2021/12/12 のログ
■イレーネ > 雨、止まなかったらどうしようか。
ぽたぽたと、軒先から落ちる雫が水たまりに音をはねさせるのを、さっきまで水たまりにはまだなってなかったなぁ、と気づいて視線を落とす。
選択肢を考えてみる。ひとつは、やっぱり濡れるの諦めて、気合を入れて帰る。もうひとつは――この近くで一晩あかせそうな宿とか何か、あるだろうか。
「んー、あっても……あたしとしては、あんまり安心できないのよね、この辺りの宿って」
再び視線を上げて、それまで気にしていなかった周囲の建物、何があるだろうと確認してみる。ぱっと見る限り、今見えている中に宿らしきものはないのだけれど。
少女ひとりが泊まるには、ちょっと場所が良くない。男ひとりだったとしても、寝ている間が安心かって考えると、安心ですとは言い難い。
結局、待っている間に雨が上がってくれるのが、一番いい気がする。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にトワさんが現れました。
■トワ > そうこう考えていると、雨の中誰かが軒下に駆け込んでくる。
あまり見ない衣装に、腰には刀。
手には荷物が濡れないようにか羽織を掛けて、自分は濡れている事を気にせずに。
「と、すまない、先客がいたのか…少し雨宿りさせて貰っても」
少女に気づくと、軽く頭を下げて、軒下ぎりぎり迄距離を取る。
男が警戒して居るというよりは、少女に気を使ってなのか、荷物が濡れないようにしているが体は多少はみ出しているように見える。
■イレーネ > 雨、上がってくれたらいいなぁ、と再び考えていれば、雨音が強くなったようにも思えて。あぁ、とため息つきかけて、ふとそれが足音のような気もして顔を上げ。
「ひゃ――、あ、えっと、うんうん、どうぞ。あたしも……似たような感じだし」
雨音ではなかったそれに、色々考え事をしていたせいもあって、少し驚いたような声が漏れ。
慌てた様子をあまり見せるのも、余計に気を使わせてしまう気がすると、できる限りの驚きを隠した笑顔を見せて。
思い切り、半ばちょっと濡れてるような位置にまで離れてくれているのを、ああ、悪い人ではないのかも、と気づくまでにもしばらくかかって。
■トワ > 「驚かせたようで申し訳ない…いや、ちょっと濡らしたくない物を持っていたんでね」
隠そうとした驚きなどもある程度察したのか、苦笑して羽織をかぶせた何かを濡らさないようにしながら。
「しかし、この時期にこういった雨は体温が奪われるという意味で辛いね」
小雨だからこそ、気づけば服が濡れ、この時期の冷たい風が体温を奪っていく。
雨具を持ってきているか、雨除けの魔法でも使えれば違うんだけどね、と困り顔でつぶやく。
■イレーネ > 告げられる言葉と、落ち着いてよく見てみれば、何か荷物を大事そうに雨から避けていることにも気がついて。
ああ、なんとなく事情も飲み込めた気がする、と今度は素直に小さく笑い。
「あ、ちょっと色々考え事してただけだから、気にしないで。……そこ、濡れるでしょ?もっとこっちでも大丈夫。それこそどんどん冷えちゃうし」
ちゃんと軒下まで入れていないのを、ひらひらと手招きして内側へどうぞ、と伝えてみる。
言われてみれば、吹く風が肩を撫でていくのがちょっと寒い。もうそろそろ厚着も用意しなきゃね、とまだ首周りが空いた格好、自分の肩や首筋を少し撫で、頷きもして。
自分の方も魔法はからっきしだし、何かそういう道具もあったらいいね、とも同意しながら。
■トワ > 「ん、それじゃお言葉に甘えようかな、失礼するね」
きちんと軒下へ入り、少し濡れていた髪を手櫛で撫でつけて、微笑む。
「上物の砂糖と小麦なもんでね、濡らすと後で使いづらくて」
手に持っていた荷物の事なのか、そう言って羽織を一度どけて、濡れていないかを確認している。
こういった時に使える道具がポケットサイズなら、もっといいねと返し。
そして、少女を見て何かに気づいたのか、怪訝というか、驚いた顔をする。
■イレーネ > 「あ、麦はまだいいけど……砂糖は、べちゃべちゃになっちゃうもんね。あたしも時々、運びものもしたりするからなんとなく、大変なのわかる」
幸いにも自分の方は、今日はもう運び終えた後だったけれど。後で使いづらく、って言うぐらいだから、あの荷物は自分用なのかもしれないな、なんて思いはしたけれど。人様の荷物にあれこれ詮索するものでもなかったし。
「ハンカチぐらいしかないけど――使う?あんまり意味ないかも、だけど」
ポケットサイズ、そう言えばハンカチーフぐらいは持っている。腰回りに着けていた小さなポーチから、可愛らしいフリルの縁取りがされた布を一枚、差し出して。これで拭ける量なんてたかがしてれいるのだけれど。
差し出す手を相手へ伸ばしながら、ふと何か不可思議な表情でこちらを見ていることに気づく。なんだろう?と小さく首をかしげるも、ひとまず伸ばした手はそのままに。
■トワ > 「結構無理言って用意してもらった上白糖だから、よけに濡れると困るかな」
中をちらりと見るときに見えた砂糖は真っ白で、雨に濡らすのは勿体無いと思える物。
「あぁ、ありがとう…目の所だけでもふけると助かる、これは洗って返せばいいかな?…と、そうだ、お礼と言っては何だけど」
ハンカチを受け取って、目の上あたりの水を拭いてから、羽織と一緒に持って。
開いた片手で袖口から小さな瓶に入った飴を取り出すと、瓶ごと差し出してくる。
「良ければどうぞ、店で出している物だけれど………それと、もしかしてだけどんー、教会関係者、かな?」
後半は少し聞きにくそうに、小声で。
■イレーネ > 「うっわー、真っ白。高そうなやつだぁ……」
目利きに自信があるわけじゃないけれど、まじりっけの無さそうな大量の粉、って言うだけでも、物はどうあれ用意するのが大変だってことぐらいは想像がつく。ただの砂だってそんなふうに揃えるのは難しいもの。
「あ、ううん、そのまま返してくれればいいの。見た目はたまたまそんなだけど、ただの普段遣い用だし……飴、もらっちゃう方がもらいすぎなぐらい――ってうっわー!」
続いた言葉に、ぶわっと赤くなり。差し出された飴の瓶を、うっかり取り落しそうになって、ばたばたと手の上で踊る瓶を、かろうじて落とさずにしっかり捕獲して。
上質な砂糖を見た時の驚きの声と、口調は似つつも全然違う感情のこもった驚きの声が漏れて。
「も、元、関係者ね!……今はただのお店番だし、お店って言っても昔と違ってそっちのお店じゃなくって――あ、ああぁー……」
稀に気づく人もいるけれど、久々に言われたのか、盛大にあわてて余計なことを言った気がする。べつに、ただ普通に教会努めですよって可能性もあるのに、すごく自爆したような気がして、しまいにはもごもごと口ごもって下を向き。
■トワ > 「お得意様の依頼で、ちょっと質の良いものを作るんですけどね、天気持つかと思って引き取りに出たら、この雨で」
中を確認し、安堵したのか羽織を掛け直し包んでいく。
「いや女性の物を借りて、そうですかと言うのも…っと」
ハンカチと飴の話以上に、いきなり慌てだしたのを見て、しまったという顔をしながら。
「あーいや…すいません、いきなり、その服装が教会のシスターの物が元の様だったので。…えーと、お店の名前を教えてくれますか、ハンカチも返しに行きますし」
片手を前にだして、落ち着いてください敵なポーズをしながら、訪ねてくる。
■イレーネ > だいぶわたわたと慌てていたけれど、そっと相手の様子を伺っていれば、さほど何か態度が変わったようなわけでもなくて。
自分で思っているよりどうってことはなかったのかもしれない、と思い直し。少し冷静になって話を聞いていれば、単にシスター服が元って言う所に気づいただけ、なのかもしれないし。一般的に見えている部分だけしかそれほど知ってはいないのかも、と思えば慌てているだけ損かもしれない。
「ええっと……ほら、こういう服ってあんまり好き放題いじると怒られたりするかなぁ、なんて――あ、あたしの居る店は、魔道具屋で。名前、できたばかりだからまだ名前だと誰も知らないかもだけど……透明な薔薇、って言うの。あと、そうだ、あたしはイレーネ」
名を問われれば、ずっと名前が無かったお店に新しく付いた名前と。平民地区のはずれにある、大体の場所の目安を告げて。それで思い出したように、自らの名前も添えながら。
そんなやりとりでだいぶ落ち着けたのか、手元の飴に意識が少し戻り。
「この飴、もしかすると……自作品?だったら、すごいね――」
■トワ > 「まぁそれを持ってこれてるなら少し弄っても文句は言われないんじゃないかな…透明な薔薇のイレーネか…ん、覚えた。それじゃ、俺の方はトワだ、平民地区の方でズュースっていう甘味処を営んでる…たまに冒険者的仕事もしているけど」
平民地区と富裕地区の境辺りにあると、説明して。
慌てていたのが落ち着いたのを見て、苦笑し。
「あぁ、店で出してるのは基本自作のだから、それも自作だな…今度きてくれれば、割引で御馳走するよ」
いまは、それ位しか持っていないがと、微笑み。
凄いという言葉には、かるくありがとうと、一言。
■イレーネ > 「ん、トワさんね。お店しつつ外のお仕事もするって、なんだか似た境遇だわ」
自分の方は、お店と言ってもただの店番程度で、何か自作するような大したものじゃなかったけれど。似ている部分があれば、お互い共感できるようなことも、あるかもしれない。
「やっぱり自作なんだ、これ。いいなぁ……あたし、基本的なものしか作れないし――うん、ありがと。あんまり沢山御馳走されちゃうと、色々とぷにぷにしちゃって大変だけど、ね。ズュースか、覚えとかなきゃ」
甘いものは好きである。食べすぎるとそのぶん運動量を増やさなきゃいけない宿命にあるのがつらいけれど。先刻の上質な砂糖のこともあるし、きっと美味しいんだろうな、と想像すれば、自然と笑顔にもなろうと言うもの。
胸元周り以外は露出の無い服だから、どうなっているのか見えるわけでもないけれど、脇腹の辺りを指先でつまむような仕草をしながら、ぷにぷに、などとおどけてみせて。
■トワ > 「イレーネも似た感じなのか、奇遇だな」
お互いたまたました雨宿りで、似た境遇の人に会うという偶然に驚く。
「俺も菓子以外は、男の料理的にしかできないけどね。…んー、まぁ…見える部分ではたしかに十分ボリュームがありそうだけd…んっ、あ、気にしないでくれ」
ぷにぷにという言葉に、まず見える場所に視線が言って、あぁと何か納得した後、咳払いして誤魔化す。
「個人的には柔らかい体も魅力的だと思うけどな」
そう言ってから、砂糖少な目で果物メインのもあるから、と苦笑する。
■イレーネ > 「みんな、ひとつだけのお仕事で安定してるってわけじゃないのかもね。色々してないと生きてくの、大変だったりとか。片方は趣味でやってるだけ、みたいのもあるかもだけど」
生きてくのが大変、と言う部分は少し寂しそうに目を細めたりもするけれど、趣味でやってる、と言う方は、また柔らかく笑ったりもするのだ。
「――頑張って、細いのは維持してるの。動き回る仕事してなかったらと思うと、ちょっと怖いけどね。食べ物も、うん、果物メインならちょっぴり安心ね!」
よく見れば、腰回りはしゅっと締まったデザインの服。言うだけあって、体のラインに沿ったそれは綺麗なシルエットをしているようで。
一瞬、答えるのに何か迷ったような間があって。ちら、と視線だけ上目遣いに相手の様子を伺いながら。両手の指を重ねて、胸元をそっと隠すような仕草をしつつ。しっかりと何やら聞こえていたのか、ほんのり頬を染めるけれど、恥ずかしい気持ちはありつつも、魅力的と言われるのは嬉しかったようでもあって。
■トワ > 「俺もそこら辺は似た感じだな、一個は趣味みたいなもんだし。…とはいえ、楽しみがあれば結構何とかなるしな」
目を細めた時には少し苦笑し、その後で笑顔を見れば、頷いて。
思わずと言った風に、ぽんとイレーネの頭を撫でる。
「そこら辺は女の子の意地って感じかな。…背中のが使えるなら体動かす手伝いもできそうだけど?、後は東方風の菓子なんかもあるぞ、こっちじゃなかなか売って無いけど」
少し改造されている服を見て…一回全体をみてから、何か納得するように頷いて。その後に背中に背負う得物も確認しながら自分の刀の鞘をポンと叩く。
「まぁ、可愛い子があんまり我慢とかしてるのを見るのも寂しいし、ホント良かったら来てみてくれ」
■イレーネ > 頭を撫でられれば、また目を細めるけれど、それはただ自然とそうなっただけのようで。しばしそのままに任せていて。
「うん、今は少しずつ、色んなことが変わってくのが楽しいかなぁ……前は、毎日ほとんど代わり映えしない生活だったし、今より余裕もなかったし」
相手の手が、見れば彼女にとっては少し珍しい、刀の鞘に移れば。剣が使えるように、ある意味ならざるをえなかった自分の境遇を思い出したりもしつつ。
自分の背中の方を、しばし気にするように肩越しに後ろへ視線をやって。
「使えると言うか、使われていると言うか……どっちかと言えば、そのお菓子の方が気になっちゃうかも?」
東方風のお菓子は、お目にかかる機会はあったかなかったか、殆ど記憶にないぐらいには珍しく感じるし、気にもなる。
戦う方は、それこそ言われた通りの体を動かす訓練ぐらいしかできなそう、と自信なさげに小さく肩をすくめてみせて。きっと強いのであろう相手に、自分ではたぶん練習相手にもならなそう、なんて思ったりもするのだ。
「うん、お店は機会を見つけてお邪魔してみたいな……今は、戻ってお湯とか使いたい気分だけど。――あなたも、あんまり我慢とか、しないでね」
気づけば、雨も気にならないぐらいになってきたように思う。体も冷えているし、家路についてお湯に浸かりたい気分。もっと時間とか、あったらなぁ、なんて小さな呟きもしながら、妙な言葉が後にもれたけれど。
■トワ > 「楽しくなってるならそれは良い事だろうな…あー、なんとなくわかる気もする、余裕がないと何をしても焦りが先立つからな」
と、すまないと、手を引き、軽く頭を下げる。
「ふむ…それじゃ、今度店に来てくれた時に一品位ならオマケしようか」
そう言って、微笑み。
「止んできたか、確かに風呂には入りたいかもしれないな。…俺は結構思うままに生きてる方だと思うけどな。とはいえ…んー、またな、でいいかな」
空をみながら、小さくうなずいて、手を差しだして、もう一度頭をそっとなでる。
■イレーネ > 「あれこれ、無理にやらなきゃって言うのがなくなってきたって言うか……出来る範囲で、で良くなったのが大きいかなぁ」
やることを自分で選べる、のは余裕につながるんだと思う。とは、どこか静かに遠い何かを思い出しているようでもあったけれど。
「やった、その時はお言葉に甘えちゃおうっと。――うん、今なら上手く帰れそうだし。……またこんど、ね」
それがいつになるか分からないし、また、の意味が自分で思っているままの意味なのかも、それはお互いに今は分からないけれど。
再び撫でてくるその手を、また少し目を細めてそのまま受け入れて。
■トワ > 「余裕ができてきてるなら良い事だと思う。…ま出来る範囲で頑張るしかないからなぁ」
何かを考えているような顔を見ながら、精一杯ってことだな、と呟いて。
「あぁ、待ってる…その前にハンカチ返しに行くかもだけどな。…んじゃ、また」
そのまま、少女を見送って、自分もの軒下を出ていく。
明日には作品の引き渡しもあるので、今日は遅くなるかと思いながら、けれどいい子に会えたなと少し考えながら………。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からイレーネさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からトワさんが去りました。