2022/05/17 のログ
ご案内:「〇〇しないと出られない部屋」にビョルンさんが現れました。
ご案内:「〇〇しないと出られない部屋」にゲーゲン・アングリフさんが現れました。
ビョルン > 落日して久しき頃。
そこそこ親しく付き合い、商売の一部を任せている男の酒場に良い食材が入ったと招かれていた。

存分に飲み食いし、すぐ目と鼻の先の塒まで帰るのもなんだか億劫となり空いている客室があれば案内しろと伝えて階段を上った先、廊下奥の角部屋。

相手へと続いて入った客室は妙に長く軋んで閉じた。
同時にぴたり、と部屋外の音は届かなくなる。窓の外も又、塗り潰したかのような黒が広がった。

事の異変に気付き、振り返ってドアを叩く。
まるでドアの向こうに溶けた鉛が詰められたかのようにびくともしない。
ただ、己が叩いたそのままの力が手首へと跳ね返り、それ以上の行動が戒められたようであった。

「──『……ないと、出られない、部屋』」

ドアの表面の木材にそう刻まれていた。
神代文字、とでも、いうのだろうか。

どうしたことか、とこの宿の主人の方へと振り返る。

ゲーゲン・アングリフ > 「……お、おぉぉ……」

なぜこんなことになったのか。
男の脳裏に浮かんだのはそんな言葉であった。
男は、ただ自分の商いの管理者を招き。
食事をし、客室へと案内し。
そこで一仕事を終えて後は帰宅するだけだったはずなのに。

「……」

気付けば、見知らぬ密室にいた。
驚愕。愕然。茫然自失。
しかして、同行していた人物の言葉に、振り向き。
扉の文字を目にした時。

「……えぇぇぇぇ~……」

男の口から、なんともへんちきりんな声が出た。
それは、普段の男の口調からは想像もできないような。
力の抜けた声であった。

「……これは、まずいことになりましたなぁ」

しかし、そこで男は一度咳払いし。
相手のほうを向き、神妙な面持ち見せる。
つぅ、と一筋汗が頬を伝うところからも。
男の緊張は、相手にもしっかりと伝わるかもしれない。

「どうやら、閉じ込められたようです」

ついで口から出たのは。
そんな『見ればわかる』というようなことであった。

ビョルン > そうして気が付けば、常日頃携えている腰の長物がない。
腰裏へと手をやっても刀の鞘へと手は触れない。
そのことで改めて、己の理の通じぬ力が働いていることを知る。

肩を落とし、妙な声を上げた男へと一声。

「読めるか?」

象形文字か、表意図象か。その周囲へとびっしりと掘り込まれた棒人間の意匠がいかがわしく見える。

「閉じ込めるったってね──…」

己には人の呪いも魔族のまやかしも通じにくいはずだ。
と、すれば大変なレアケースとなろう。

「けやぶる」

ドアに背を向けて駿馬よろしく高く足を蹴り上げる、がバランスを崩して前につんのまるだけの結果を呈する。
悔し紛れに拳を打つ壁からも同じ手応えがした。

「いい建材使ってるな」

ちょっと動いて暑くなった。コートを肩から落としながらぽつり。

ゲーゲン・アングリフ > 「少々お待ちを」

この状態でもなお、冷静さ失わぬ相手に。
心中で感服しつつ、男は文字へと視線を向ける。

「……蹴破らないでください」

無論、それで脱出できる、とは思っていないが。
男は一応、店の主としてそう言っておく。
残念ながら、破壊による脱出に失敗したであろう相手の声に。

「そこまでいい建材を使った記憶はないのですけれどもね」

ははは、と苦笑しつつ言い。
それから、一度大きく頷いて相手のほうを振り向く。

「はっきり申し上げます。
 ここに書いてある文字ですが」

男の表情は、真剣そのものであった。
まさにこれから、一世一代の大告白。
事実を告げなくてはいけない、という。
その責任感からくる表情であった。

「性交しないと出られない部屋」

男の口から出たのはそんな言葉であった。
単刀直入。まさに、書いてあるのをそのまま読み上げた形である。

「です」

実際のところ、ニュアンス的なものは完全に読み解けてはいないかもしれないのだが。
文字の意図するところは間違っていないだろう、と。
男は、そう確信しつつ。最後に、です、と言い。
締めくくってみせた。

ビョルン > 拳にびくともしないならば、まあ蹴破れもすまい。
一応は持ち主である男の諫める声にしゅんと頭を下げて見せる。
蹴破れたのであれば後でどんないいドアでもプレゼントして修繕するのだが、それには至れないようだ。

一切合切、空間ごと切り取られて水銀の海に浮かべられてしまったような環境では相手の呼吸音すら耳へと届く。
そうして知れた、緊張と焦りの混じった感情で告げられる情報。

「セイコー、しないと……
 ああ、そういう……性交」

沈黙。

淡々と手順を確認し、己で準備を整えて事に移るべきか。
ただ、そういう『情欲』を抜いた『其れ』は性行為たるものか。

「お前、男だよな──残念ながら、俺も」

ジャケットを脱ぎ捨てて、ネクタイは緩めてワイシャツのポケットへと仕舞う。

「とりあえず、相撲取ろうぜ」

床へ踏ん張りかかって来いと片手で招く。
身体を動かせば何か思いつくか、何かあるだろう。
半分捨て鉢だ。

ゲーゲン・アングリフ > 事実関係として、男にとって相手はいわばスポンサー。
あるいは、上司、とこうなっているので。
店を破壊されたのなら、修理費用を請求すればいいという話ではあるのだが。
それはそれとして、破壊は最後の手段としてほしかったところ。
結果、店が壊されなかったのでそれはまぁよし、とした男であった。

「はい。そういうことです」

相手が自分の言葉を理解してくれたことを確認し。
男は、もう一度頷いた。
そのまま訪れる沈黙に。男は一度天井見上げるが。

「それはもう、間違いなく。
 アナタが男なのも理解しております」

つまるところ、この状況。
脱出不可能では? と、男の心に暗雲が立ち込めるが。
そこで相手の提案したことに。

「……なるほど」

と、一言つぶやく。
そもそも、性交の定義とは何か。
異性が、同性が、感情を伴いあるいは伴わずともいいが。
肌を重ねることを定義するのみか。
いやさ、お互いがお互いに高めあい、心通わせることを性交というのであれば。
相撲もまた、その定義の範疇に入るのではないか。
男はそう考え。

「……わかりました」

と、相手の提案を承諾し。
腰を落とす。どうやら、勝負の合図は相手に任せるつもりらしく。
同時に、この状況を打破するための提案をひねり出せた。
そんな相手に対し、畏怖の念すら抱いていた。

ビョルン > 「神は、閉じ込めるべき人間を間違えてようだ」

それでもまだ、誰かが単身で閉じ込められるよりは何倍もましだと言える。
条件が子種を宿させること、でなければまだ手はあるだろうか。

「いくぜ、はっけ…ようい」

異国のレスリングレフェリーの仕切り言葉を呟いて床へ片拳を突き、反対の手でも床を叩けば飛び出した。
部屋はそう広くはない。構えている相手の胸へ入ろうと低く当たれば右手を差して男の洋袴のベルトを掴む。

じり、と身を寄せながら低い小声で尋ねて曰く、

「男を抱いた経験は?」と。

ゲーゲン・アングリフ > 「間違えているか、邪神の類か。
 どちらかでしょうね」

ははは、と力無く笑う男。
しかして、男にしてみれば。
泊まろうとした見知らぬ客などが巻き込まれなくてよかった、という思いもあった。
もしもそうなっていたら、店の評判はガタ落ち……。
あるいは、よからぬことに利用しようとする客が増えたかもしれないのだから。

「……ぬんっ」

相手の動きに注目していた男は。
その飛び出しにしっかり対応し、ガシッ、と体をぶつけることになる。
だが、合図を相手に任せていた以上。どうしても男の反応は一手遅れる。
結果、相手と違い、男は相手の体を上手く手や腕でホールドすることが出来ず。

「……抱いた、の方ですか。
 それはまぁ、多少は。
 抱かれる、も……無くはないですが……」

そういう男の声が、微妙に苦しそうだったのは。
何も、押され気味だから、というだけではないが。
そこでようやっと。男は、両手で相手の衣服を掴むことには成功した。
しかし、それは相手に比べれば、明らかに頼りない捕まえ方であった。

ビョルン > 「いずれ、一夜の気まぐれであることを願っているよ」

宿から頻繁に行方不明が出たとも、またこういった類のいかがわしい超常現象の噂も聞かない。

「ほう」

身体を寄せて着衣越しの相手の体温に触れる。
一拍於いてその体臭求めるように息を大きく吸うが。

────駄目だ、ピクリともしそうにない。

軸足に体重のおおかたを預けたまま反対の足で相手の下肢を内掛ける。
床へ倒しざま、ベルトを引き掴んだ手は離さず落下の衝撃は和らげる。

「そォかい、俺はこの国の可愛い身なし子の通る道は一通り通ったと思ってくれ」

感情を交えない早口で言い募った言葉へと重ねる。

「で、俺で勃ちそう?
 あと、縛られないと駄目とかしゃぶられるのに滅法弱いとか、ある?」

格闘を口実に身体距離を縮め、場違いな程ににっこりとした表情で問いかけた。

ゲーゲン・アングリフ > 「いや、本当ですね」

この現象が多発した場合。
対処に追われるのは間違いないだろうな、と。
男は少し頭痛を感じた。

「くっ……」

相手と密着しつつ、男も相手の体勢を崩そうとするのだが。
年齢のせいか、明らかに腕力、力不足で上手くいかない。
というか、一秒ごとに、男の力は明らかに目減りしていき。
そのまま、相手にテクニカルに倒されてしまえば。

「あだぁっ!」

また、男の口かららしからぬ声が漏れる。
とはいえ、相手に見事に加減してもらえた分。
痛みはそこまででもなく、男の呼吸が止まることもなかった。

「……それはそれは」

なんとコメントしたらいいのか、と。
男は、くい、と首を傾げつつ言うのだが。

「……どうでしょうねぇ……。
 おそらくですが、いける、とは思いますが。
 ……いえ、そういうのはないので大丈夫ですよ」

相手の言葉に、男は素直に返事をする。
こういう状況で、ウソやごまかしをしても意味は無い。
というか、脱出のためにはそういうウソなどは良くない、と。
男なりに考えての受け答えであった。

ビョルン > 無論、というか何というか。
男を床へと引き倒したところで、ドアは軋んだ様子すらない。
話を止めれば、再び深夜の森の中のような静寂に包まれる。

「誤魔化されては、くれないみたいだ」

床へ身を倒しても、息を上げてもノーカウント。
つまりは、この部屋が欲しているのは精を零す情交ということであり。

「だったら話が早い、とはならないな──
 照れくさいというか」

そういった仕様ということならば、寝台に手水鉢くらいは備わっているのだろう。
灯りはどこだ、とにかく暗くしたいと部屋を見渡す。

ゲーゲン・アングリフ > 「……ん~……」

男もまた、チラ、と扉を見るが。
残念ながら、変化は生じていないようであった。

「……の、ようですね」

もしもこれで開いてくれるのなら。
それはそれで楽だったのだがなぁ、と。
男は考えつつ。相手に向かってだらしのない笑みを見せる。

「いや、なんというか。
 本当に申し訳ありません」

こんなことになるのなら、せめて違う部屋に入っていたのなら。
などと考えても、後の祭りである。
男は、ふむ、と一言つぶやき。
相手の様子を観察する。

「……案外、言ってみたら暗くなったりしませんかね。
 明るくて、しづらい、とか」

当然、部屋は勝手に薄暗くなどはなってくれなかった。
求めるものは求めるくせに。
融通の利かない仕組みだ、と。
男は言いつつ、同じように、部屋の中を観察する。

ビョルン > 「何かドアの木材を削れるような道具があれば、
 文言を書き替えてみたいものだが」

そう思い立って自分の爪を眺めた。
これでは無理だ。

「いや、この宿が悪いわけではないし我々が神の怒りに触れた訳でも──…」

これが神罰ならばどれだけ悪趣味で不道徳な神の御業なのだろうと。そう考えて深く息をつく。

「くっ、」

矜持と自尊心を分不相応に太らせた男は頭を抱えた。

「殺せ──…」

己の所持品から武器が消えていること、あれほどまでに強く扉を攻撃した拳や足も今はちっとも痛まないこと。
おそらく、この部屋では己のことも自分のことも害することができないという規律が働いているのだろう。それを感じて呻いた語尾は弱く消えた。

「あ、なんだこの野郎、俺で手っ取り早く済ませる気か?」

おうおう、と吠えそうだ。若干乱心気味だ。

ゲーゲン・アングリフ > 「……」

相手に言葉に、男が驚きの表情を見せる。
その発想は無かった、と。
心底、自分に無い閃きを見せる相手に、男は感服するしかなかった。

「どうでしょうねぇ。
 我々はともかく、宿に関しては。
 以前の店長が……」

相手の漏らした言葉に、男が困ったように言う。
男の前にこの店を経営していた店長は。
ずいぶんと黒い商売にも手を出していたようなので。
もしかすると、そこの影響はあるのかもしれなかった。

「……お気持ちはわかりますが」

正直、男としてもかなり困った状況ではある。
なにせ、男もこういった特殊な状況から脱出するということは。
そこまで経験があるわけでもないのである。

「……まぁ、落ち着きましょう。
 いざ、という時はもうそれしかない、というのは事実ですしね」

ある程度の覚悟は必要ですよ、と。
男はそう言いながら、相手をまっすぐに見据え。

「もちろん、アナタがイヤならば。
 他の方法を全力で考えますが」

それは、年長者として。
そして、相手に仕える者としての決意の篭った表情であった。
男としても、相手の嫌がることはしたくは無い、という思いはあるらしいが。
こういった部屋からの脱出には、機転か、ルールに従うか。
どちらかしかない、という考えが。冒険者でもある男の中にはあった。

ビョルン > 「祟られているなら他の物件に越そう、赤字でもだ」

そう、相手はそもそも雇われの身だったことを思い出した。
そのように告げて、己の胸に手を置く。

「不本意だと言えば、語弊になる。
 ──けれど本来、俺たちはこういった行為に至る仲ではない」

落ち着こう、という相手の言葉に深く息をついて言葉を紡ぐ。

「不本意なのはお互い様だろう。
 だから、俺は尻を貸してやるとも、とっとと済ませろとも、言わない。いや、言いたくはない。言ってはいけない、言える立場にない」

そうだな──と、言葉を切ってポッケからハンカチとネクタイを取り出す。
ハンカチを己の両目に渡して上からネクタイを結び、目隠しとした。

「これは、お前の顔を見たくないんじゃない。
 相手を意識すると恥ずかしいから──ここを出られれば今日のことはすっぱり忘れると約束できるか、

 ならば、年上男の手管で愉しませて呉れ」

とうに表情は見えないだろうが相手から肯定の気配が感じられれば、手探りで寝台へと乗り上がり手招く。

嘘はある。
行為が拷問と感じない程度に躾けられている、というだけであり、粗末に扱われた経験はない。

ゲーゲン・アングリフ > 「どちらかと言うと、教会にお祓いをお願いするほうが確実では?」

と、男は提案してみるが。
より確実なのは、引っ越した上でお祓い、なのかもしれない、と。
男はそう考え、予算を計算してみたりする。

「あぁ、なるほど。
 ……確かに。仰ること、一理も二理もございますね」

更に言うのなら、行為に及んでしまえば。
その後の関係性に、変化が生まれてしまうかもしれない。
そういったことにも気が回る御仁なのだな、と。
男は、思わず小さく笑みをこぼしてしまうが。

「それはそうですねぇ。
 私も、似た風には考えておりました。
 なんというか、軽率にそう言うのをはばかられる、というか」

もちろん、脱出するための手段がそれしかないのなら。
それはもう、どうにかするしかない、という話になってくるのだが。
結局のところは、落とし所。
どちらがどのように譲るか、というのが問題となってくるわけで。

「……」

この場合、むしろ自分に目隠しをするべきなのでは?
そう思っても、男は提案できなかった。
もちろん、目隠しの意図するところには色々とあるが。
相手にしてみれば、まず恥ずかしさを取り除くことが優先だったのであろう、とまで考え。

「……はい」

と、男は短く了承の返事だけをした。
ここまで気を使ってくれている相手に対して。
やいのやいのと揶揄したりからかったりなど必要あるまい、と。
男はそう考えつつ、相手が転んだりしないように見守り。
誘われた段階で、ベッドへと上がる。

「……一応言っておきますが。
 痛かったり辛かったりしたら言ってくださいね?」

その時は、その時なりに対応しますから、と。
そうささやき、男は相手の体を撫でていく。
その手が少しぎこちないのは……。
やはり、同性相手の経験の不足からで。
まるで、男の手は壊れ物に触れるかのように、弱弱しいものであった。

ビョルン > 己にしっかりと通じるこの束縛は、もしかしたら教会ごときでどうにかなるものではないのかも知れなかった。
どちらかといえば己への祝福加護の効力が切れていたと思いたい。

訥々と話し終えた後でもまだ、顔から火が出そうなのだ。
目隠しとしたハンカチが焼き切れるかも知れぬ。

ただ、言葉は尽くした。
後は、相手と負う荷を等分するべきだと感じた。

「わかった」

相手の触れてくる手。
着衣越しでは今一つ所在がわからぬ程に弱い。
己からも火をつけて煽らねば、この場の等式は成らぬのだろう。

「ああ、ひとつ──」

手探りで片手を相手の肩へとかけ、利き手で洋袴の前を探る。

「首を絞められたり、嚙みつかれたりするのに弱い」

ふす、と笑う息を零して後は黙る。
探り当てた相手の逸物は、撫で上げて勃ち上がらせようとする。

ゲーゲン・アングリフ > 相手との関係は、そこまで深い、とも言い切れないのかもしれない。
ただ、男としては、この相手にはかなり恩義があり。
その恩義に報いなくては、という思いがあり。
それとはまた別に、この相手に対して、好意的な感情もあり。

「……」

となれば、できる最大限、負担をかけず。
かつ、迅速に相手をこの部屋から脱出させなくては、という結論へとたどり着く。
当然そのためには、手荒な行為や、雑な行為は出来ぬため。
単純に手早く、とはいかない。
それがわかっているからこそ、男の手は、緊張含め、思うように動かない。

「……さすがに、そういったことは」

しませんよ、と明言しなかったのは。
最悪、この部屋のルールで、それを要求される可能性があるから。
しかして、相手に大事な部分を触れられれば。

「ん……」

小さく息が漏れてしまう男。
相手にそこまでさせては、躊躇もしていられまいが、と。
男も、相手に触れる掌の動きを早め。
少しずつ、力を加えていく。
首筋や、胸板、腰などを撫で。
少しでも、相手の性感を高めようと、必死の愛撫であった。

ビョルン > とりあえず、相手に準備が整いこそすれば、と思う。
男の中心を擦ったり扱いたりするが、相手の最高の状況がわからず。

擦る手を放して己のワイシャツのボタンを外して洋袴の前を寛げて。
さも、ついでにといった様子で口を開けてそこから下を見せる。

「……と、いつも俺がされてるみたいな感じでよければ……だけど」
多分できると思う、と。

己が今どんな顔をしているのかが自分でもわからない。
緊張と羞恥に身体が浮いているように感じる。

ゲーゲン・アングリフ > どれだけそうしていたか。
男の体感としてはかなり長い時間のような気もするが。
実際は、そうでもないのかもしれない。
男がその辺りの感覚が狂ってきていることを自覚したくらいのタイミングで。

「……そう、ですね」

なにがそう、なのか。男自身、理解が及ばぬままに。
男は、相手の下腹部に触れていく。
どこまですべきなのか、というのすら探り探りのまま。
相手の腰を持ち上げ、体勢を変えようとする。
のだが。足を広げるべきか。
あるいは、腰をそのままに持ち上げるべきか。
そんなことで迷ってしまい。
次第に、そういったことをしていることに無意識に興奮し。
男のモノは硬さだけを増していき、という悪循環。

「……ど、どうしましょうか?」

終いには、相手にそう尋ねてしまう間抜けっぷりであったが。
なぜか、困り果てた男、少し涙声であった。

ビョルン > 「どう、するんだっけ……」

本能からの警告と言えば大袈裟か、単純に男女の行為に置き換えてはまずいような気がした。
触れられる部分は気分の動揺と緊張を示すように硬度に一貫性がないようだ。

口淫を提案する仕草、気づかれぬままか、看過されたか。

「ん、と」

目隠しのまま相手を腕を探り、両手で相手の利き手を取る。
唇で触れて確かめ、己よりもしっかりした指を2本口へと含む。
僅か、とは言わず汗の味がした。
指先から指の股に至るまで唾液を絡ませて抜けば片足を立てて導く。

そんな行為が心を折るほどに恥ずかしく、目隠しの上から更に顔を覆った。

ゲーゲン・アングリフ > 「……」

男、緊張と焦りから、頭が真っ白になるも。
相手が主導権を握り、奉仕する形になれば。
そこでようやっと、凍結されていた思考能力が働きはじめる。

「で、では……」

このまま、一旦相手に任せたほうがいい、と考え。
男は、動きを止め、相手に身をゆだねる。
しかして、さすがにされるがままはどうなのか、と。
そこで変に気を使い。
男は、膝でもって、相手の股間にやわやわと刺激を与え始める。
決して手荒にならぬよう。かつ、相手に奉仕されるがままに流されぬよう。
結果として、互いに互いの感度を高めるような状態。

「ふ、っくっ……」

気付けば、男の肌には汗が浮かび。
呼吸もずいぶんと荒いものになっていた。

ビョルン > 相手の呼吸、荒くなるのを感じる。
そうしてその体温も強く、感じるようになった。

勢いに任せれば繋がれるのかもしれない。
けれどそれでは、相手に罪悪感を負わせてしまう気配も高かった。
己のからだはまだ解れてはいない。

両手を伸ばして相手の肩を抱き寄せる。
そうして囁いた。

「まだ、駄ァ目──…」

吐息で耳朶を擽った。
己は、上手く誘えているんだろうか。

【継続】

ご案内:「〇〇しないと出られない部屋」からゲーゲン・アングリフさんが去りました。
ご案内:「〇〇しないと出られない部屋」からビョルンさんが去りました。