違うのか、と言われれば。そこまで差はないかもしれないが。
少女はそう宣言し、同じく、酒のお代わりを注文する。

クレイ >  
「ホントにな、今回ばかりは運がよかったわ。丁度廃村が近くにあってよ、そこに人なんていねぇって思ったらしい」

 俺自身生きてるのが不思議だわなんて笑う。
 実際援軍が来たとはいえ敵陣を中央突破したためらしくない怪我を負ったわけだが。
 その後の相手の発言を聞けばハハッと笑った。

「なんだそりゃ、でもなんか少し親近感感じるわ。俺も同じようなもんでよ。傭兵って肩書だが、フリーだし、どんな依頼でも受けるし。砦強襲からガキの御守りまでってな。貧民街の奴らは変な依頼持ってきやがるから」

 パンひとつやるから赤ん坊の世話してくれなんて依頼を受けたぜなんて笑う。
 そしてお代わりが来ればそれを持って席を移動。カウンターの隣へ。

「話すならこっちの方が話しやすいからよ。隣ダメだなんて今更聞かねぇから」

 なんて言って2杯目のグイッと。
 死ぬような戦場の後の酒はやはりうまい。

「てか、随分いい感じに飲んでたが。なんだ? お前は良い仕事でも受けた帰りなのか? それなら教えろよ。今度俺もそこに売り込みかけってから」

 いい仕事場は独占させねぇぜなんてニヤニヤ。

ピスィカ > 「ふんふん。なかなか大変そうだねぇ」

相手の話をじっくり聞きつつ。
少女は、相槌を打つ。
普段あまり話を聞くことの無い傭兵という職業の人間の話は。
なかなかに興味深いらしい。

「そうそう。でも、なんていうか。
 そういう、色々な依頼を受けると。
 困ってる人を助けてる、って気になるんだよねぇ」

少女としては、あまり大きな依頼よりも。
そういう、小さな依頼のほうが好みらしく。
そう語りつつ、相手が近づいてくるのを見る。

「ずいぶん積極的だねぇ。
 まぁ、別に天下の酒場の店の中、ですから?
 隣にくんな、とかは言わないけどさ」

ふぅん、と。相手の距離の詰め方を見守りつつ。
少女もまた、酒をぐい、と飲む。

「ん~? 別にぃ?
 ただ、今日はちょっと暑さが厳しかったから。
 スッキリしようかな、って思っただけだよ」

何でも屋稼業、そんなに稼げないって、と。
少女は掌をヒラヒラと振りながら笑う。

クレイ >  
「ほうほう? なるほどそういう方向で何でも屋やってるのか。まぁなんとなく気持ちはわかるな。してもらって当然ってクソ貴族の依頼より本気で感謝してくれる奴の方がやりがいはあるし」

 へぇと、逆に興味深そうに。
 自分もそうだ、なんて言うつもりはないが。困ってる人は安値で、困ってない人は高額で、そんな仕事の取り方をしてる自分にはどこか似た者同士な心境になってしまっていた。
 
「そりゃ積極的さ、まる1日誰とも話さずに1人ボロ小屋の中だぜ? 話せるならうれしくもなるってもんさ」

 しゃあねぇだろうなんてカラカラ笑いながらお酒のお代わり。
 その後の話を聞けばガックリと肩をすくめる。

「んんだよ、折角いい仕事場見つけられるかと思ったのに。流石に今回は疲れたし少し楽な仕事先探したかったんだが」

 残念残念と言いながら干し肉を嚙み千切り、肴もお代わり。

「でもよ、そういう何でも屋みたいな事やってるとたまに騙すような依頼こねぇ? 俺もたまにくるんだけどよ。ああいうの腹立つよなぁ。簡単だと思ったらクッソ難しい依頼だったりさ」

 おかげで安値で働かされることあるし。なんで何でも屋同士? ならわかるかもしれない会話をしながら肴の到着を待つ。

ピスィカ > 「そうそうそうそう!
 世の中、金ばっかが全てじゃねぇんだよ、っていう感じ?」

相手の言葉に、少女が強く同意する。
どうやら、なんらかの経験か、思うところがあるようで。

「ふぅん……。パートナーとかいないの?
 傭兵仲間~、みたいな」

確かに、それは辛そうだなぁ、などと。
のほほんとしつつ話を聞き、質問をしてみたりする少女。
酒のせいか、やや頬が赤く染まりはじめている。

「このご時勢、そんな楽な仕事なんてないでしょ。
 特に、アタシたちみたいな、依頼を受けるタイプは」

何を言ってるんだか、と呆れて笑いつつ。
少女は、ふぅ、と一度息を吐き。

「まぁ、あるけどねぇ……。
 でも、そういう依頼が来るってことは。
 逆に言えば、それだけ名が売れてるってことだと思うしね」

実力や実績が積み重なっていけば。
そういうのは仕方ないんじゃないか、と。
やけに大人びた言い方をする少女。
いつしか、少女は完全に相手の方に向き直る座り方になっていた。

クレイ > 「まぁそんな感じか? 俺は単純にやれる奴がやりゃいいってスタンスなだけだけどさ。それこそこんな貧民街の依頼受けたがる奴少ないだろうし」

 自分の場合は完全にただそれだけであった。
 誰もやりたがらないから自分がやる。で、払えないし恩もあるから安値で請け負う。ただそれだけだった。
 そりゃ多少は優しさもあるのかもしれないが……それを公言はしない。傭兵として舐められたら終わりだからだ。
 パートナーを言われれば考えて。

「パートナーってか傭兵の先生はいたぜ? 3年前に死んだけど。それ以降特定の誰かとは組んでねぇな……って、お前酔っぱらうなよ? 宿の世話させるなら俺の分の宿代まで払わせるからな」

 相手の様子を見てそんなことを言いながら苦笑。
 まぁ実際酔っぱらったなら宿の世話くらいはするのだが、それはそれとしてそう告げておく。
 それからフゥと息を吐き出して。

「ま、お前も自由に依頼受けるフリーで通してるなら。むしろ一人のがやりやすいって思うだろ? 俺はまさにそんな感じ。仲間いると仕事の制限かかっちまうし」

 だから1人のがやりやすいのよと。
 その後の相手の様子を見ればニヤリと笑って。

「お前も随分苦労してきたって感じだな、言い方がガキのそれじゃねぇぜ? まぁお互い苦労人ってこったな」

 と酒をクイッと。こちらはまだまだいけそうな様子だ。まぁ飲み始めたばかりというのもあるが。

ピスィカ > 「それもあるねぇ。
 まぁ、アタシの場合、この地区に思い入れがあるってのもあるけどね」

基本的に、自分の生活する区域だし、と。
少女はそう言いながら、目を細める。
貧民地区には貧民地区の良さもあるから、と。
そう考えているようだが。

「いわゆる師匠ってやつ?
 ふぅん。じゃあ、基本的にはソロなんだ。
 失礼だなぁ。こんな酒、いくら飲んでも潰れないって」

なるほどなるほど、と頷く少女であったが。
相手に言われれば、む、と。
少し不満げに頬を膨らませる。

「あー……わかるわぁ……。
 まぁ、時々パーティ組まないといけない仕事とかあるけどねー」

そういう時は、やむなしかなぁ、と言いつつ。
少女は、一度大きくぐぐっ、と伸びをする。
どうやら、いい感じに満腹になったようで。
つまみの類はもういらない、とマスターに一言告げ。

「まぁね。その辺はほら。
 イイ女には秘密がたくさんあるもんなのよ」

相手の景気のいい飲みっぷりを眺めつつ。
少女は、にへっ、と。
脱力した笑みを浮かべてみせる。

クレイ > 「ふーん、あれか? この地区の生まれとか?」

 思い入れと言えば思い浮かぶのはそれだ。
 まぁ流れてきてこの町でしばらく暮らしていたとかそういうのもあるのかもしれないが。
 酔うわけがないと言われればフハッと噴き出す。

「顔赤くしてよく酔わないとか言うぜ。それが酒じゃねぇってなったら何に赤くなってんだって話になるだろ。あといい女がしていい顔じゃねぇんだよそれは」

 どう見ても酔ってるだろうがと相手に言う。膨れたりニヘッとした脱力した笑みを見ればフハハとまた笑う。
 パーティを組む仕事というのにはまぁそういうのもあるけどさと告げて。グラスを軽く揺らす。

「ま、だから別に1人で寂しいよぉなんて事はねぇよ。大体仕事の後は誰かと夜の街に繰り出すしな」

 今回が特別よと。
 仕事がない時は1人で飲んだりもするが。
 

ピスィカ > 「ん、まぁそんなとこ。
 生まれも育ちも、ってね」

相手に問われれば、少女は正直にそう答える。
もちろん、思い入れあれど、いい思い出ばかりでもないが。
かといって、悪い思い出ばかりでもないので。

「ふ~んだ。いいのよ。酔ってゲロ吐いたりしなければ。
 あとは、路地で潰れて寝たりしなければ大丈夫なんです」

ぷいぷい、と。拗ねたようにそっぽ向く少女であったが。
すぐさま、酒の入ったグラスに手を伸ばし。
またもや、ぐっ、と飲み干してみせる。

「そういう人、多いよねぇ、この街……。
 まぁ、気持ちはわかるけど」

そう呆れたように言いながら。
少女は、懐から金貨を取り出し、カウンターの上に置く。

「そろそろアタシ、帰るけど。
 アンタの名前教えてよ。
 もしかしたら、依頼とか出すかもしれないし」

イスから立ち上がりつつ。相手にそう尋ねる少女。
体はふらふらと揺れたりなどしておらず。
案外に、意識はハッキリしているようであった。

クレイ > 「じゃあもしかしたらどっかでニアミスしてたかもな。俺も同じ生まれだし」

 同郷の出だぜと軽く笑って。
 そんな相手の酔ったの基準を聞けばフハハと笑って。

「そりゃそうだ。違いねぇ」

 たしかにそこまでいかなければギリギリセーフかもしれない。いやゲロまではまだセーフか? 男の基準と少女の基準ではまた別なのかもしれない。
 名前を聞かれれば。少し目線を向けて。

「クレイだ、依頼があるならこの辺りの酒場のマスターにクレイに依頼があるって伝えな。俺にコンタクトつないでくれるから」

 この辺りは庭だからななんて言いながら自分も酒をグイッと飲み干す。
 まだまだこっちは飲むつもりの様子だった。

ピスィカ > 「へぇ、そうなんだ。
 だとしたら、ありえる話だね」

知らなかった、と口にする少女。
貧民地区も、人口は多いので。
それも仕方ないのかもしれなかった。

「でしょ?
 こう見えても、マジに酔いつぶれたことはないんだから」

えへん、と胸を張る少女。
ちなみに、その胸はずいぶんとつつましいサイズ感であった。

「クレイね。オッケー、覚えた。
 あたしはピスィカ。
 この辺で適当に生活してるから。何かあったら声かけてよ」

相手に自己紹介しつつ。
少女は相手に満面の笑みを見せてから。
しっかりとした足取りで、店を後にするのであった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からピスィカさんが去りました。
クレイ >  
「おうおう、そりゃすげぇ。じゃあ機会あったら飲み比べ勝負だな。俺も酒はつえぇからよ」

 今度だけどななんて。今回はそもそもスタートが違うから色々と不公平だった。
 そして彼女からの自己紹介を受ければ名前を少し口に出して頷いて。

「よし、覚えた。じゃあ見かけたら声かけるわ」

 なんて言って送り出す。ここの生まれであの様子ならついていかなくても大丈夫だろうと。
 そうして自分もしばらく酒を飲んでから自分の宿へと帰っていくのであった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からクレイさんが去りました。