2021/12/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」にシアン・ファーガーソン さんが現れました。
シアン・ファーガーソン > 貧民地区の浅い場所にある錆びれた酒場。
マスターは一服すると店の奥に引っ込み今が客も居なく店番の一人しかいない。
その一人の店番も客を呼び込むつもりは皆無で呼び込むわけではなくカウンターの脇でぼーっと立っているだけ。

「いつもこれぐらい平和で静かな方が凄く良い……ですよね」

騒がしく騒動があるのが当たり前の酒場に逆のことを求め、今まさにそれという事に満足そうにして。
バイトの定時までこのままなら今日一日楽だと思いながら一応とカウンター内に移動し、酒の在庫を確認を始める。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」にジェイクさんが現れました。
ジェイク > 彼女の憩いの時間を打ち破るように静寂を崩したのは数人の兵士達。
乱暴な手付きにて酒場の扉を開けば、伽藍洞とした店内に足を踏み入れ、
案内される迄もなく、手近なテーブルの一つに陣取れば、
腰掛けながら店内の様子を窺って、カウンター脇の女に片手を挙げる。

「おい、酒を3つと適当なつまみを用意しろ。
 それと店主は留守なのか? 衛兵様がみかじめ料を徴収にわざわざ出向いたと呼んでこい」

本来であれば、反社会的勢力が用心棒代として徴収する裏の金。
それをあろう事か、正規の衛兵が自ら徴収しているのだから、
この国の国家官僚組織の腐敗が如何程であるのかが窺い知れる。
3人の兵士は横柄な態度で店番の女に居丈高に言い付ければ、その姿に視線を這わして。

シアン・ファーガーソン > よく判らない銘柄の酒、数だけはあるのを確認すれば戻って来ない店主のいつもの事とさほど気にせずにカウンター脇に戻り。
静かな時を過ごそうと思った矢先に騒がしくやってくる客、数人の兵士に目を向けて。

「お酒が三つとつまみです…?
店主は少し前に一服するって裏ですよ。その辺に娼婦を買いに行っていなければですけど」

横暴な客はよく見るのでその態度はさほど気にもせずにカウンターに入りラベルのないきつい酒をグラスに三つ注ぎ。
奥に居るはずの店主に出て来いとばかりに乱雑にベルを連打。
それが終われば干し肉を大皿に乗せグラスと共にトレイに乗せ兵士たちの元へ。

「お酒とつまみ……お待たせ。
店主はその内に来ると思いますよ」

テーブルにトレイごと注文を置けば店主も来るはずと告げ、向けられる視線に特に反応も見せずにカウンターへ戻ろうと。

ジェイク > 「真昼間から娼婦だぁ?
 俺達みたいな善良な兵士が汗水流して働いているってのに、良いご身分だな」

弱者である市民に因縁を付けて金銭を巻き取る事が善良な兵士の仕事と言うならば、
確かに彼等程に勤勉な衛兵は王国内を探しても彼ら以外に他には居るまい。
店番の女が店主を呼ぶためのベルを鳴らすのを聞きながら、店の奥へと視線を流す。
されども、即座に姿を現わさないのは、横着なのか、或いは、彼女の言う通り、外出中かも知れず。

「お、来たな。店主よりも早いじゃねぇか。
 ……おい、待てよ。店主が来るまでの間、店番のアンタに相手をして貰おうか?」

干し肉と酒がテーブルの上に置かれて、用を為した女が立ち去ろうとすれば、
不意を突いてその腕を掴み、強引に抱き寄せて己の膝の上へと抱え込もうとする。
同時にもう片方の手は女の豊満な乳房を鷲掴みにしてしまおうと無遠慮に伸びて。

シアン・ファーガーソン > 昼間から酒を飲みに来る兵士が善良なのか、それ以前にこの国に善良な兵士がいるのか。
なんにしても騒がしい客だとは思うが店主がいい身分だという事だけは同意できる。

「探すなら乗り込んでもいいけど。ただ殺さないでよ」

出て来ないのは横着か寝てるのか、出てしまったのかは確かめることが出来ない。
なので急ぐなら引っ張り出してもいいと奥へ続く扉に目を向け。

注文を置きさっさと定位置に戻ろとすれば腕を掴まれ引っ張られ兵士の一人の膝の上にと乗せられてしまい、

「酌ぐらいは考えてもだけど、そう言うサービスはやってないですね」

軽いセクハラ程度ならば、まあ…と流すが胸にと手が伸びればそれは駄目。
そう言うように延ばされた腕を掴み、代わりに避けのグラスを握らせていく。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」からジェイクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/酒場」からシアン・ファーガーソン さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル >  宵は長くなり寒気も日に日に厳しくなり、冬将軍の訪れが木枯らしとして街に知らせられる頃合い。
 うらぶれた街角で寒風に絡み響き渡る――、

「きゃああぁぁあぁぁぁー! い゛や゛あ゛あぁあぁぁ゛!!」

 女の切実な悲鳴。声の限りに叫びながら必死にひた走るスラムの街角。
 路傍に雑多と転がる芥を蹴って、時に粗大ごみにぶつかり、稀に泥酔して道の真ん中で大の字になっている酔漢を踏みつけて背中に罵倒を受けながら。

「やだやだやだやだやー!! こーなーいーでー!!」

 盛大な悲鳴の尾を引きながら我武者羅に逃走中。その背後からは――

 ヴン!

 勢いよく吠えたてながら四足のけだもの。パサついてべったりと黒い毛並み、爛々と獰猛な色で光る黄金の双眸。尾は短く、耳は三角――印象的な特徴もない、よくいる雑種の野良犬である。
 この辺りでは珍しくはないし、ここいらの住人であれば追われるような柔な輩は存在しない。
 若い女ならば、ありそうな話ではあるが、それにしても目を渦巻き状にして顔は紅潮した上くしゃくしゃ、滂沱すらして、髪も乱し、一見殺人鬼から命からがら遁走しているかのような異常な態でワン公に追われている奴まあいない。

「いやあぁぁ……怖い怖い怖い怖い!! 誰かぁぁー……そいつを……!」

 お願いしますどこかへやって。できるだけ遠くへ、追ってこないようにしてくれたら、なんでもします、とまで追い詰められた心境で悲鳴に掠れた情けない声を挙げながら肉薄する野良から脱兎しながら誰にともなく訴えているようだが――一瞬で通り過ぎてしまうので応じられない、といったパターンから、面白がって犬を囃し立てるヤツ、がんばれーと気のない声をかけてくれるのはまだいい方で。
 最終的にバカじゃねえの、と冷笑する者最多数。最悪なのは犬をさらに嗾けている血も涙もないヤツ。

 ここいらで犬が怖いから助けてとかいうた処で現実はこのように至ってドライな模様。

ティアフェル >  わたしはこれだけ犬に恐怖していると云うのに、一体どんだけ犬に追いかけられなければならないのでしょうか――

 涙で顔をぐすぐずにしながら心の底から嘆くも、いくら泣いても喚いても現状が改善される道理はなく。
 余計な駄々を捏ねた後のような虚しさが去来するのみ。

 ――そして悠長に虚しがっている余裕などある訳なく。

「ぃいやあぁぁあぁぁぁぁー!!」


 いい加減追いつかれてしまうのが現実の厳しいところ。
 冷え切った街路の途中で引き倒されてひときわ激しく断末魔もかくやといった悲鳴が上がる。

「いやいやいやいやいやー!!! やめてやめて!! 咬まないで!! ごめんなさいごめんなさいごめんな――きゃああぁぁぁ!!」

 切り裂かれるような悲鳴は強姦現場であろうかというような悲愴さ満点ではあったが――くれぐれも犬に襲われているだけで、ただいま一足飛びに大きく跳躍した毛むくじゃらに引き倒されたという状況でしかない。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にタマモさんが現れました。
タマモ > 王都マグメール、貧民地区。
ここ最近は寒くなり、屋根上の移動も、いい加減に凍えそうだ。
…まぁ、そうは言っても、やる時はやるが。

そんな、やる時がやって来て、屋根の上を移動していた、そんな中。
ぴくん、その声を聞いて、耳が揺れる。
聞き覚えのある声、そして、叫んでいる内容。
そんな知人、今のところ、指折り数える人数しかいない。
とん、と屋根を蹴る足元、軽く角度を変え、進路変更。
ふわりと、闇夜を舞う、その少女の姿は…

すとん、と、そんな現場に着地した。
その少女を、どんな獲物として捉えたかは知らないが。
その瞬間、ぴたりと、時間停止をしたように、野良犬の動きが止まる。

「いやはや、相も変わらず…じゃのぅ?
ほれ、妾は、その女子に用事がある。
もちろん、退いてくれるな?」

その言葉は、まるで人に語るような言葉。
普通に考えれば、そんな言葉を掛けるより、力にものを言わせ退かせてしまえ。
そう、言われそうなものなのだが。
しかし、まるで言葉を理解したかのように、野良犬は少女の上から退き、去って行くだろう。
その際、もし、ちゃんと野良犬の姿を見ていたのならば。
怯えか、服従か、今までの勢いは嘘のように、大人しくなっていたのが分かるか。

少女が、どんな反応を示すのか。
それは知らないが、とりあえず、聞き分けの良い野良犬を、見送るのだった。

ティアフェル >  いい歳して野良犬に街頭で襲われべそをかいて絶叫するの図。
 情けないこと山のごとしであるが、恐怖症とはえてしてそんなようなもんで。
 助けてえぇぇー……と声もからがら。
 もうダメだ、死ぬ、精神的に死んだ。

 ありありと死相が浮かんで白目を剝きかけていた、その時。

「………は……?」

 不意に響くよく通る声。その前に軽やかな足音が飛来していたらしい。
 聞き覚えのある声は犬を制しているもので、さらに犬の方はと云えばまるで主人の命令を受けたかのように従順な反応を見せ。

「っへ、っは……あ……? た、ま、m……」

 語尾は尻切れで。犬去りしのち、べしょべしょのごしゃごしゃのぐしゃぐしゃだった当方。
 そんな至極情けない面相で。
 引き倒された状態からよろよろとへっぴり腰で立ち上がり食屍鬼のごとくよろめく手の伸ばし具合にて彼女へ迫れば、

「たま、も、タマモちゃん~!! あり、あり、ありがとほぉぉぉ……
 マジで、マジで、本当にありがとう~~……ッ
 た、たすけてくれて……うれ、うれし……」

 最後は嗚咽交じりで相当不明瞭な声音。
 伸ばした手で抱き着こうとしながらのそれは、……もしも見知らぬ相手からの襲来だったら結構怖い。

タマモ > 苦手なものなんて、誰にでもあろうもの。
そうした者達は、良く見てきたし、良く煽ってきたものではあるものの。
…まぁ、今回は、約束を守ってあげようと、そんな気紛れだ。
どんな約束かって?…詳細は、秘密としておこう、秘密にする程の事でもないが。

脅威が去れば、恐怖に怯えた者が見せる表情を浮かべながら。
己に気付き、寄って来る少女の姿。
実際に、その寄って来る様は、普通に見たら、逆に恐怖を感じさせるかもしれないが。
それが見知った者で、状況を知っていれば、そう感じる事はあらず。

「一応、妾も一度交わした約束は、一度は守るからのぅ。
ほれ、ちゃんと、即助けたじゃろう?」

感謝の言葉を述べる少女に、そう伝えるも。
良く聞けば、一度は守る?なんて、疑問も浮かびそうな言葉だ。
そこは、冗談ではあるが、抱き付こうとするならば、一瞬避けるのも面白い、とは思ったが。
さすがにそれはせず、ぎゅぅ、と抱き締めて、ぽんぽんと、背中を叩いてやろう。

ティアフェル >  犬に襲われたくらいでマジ死ぬかと思う犬弱者。
 恐怖症拗らせ末期。
 自分でもどうにかしたいと思わないでもないがいっそアイデンティティなくらい精神に張り付いてる癖は抜けないもので。

 犬、いなくなった。
 犬、追い払ってもらった。
 犬、から助けてくれた。

 この事実だけで彼女の姿は後光がさして見えたほど。
 実際に差していた灯りと云えば貧民街の今にもこと切れそうに点滅した、ヒビの入った貧相な街灯のみであったが。

「ふあぁぁ……っ
 タマモちゃんマジ神。
 大好きですー……っ」

 抱き着いた上、思い余って崇めだした。
 ついでに愛情表現しておいた。これだけしておいたら次もお願いします……という打算ではなく、心底スマートに犬を追い払ってもらって感動感涙中という内訳。
 背中を叩いてもらって、若干落ち着きを取り戻しながら、えうえう啜り上げていたが、涙が寒風に冷えて、くしゃみがでそうになって慌てて手を放し。くしゅん、と肩を震わせて向こうを向いて。

 それから、ずずと洟を啜り上げながら。

「タマモちゃんは……犬から助けてくれるためにここへ降臨……な訳ないか。
 えっと……ご用事の途中とかじゃなかった? 大丈夫?」

タマモ > 恐怖症の気持ちは、恐怖症にしか分からない。
己がしたのは、野良犬に去って貰っただけなのだが。
それが、少女にとって、どれ程感謝するものなのかは…目の前の姿を見れば、良く分かる。
一見、見れば引いてしまいそうな少女の様子も、己からすれば…
………うん、あえて、それは言わないでおこう。

「いやはや、こうも苦手なものがある、と言うのは大変なものじゃ。
しかし、なんとも軽い神じゃな…
うむうむ、妾も大好きじゃぞ?」

うんうんと、少女の言葉に頷きながら。
落ち着きを取り戻し、顔を逸らし、くしゃみをする少女へと、そう返しておこう。

「おやおや、夜風に当たり過ぎて冷えたか?
ここに来たのは、偶然じゃ、散歩中じゃったからのぅ。
と言う訳で、別に、寄ったところで、何ら問題はない。
もちろん、これから先、付き合うとも何ら影響もない。
…な訳じゃが、お主の方こそ、何かあるじゃろうか?」

と、己の心配をする少女へと。
深く考えると、暇だから付き合え、みたいにも聞こえるが。

ティアフェル >  お前モンスターならカチ込んで行く癖に犬に何怯えてんだよダセエ。

 そんな扱いが主流なもので、それ以外の受容してくれる対応がまさに神対応と云えてとにかくひたすらものすごーく――

「ありがたい!!
 う、大変なのですよ……犬ってほんとどこにでもいるもんだからもう……野良犬多くてこの街から出ようかと思い余ったこと多数だけど、出たところでやっぱどこ行ってもいるから無駄でしたという……何の話だっけ?
 いやいやいやいや! 全然! 全然軽くないのよ! わたしにとっては至高神に達しようとする勢いなんだよ!? それは分かって?!
 ……あと、えへへ……いやー、嬉しー」

 全面的に良く分からない自論を力説した上、大好きと返してもらっててへてへ喜んでいた、相当単純脳に見えそうな手合い。

「ふん……そ、みたい……今日は冷え込むねえ……。あと、ずっと走ってたものだから汗が冷えて……。
 お散歩か。夜のお散歩……タマモちゃんらしいよね。
 でも、各所であんまりいたずらし過ぎちゃだめだよ?
 えーと、つまり……せっかくだし、お礼もしたいし……遊ぶ?」

 彼女も時間はあるらしい。目的のない散策だったようで、ならばと申し出。
 助けてもらったことだし、マメにお礼はしたいところでもある。

タマモ > 少女程ではないにしても、苦手なものはある。
己からすれば、普段通りの対応だが。
それで、より感謝するならば、それはそれで良しとしておこう。
が、少女が言う通り、少女の苦手な犬は、かなりの遭遇率を誇る。
それを考えると…ちと、あれだ。

「まぁ、犬種と言うのは、猫種と似て、多く居るからのぅ。
それを苦手とするならば、逃げ場は…難しいじゃろうなぁ。
手があるならば、なるべく、一人では出歩かん、それくらいか?
うむ、お主がそう言うなら、そうじゃのぅ。
あー…そう、素直に喜ばれるのは…まぁ、良いか」

なるほど、と納得しながらも。
軽く考えてみても、そう良い案も浮かばず。
そう伝えながら、純粋に喜ぶ少女の様子に、一寸、視線を逸らした。

「一体、どれだけ走っておったのやら…
まぁ、妾は、常に通常運転じゃ。
悪戯は………うむ、聞いてはおこう。
ふむ…せっかくの相手、そう言う事ならば、付き合うて貰うのも、良しか」

まぁ、その様子から、かなりの距離を、時間を、走っていたのだろうか?
悪戯の流れにも、何気に視線を逸らしながらも。
己は当然として、その言葉から、少女も時間はあるらしい。
それならば、と、それを受ける事にした。