2021/10/23 のログ
ティアフェル >  アホ毛有神経説。神経どころか自我があるのではと疑念は……本体は抱いていない、というかアホ毛の動きをイマイチ把握していない灯台下暗し。

「そうよー。かと云って恩着せがましくなんて全然ないからわたしもついつい……。
 そうなの? じゃあいつも通りゴチになりまっす」

 あざっす。どこか体育会系のノリで敬礼すらしてみる。厚顔というよりもせっかくのご厚意……という意識が一応強い。ただ酒うまいという本音もなきにしもあらず。
 ひょい、と摘ままれてぱく、と頬張る動きが連続し、ひょいぱく。ひょいぱく。と続いていると、どこまで続くんだろう、お腹が膨れるという懸念。でも反射的に口を開けてしまう。

「そっかあ……そう云えば真冬でもその恰好だったっけ……。独りだけ季節感との相違がパネエ……。
 うーん……蹴っ飛ばしちゃったら悪いなあ……兄弟で雑魚寝したとしてもわたしだけ周囲との距離が開けていた。そして弟たちには青あざが。
 プロの踊り子だって女の子なのよ……!! 甘いものヌキなんて万死」

 ダイエットしながらも甘いものをやめられないのが乙女心であると独論を力説。
 一年近い年月を感じていたが、実際にはカウントしてないので少々アヤしい。でも貯金はばっちり。
 けれどウキウキ受取日は未定。今の鞄がお陰様で生きながらえているので差し迫ってもいないし。

「たしかカルヴァトス……だったかな? うん、そうね小瓶を試してみて、合わなかったらお料理に使えばいいもんね。
 わたしは見せつけない仕事だから多少はおっけい……とはいえ、夜中に食べると罪悪感がね……りんごや梨や栗がピークでおいしいからさ、最近食べ過ぎちゃったし……あ、それに豆の塩ゆでも好きだし!」

 夜には植物性たんぱく質が身体にも優しいし肴にもほど良い。ゆでたての豆が来れば、シードル片手にちまちまと頬ぱって。

ティエラ > 本隊に気が付かれずに生きている、まあ、髪の毛も体の一部だ、そういう事も……あると思うと少し怖い。
そして、それを突っ込むのもちょっと怖いので、今は何も言わないでおくことにするのだった。

「根底にあるのは、楽しく飲みたい、だからね。気にしあって飲んでちゃいけないのよ?
まあ、気になるなら、何時か、ナニカでお返しをしてくれれば、ね?」

体育会系のノリに、ウインクで返して見せる。厚意なので、気にせず飲めばいいのよ、と。
楽しく飲む酒はうまい、それで十分よね、と体育会系な魔術師だった。
取り合えず、彼女のお腹がいっぱいになる前に、おつまみなのでなくなってしまい、あらま、と目を瞬く。
そして、食べさせ続けたから、指に付いた粉をペロ、と軽く舐めてもう一個頼もうかしら、とか何とか。
止めるなら今でもある。

「寒いから、と厚木で踊る踊り子は居ないわ?それに、最低限、暖かくしてもらうし、ね?激しく動けば冬でも暖かくなるし。
それ以外は、魔法の服で何とかとか。
……それは、確かに、一寸いやね?顔はダメよ。顔は。

プロよりも女の子を優先されてしまったわ……っ!?」

ちょっとショック、色々な考え方があるが、プロ意識を捻じ曲げさせるレベルでの女の子アピール。
嘘、私女子力低いのっ!?と、両手を口元に当てて、目を丸くする。
力説は、それを離す彼女の勢いは、凄まじい物があった。

「予定が空いたら、ちゃんと連絡してね?
果物、私も注文しようかしら、二日酔いには、リンゴとかそう言うのが良いっていうし。」

聞いて居たら食べたくなったので、註文を。
そんなこんなで、今宵は、楽しく二人、酒を片手に談笑するのだった―――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区の安酒場」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区の安酒場」からティエラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 路地裏 貧民地区」にロゼさんが現れました。
ロゼ > 平民地区から貧民地区へ移ろう境にある路地裏で、それは起きた。
下賤な風貌の傭兵崩れ、とでもいえば言い得て妙か。
行きつけの薬屋を出てすぐ、ぶつかった”この男”に難癖をつけられ、手首を鷲捕まれ、貧民地区まで引き摺って来られた。

苛立ちと辟易で顔をゆがませながら踏み留まろうと踵に力を入れるも、暴漢の前では力及ばず。
目深にかぶったフードの中からきつく睥睨し、赤い唇を割く。

「 ゃ―――めなさいッ…! あたしは謝ったじゃない…! 放しなさいッ、この―――、ッ」

品よく淑やかにまろむ造りの面貌からは似つかぬ、激情を込めた悲鳴だ。
空いた手で手首をつかむ男の掌を引きはがそうとしつつ、―――ガッと強く引っかいた。
流石に痛みを覚えたのか、苛立ちげに振り返った男が女を路地裏に押し込む。
其の儘、振り上げた拳が高く掲げられ―――、


「 ッ、―――――殴りたきゃ殴りなさ ―――― …~ッ゛ ( ばし ッ ) 」

女の頬をしたたかに打ち据え、踏み止まれなかった女の体が路地裏の壁にどさりとぶつかる。
叩かれた頬が赤く、ささくれで切れたか薄い擦り傷。ほどなくしてうっすらと滲む赤からは鉄錆の匂い。

ご案内:「王都マグメール 路地裏 貧民地区」にトーラスさんが現れました。
トーラス > 退廃と背徳の王都マグメールの中でも、最も治安の悪い貧民地区。
この場所では、窃盗、傷害、殺人、強姦などは日常茶飯事に起こり得る出来事で、
王都の治安を維持する衛兵や騎士達も滅多な事では介入すら行なわない。
肩が触れた、目が合った、そんな理由は言い掛かりを付けるのにまだマシな方で、
特に明確な理由もなく人は騙され傷付き、殺されて、女達は犯される。

因縁を付けた傭兵崩れの男が、難癖を付けた理由も、大したものではなかったのだろう。
だが、男の想像以上に被害者が抵抗の色を見せた為に暴力が振るわれて、
壁際にまで追い込まれた彼女が、想像以上に良い女であれば、男が次に取る行動は想像に易きもの。
彼女を殴りつけた男は、女の肢体を舐め回すように視線を向ければ、下卑た嗤いを滲ませながら距離を詰めていき。

「――――、ひっく。おいおい、痴話喧嘩は余所でやってくれねぇか?
 いい気分で夢見心地だったのにお陰で眼が醒めちまったよ」

男が更なる凶行に及ぶ直前、彼を差し止めたのは路地で酒瓶を抱えて寝転がる浮浪者紛いの中年男。
見るからに酔っ払いという男は欠伸をしながら、後頭部を掻けば、路地裏の男女へと苛立たしそうに文句を垂れて。

ロゼ > 縦に振り降ろされた掌に薙がれて、丁度真横に振り払われた頬。
つ、つと滴るほんの少しの赤が、女の紅より艶やかに夜光と溶ける。

瞳孔見開き、そつと指先で頬を確かめる。
生温い湿り気が汗や涙の類でないことは容易く知れた。
痛み――そして自分が辿る行く末の選択肢に焦燥が募る。
浅はかであったのは、誰もつれずに出歩いたことか。
それとも男のあしらい方か。いずれにせよ遅いこと。

静かに暴漢へ顔を向き戻し、煉瓦敷きの壁伝いにやや後ずさって唇を食む。
―――ちょうどそれと同じくであった。

「 …… っ、…  な、 」

頓狂に声が漏れた。それもその筈である。
寝台も無い路地にごろと転がった男が、むくと起き上がったのだ。
土埃に混ざる酒の香りが、男の唇や其処此処から広がる。
何とも呑気に眠気を噛み殺す様を見ると、逼迫したこの空間が少し撓いだような気もして――― しかし。

面白くなさそうに舌を打ち、失せろだのひっこんでろだのと捲し立てる暴漢が、其れから先にと言わぬばかり今しがた起きたばかりの男の胸倉を掴もうとし、

「 っあ…! あぶな、(咄嗟に叫ぶ、果たしてどうなるか) 」

トーラス > 冒険者と云う王都に一定数存在するメジャーな職業は、同時に不安定な職業だ。
一獲千金を果たす者も居れば、食うに困る程度の日銭しか稼げない者も居る。
毎日、毎月、決まった金額を稼げる訳ではないので、冒険者である彼は出没場所も様々であった。
平民地区のトラットリアで食事や酒を楽しむ事もあれば、富裕地区の高級娼館で一番人気の娼婦を抱く事もあり、
今日のように懐具合が厳しければ、貧民地区の安酒場で混ざりモノのカス酒を浴び、路上で寝泊まりする事もある。

無論、貧民地区の治安が悪いのは、彼女にも彼にも同様に降り掛かる問題で。
見すぼらしい酔っ払いが相手だと高を括った傭兵崩れは、暴力で問題を排除しようと彼の胸倉を掴んで持ち上げる。
此処で退場する傭兵崩れの彼の名誉のために言っておくならば、彼は別に弱者ではない。
驕りこそすれ、油断もしていなかった事だろう。だが、警戒は全くしていなかった。
その無防備の隙を突かれた男は、胸倉を掴んだ相手からの掌底を顎でまともに受け、
脳震盪を起こし掛けている所に追撃のように振り上げられた酒瓶が頭蓋で叩き割られた事で昏倒して、地面に倒れ伏した。

「……あーぁ、しまった。勿体ねぇ。まだ、酒が残ってたじゃねぇか」

たったの二発。流れるような澱みない動きで傭兵崩れを伸した中年男は、既に倒れた彼に興味を向けず。
酒瓶に残っていた酒が、地面に染みを拡げる様子に口惜しそうに、眉尻を下げて落胆の気配を見せる。

ロゼ > 火花が疾駆し散るほどに――それは鮮烈で、鮮やかだった。
肉付きの隆々たる体躯が、下方から何がしか激しく突き崩され、 ガシャン と酒瓶が割れる。

瞬く間すら無かったように思う。
地べたに崩れ落ちた暴漢も、脳震盪を起こす前はそう体感した筈である。
それほどまでに、酒瓶の男の二撃は見事であった。

はた――、はた――。
大仰に、頓狂にまつ毛の裾を翻して瞬く。
数瞬言葉と呼吸を失って、やや浅苦しくなってから思い出したように胸で息をした。
ごしと掌で頬の血を雑に拭い、――恩人――と言って良いかどうかを見定めるのも含めて、女は数歩近づいた。

あまりの酒が土に吸われていくのを惜しげに肩を落とす様子。
それがなんだか、先ほどまでの逼迫と不釣り合いで背の力が弛緩する。

「 ――――… (ちら、と割れた酒瓶を見て) …お詫びに、一樽お贈りするわ。 ……どこか痛みはない ? 」

怪我の有無を問うたのは、念のためだ。
男が被弾したようには一片も感じなかったが、現に床に転がっていたところからしか彼を知らない。

トーラス > 立ち会った三者の何れに取っても幸いな事に、街中での出来事。
酔っ払いの中年男が武器を帯刀していなかった為に無益な流血沙汰は避けられて、
地面に倒れ伏した男にしても、夜風の下で晒される事で風邪の一つも引くかも知れないが、命に別条はないだろう。
現在進行形で、目に見える被害と言えば、頬を叩かれた彼女の傷と、地面に零れた彼の酒のみで。
その後者の補填を近付いてくる彼女が提案すれば、男は其方へと顔を向け。

「……一樽? そいつは、本当か、ローズ?」

酔っ払いの彼が紡いだのは彼女から言質を取る為の鸚鵡返しと、口走ったのは誰ぞの名前。
廻らぬ思考と暗がりの中でフードの下から覗けた女の貌が、ふと脳裏に過ぎらせたのは過去の記憶。
彼がまだ真っ当な貴族としての生活をしていた頃に、父親と付き合いのあった伯爵の一人娘の子守りをさせられた、とそんな話。
既に二十年近く前の記憶が唐突に蘇ったのは、何処か目の前の相手にお転婆娘の面影を見たからか。

「あぁ、悪い悪い。昔の顔見知りに似ていたもんで。俺の方は大丈夫だが、アンタ、血が出ているぞ?」

流石に当の本人である筈もなく、バツの悪そうな顔を浮かべながら、相手の頬へと片手を伸ばして。

ロゼ > 男と同じに、無碍を振るった暴漢への興味は既に無い。
酒濡れの土を夜風が静かに撫でていく。
ひょんな事から己を救う境地に立たされた男の方からも、それと同じ匂いがした。

路地に転がっていたとはいえ、よくよく見ると鍛え上げられた精悍な風貌である。
先の見事も通りでと、一人趣深げに男を見つめた。

―――が、

「 …… ―――――――え? 」

その名を呼ぶものはもういない。
随分と昔、煌びやかな社交の場にて呼び交わされ、酷く耳に馴染む音だ。
怪訝に神妙を溶いたよな女の瞳が、しげと男の輪郭を這った。
遅れて、指摘をうけ初めて痛覚を思い出す。
じくと熱を持ちひりつく頬、 ――そこをくるむ無骨な掌。

可笑しい、 ――― この記憶をよく識っている。

ふぁさとフードを取り払い、あの頃よりあどけなさを脱ぎ捨てたかんばせで男を見つめた。
紫の目を細め、頬をくるむ熱にすんと鼻を鳴らす。何かを嗅ぎ取りたくて。

「 …… ―――トーラス …にいさま、 ?」

幼いころ、兄弟を持たぬ己がいたく懐いた青年が居た。
二十年も前だ、だが、思い起こせば間近にある男の造形を見れば見るほど、嘗ての青年を彷彿とさせる。

トーラス > 親同士は社交の場にて酒や葉巻に興じる中、子供の相手は同じく子供に任された。
とは言うものの、相手は十歳も年の離れた少女である。
本来であれば、年齢が近くて真面目で大人しい弟が相手をするのが自然の流れ。
そうはならなかったのは、その伯爵令嬢が貴族の令嬢に相応しくない程のお転婆であり、
同様に彼は彼とて、真面目な貴族の嫡男とはとてもではないが言い難い放蕩息子であったからだ。
似た者同士で面倒を見れば良いと押し付けられる形ではあったが、存外、妹分を無碍には扱わず、
少女の方も、彼の方に懐いて、或いは、悪影響を受けたかも知れないが、それは彼の関与せぬ問題。

「――――……、あぁ、本当にあのローズ、か?
 こいつは奇遇だな。随分と大きくなって、……まぁ、二十年だもんな。成長するか」

フードを脱ぎ払い、露わにされた貌をまじまじと眺める。
金色の髪に吊り目がちな紫瞳。あどけなさは喪われても、その顔立ちには以前のお転婆娘の趣がある。
頬に触れた手を金色の髪を撫で付けるように頭の上へと触れさせると、
かつて、そうしたように、武骨で節くれ立つ掌で包み込んで撫で回して。

「だが、お転婆なのは相変わらずのようだな。こんな場所で男相手に大立ち回りとは」

かつての少女で、今の彼女に対して、昔と変わらぬ笑みを向けて、意地悪く揶揄い。