2022/05/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/裏路地」にヴェルソートさんが現れました。
ヴェルソート > 「んん……相変わらず、治安の爪痕が……。」
少しばかり空間の空いた路地…お世辞にも良いとはいえない空気の匂いと…転げた靴、破れた衣服の残骸がちらちらと視界の隅に映り…このあたりの治安の悪さを否が応でも思い出させる。
ため息交じりに、路地の隅に積まれた空の木箱に腰掛ければ、腰に差した…虹色に煌めく指揮棒を抜いて、小さく呼吸を整えれば…。
半ば常連のように人がこちらの様子を伺っている。
己の歌に癒やしの効果があると知っている者が、怪我をしている知り合いを呼びに行った。
それを後目に…整えた呼吸で大きく息を吸い込む。
待つ義理はない。そもそも最初から聞かなければ効果がないわけでもないのだから。
今日は何を歌おうか…と逡巡したところで…微かに火照る体を自覚すれば…そうだな、今日はさておき…人を誘う歌にしよう。

「差し伸べる手 誘う声 踊りを一曲 いかがでしょう?
 重ねる指 応える声 喜んで 貴方様
 ワルツ タンゴ ジルバ サンバ お好みの一曲を
 手を握り 足絡め 体重ね さぁ息を 心合わせて♪」
歌う声は甘いテノール、思わず体が揺れるようなリズムと…魅了を孕む歌姫(ディーヴァ)の声色は…自然と人の高揚を掻き立てていく。

ヴェルソート > 「肌に汗 高鳴る鼓動 リズム呼吸乱れ行く…
 指が絡み 足が重なり 吐息が触れ 唇が…Ah…♪」
軽く振られる指揮棒から、いくつもの楽器の音が流れ、声と共に曲の熱と、テンポが高まっていけば……かすれるような吐息の歌声でプツン、と音が途切れ、数瞬の静寂に……誰かのゴクリと、息を飲む音が響いたかもしれない。

「……私と貴方 貴方と私 踊り踊れ 踊りましょう
 夜が明けるまで? 空が白んでも 貴方と踊れるのなら…♪」
そう歌を締めくくると……熱の籠もった拍手と、ささやかに小銭が足元に置いた小さな箱に投げられていく。
聴衆の鼓膜から体に染み込んだ魔力は…じんわりとした癒やしと…火照るような欲情を促したことだろう。

ヴェルソート > そうして…歌に浮かされた聴衆との、ちょっとした戯れは…夜闇の中で…。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/裏路地」からヴェルソートさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にシュエさんが現れました。
シュエ > (広場で白昼堂々と痴態を演じてしまった後の街、というのはなんとなく街を歩きにくい。この街ではそういう凌辱なんていうものはよくある話であるし、誰も彼もがそれを見たという保証ない。けれど、当事者としては街行く人々が実は見ていたんじゃないか、覚えているんじゃないか、なんて疑心暗鬼に陥ってしまう。)

考えすぎ、ですよね・・・。

(けれども、生活必需品が不足していたとなればそういう不安要素があったとしても街に出ざるを得ない。いつも以上に帽子を深く被り、人の視線を気にして歩く姿はまるで不審者のようであったかもしれないけれど。

けれど・・・ずっと緊張しながら街を歩いて少し疲れてしまった。通りの端にあるベンチに座って買い物袋を抱えながら、ちゅー・・・、と近くの露店で買った飲み物を口にしながら一休み。

この街に住んでいる人だって星の数程もいる。態々わたしの事なんか覚えている人なんてそうはいない、そうはいない・・・ですよね。
自分を安心させるように呟く言葉。安心させるように呟く言葉は少しばかりちくりと胸に突き刺さる。)