2022/01/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」に紅刃さんが現れました。
紅刃 >  互いにもたれかかるようにして建物が寄り集まる貧民地区。そんなうらぶれた路地の、小さな料理屋の勝手口から出てきたのは1人の女。

「……では、また」

 小さく頭を垂れて店主に別れを告げた女は、両手を後ろにやって髪を結わく帯紐を解いた。腰まで伸びた黒髪を闇夜にたなびかせ、大通りから差し込む僅かな灯火のもと、細路に歩を進める。
 いつもと同じ薄暗い場所で働き、いつもと同じ質素な食事をとり、いつもと変わらない宿で眠る。何度繰り返したか分からない日々が、また終わる。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にハシュレイドさんが現れました。
ハシュレイド > 歩いていると、突然声が掛けられる。

「おねえさん、疲れてるのかな…そんな時には美味しい物を食べると元気出るよ」

そんな声がする方を向けば、小さな屋台の中に一人の少年。
小さな木箱で高さを稼ぎ、串焼きやスープ、暖かいミルクやワインなどを販売している事が看板に文字とイラストで描かれている。

「もうすぐ閉めるから、おまけするけど、どうかな?」

炭火の上に置かれているスープ鍋からは良い匂いが漂ってくる。

紅刃 > 「……?」

 下働きをして食いつないでいる女にとっては、人に話しかけられることも稀。声を掛けられ、つい気を惹かれて其方を振り向いた。食欲をそそる香を漂わせた屋台と少年を視界に捉え、紅の目を細める。

「それでは……この串焼きと、スープはお幾らでしょうか。余り、持ち合わせがないので」

 暖かく腹持ちしそうな2品を指した後、懐から財布代わりの布袋を取り出し訊ねる。貧民地区に暮らす者として、当然ながら手持ちのゴルドは乏しい。とはいえ今日2度目の食事なので、飲み物だけで済ませようとも思えなかった。

ハシュレイド > 「もう店じまいだし、余っても明日以降使えないからね、それにおねえさん、綺麗だから15ゴルドでいいよ。
あとお酒は飲める?」

焼いていた串焼きをタレにくぐらせ、炭火に戻し、良い匂いをさせて温め。
スープを木製の深い皿によそって、両方をお盆に乗せて、近くに置いてある木箱を置いて準備したであろう簡易な机に置く。
近くには小さめの木箱もあり、そこに座れるらしい。

「はいどうぞ、これでしまいだし、俺も一緒に食べてもいいかな、他の人と食べたほうが美味しいし」

お盆には女性の頼んだ料理と同じものがもう1セット。
さらにミルクとワインの瓶を置き、木のコップもセットする。

紅刃 > 「お酒は、余り」

 相手の言う通りの金額をテーブル代わりの木箱に置いて、その直ぐ傍の小さな箱に腰を下ろす。料理から立ち上る香と湯気に、つい胃袋が音を立ててしまった。外法を纏う肉体なれど、飢えも渇きも覚える。

「失礼いたしました。あ、それは……勿論」

 とはいえ他者に間の抜けた音を聞かれてしまうのは気まずい。軽く頭を下げ、一緒にと言われれば改めて頷いた。拒否する理由もない。ミルクとワイン、そしてコップを一瞥した後、髪に手を当てつつ串に刺さった肉を噛み、引き抜く。そして木の深皿に口を付け、スープを飲んだ。

「はあ……」

 思わず小さな声が漏れた。この冬場に、温めたての食事は有難い。自身が泊っている安宿は隙間風が酷いので尚のことだ。普段使っている屋台はとにかく燃料を節約するので、今日この店に出会えたのは運が良かった。

ハシュレイド > 「そっか、それじゃ…こっちかな…【ウォーム】。
はい、どうぞ、これもオマケね」

コップにミルクを注ぐと、一言唱える、途端にミルクから薄く湯気が上がり、少し甘い匂いが漂っていく。

「それじゃ、失礼して…いただきます、と」

自分で焼いていた串焼きを口に含み、少し頷きながら飲み込んで、スープを飲みほっと一息ついて。
自分の前にもミルクを置いて温める。

「おねえさん、美味しそうに食べてくれるね、嬉しいな」

ミルクを一口飲んで、ぷはっとまた一息、口の周りに白い輪を付けながら微笑む。