2021/10/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にミストさんが現れました。
■ミスト > 「おかしいな…確かこっちだと思ったのに」
ギルドで手配をされていたコソ泥を追いかけ貧民地区を駆け回り。
幾つかの路地を曲がったところで追いかけていた後姿を見失い周囲を見回す。
しかし細い路地や行き止まりこそあるが人影らしいものはなく。
「あー、もう…失敗したよ。捕まえたら本格的に賞金稼ぎ復帰だったのに」
長時間のお休みのお陰で冒険者としては低ランク、賞金稼ぎとしては本当に実績がなくなってしまい。
その為に少しでも信頼を取りもどそうと追いかけるも見事に見失う失態。
うまく行くと思っていただけに大きく肩を落としてしまい、仕方がないと来た道を戻り始めて。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にイーシャさんが現れました。
■イーシャ > 『ぶべっ』
そんなにぶい悲鳴が聞こえたのは、彼女が来た道を戻り始めてすぐのこと。
貧民地区の路地の先、その一画において黒いミレーの青年に取り押さえられていた。
また別の賞金稼ぎによって捕らえられた…とも思われるが、ミレーの青年の様子はそういったものとは異なる。
「無様だねぇ、弱者が弱者から盗みを働くとか、世も末じゃん」
黒いマスカレードマスクを装着しその奥から覗く金の瞳を妖しく輝かせ、コソ泥を見下しているミレーの青年。
追われていたコソ泥は打ち倒されたのか地面に突っ伏し、青年のブーツがその首を踏みつけミシミシと折れる一歩手前のところまで力を込めていた。
男は苦しそうにもがくが、まるで力が入らない。
■ミスト > 逃がしてしまった以上早く戻った方が良いと脚を進め。
逃がしたけど早く帰れるなと思っていれば聞こえる鈍い悲鳴。
もしかしてそっちに居たと思えば声の方へと駆け出し、路地の先へ抜ければそこには追いかけていたコソ泥が捕まえられてる光景。
「あー、それボクが追いかけてた賞金首……先を越されちゃったよ」
コソ泥を取り押さえるのはミレー族の青年、マスクで顔を隠している事に気が付くがこの国の出身ではないのでミレー族に対する偏見はなく、純粋に先を越された事を悔しがり。
苦しそうに藻掻くコソ泥の首を踏んでいる青年に視線を向け。
「逃がしちゃったボクが言うのもあれだけどさ、殺すと賞金が下がるよ?」
コソ泥の様子はいかにもやばそうだがそれはそれ、そんな事よりもと同じ賞金稼ぎと思っている青年にそんな声をかけて。
■イーシャ > 「あ、よかったね…追いかけてた女の子来てくれたよ。
ほら、助けてって言ってみたら?」
誰かが近づいてくる。
気配で先に彼女のことを認識すると、にんまりと笑ってコソ泥に告げてみる。
首を踏みつけているのでうめき声くらいしか出せないとわかっているのに、楽しそうに、冷たい声で。
「へー、こんなのでも金になるんだね。
僕はただの善意の市民なんだけどさぁ、いくらか貰えるのかな?」
姿を見せた彼女にやっときたかというかのような視線を向けた青年は、賞金と聞いてにこやかな笑顔で問いかける。
賞金稼ぎではないため金銭のことなどきにしていなかったが。
男のほうは今にも死にそうだといった雰囲気で、彼女に助けを求めるかのように呻いているだけ。
■ミスト > 「出来たら殺さないで欲しいんだけど。
持ってくのが大変になっちゃうから」
首を踏まれてうめき声を出すコソ泥と楽しそうな青年。
捕まえたのは青年なので生死の権限は向こうなんだがついそんな事を告げて。
「一応手配書にはなるぐらいのコソ泥だよ。
え、それで捕まえたんだ……凄いね。
そのコソ泥で3000ゴルドかな、勿論生きてればだよ?」
視線を向けられにこやかな笑みの問いかけに生きていればの金額を告げる。
見た光景はあまりにもなのだが賞金稼ぎと冒険者をやっていればある意味見慣れているのでさほども気にせず。
助けを求めるように呻くコソ泥に近づき見下ろし、そして青年に視線を向けて。
「換金するなら付き添うけどどうする?」
■イーシャ > 「そしたら首だけ持ってけばいいよ」
死んだら死んだでそうしようと、おくびも無く言ってのけ。
どことなく必死そうな彼女の様子と、追っていた賞金首がこの程度の獲物であることを考えれば、少なからず切羽詰まっているのだろう。
「3000かー、もっと頑張って派手なことしてくれればいいのにねぇ」
その金額を安いと捉えた青年は苦笑いしながら男を見下ろして。
もっともこれを追っていた彼女にしてみれば見逃せない金額なのだろう。
「親切で結構だけど、それでおこぼれにあずかろうとか?
それとも後ろから刺して手柄奪っちゃう系かな?
そういうのもサツバツとしてて好きだけど」
親切な彼女の言動に、そんな言葉を返す青年。
疑っているのか、お人よしと嘲っているのか、それともただのからかいか。
笑みのままにマスクの奥の鋭い視線が彼女に刺さる。
■ミスト > 「………それ名案だね!」
青年の言葉に一瞬呆け、次には全く思い付いていなかったというように驚き。
その様子から今までも死なせた場合は必死に運んでいたのを感じさせそうで。
「コソ泥でそれだけの賞金が付くんだし、十分派手だと思うよ」
普通ならそんな金額が付く前に捕まるか死んでいる。
それを思えば十分派手だと思うと言いつつ踏まれているコソ泥を見下ろい。
「人が捕まえた賞金首を横取りなんてしないよ。
さっき善意って言ってたから引き渡し方知ってるのかなって思っただけだよ。
そ何時の賞金は惜しいけどさ、ボクは逃がしちゃってキミが捕まえなんだからキミのだよ」
そんな事はしないと笑みを浮かべて首を振り。
ただ純粋に親切でそんな提案をしたのだと説明。
鋭い視線に気は付くがそれなりに数場は踏んでいるので怯むような事はなくて。
■イーシャ > 「ふぅーん、お人よしだねぇ…美徳だけど」
本当に親切心らしい相手の様子に、気を抜かれたのかつまらなそうに表情が戻り。
そのあと何やら考え込んでしまう。
といってもほんの数秒のこと。
「このブタやっぱいらないからキミにあげるよ」
そう言ってコソ泥の首から足を退ければ、げしっと強めに蹴たぐって。
男がやっと発せた言葉はまたしても『ぶべっ』だった。
彼女に獲物を譲った理由は金額と、あとは単純に手続きめんどくさいというしょうもないものだ。
あと泥棒やってるやつがそういうのするのダサそうだし。
「もちろん見返りはいただくけどね~」
あたりまえだがタダで譲るつもりはまったくなく。
■ミスト > 「むしろさ、この国の人が薄情すぎると思うんだけど」
つまらなさそうな顔をする青年にそうでもないと首を振り。
むしろ知らないなら一度は教えるべきじゃないかなと考えて。
「え、いいの?賞金、結構な額なのに」
青年の言葉と蹴たぐられたコソ泥。
最後までうめき声か鳴き声のようなものしか発してはいないがまあいいかと流し。
賞金があれば数日は贅沢が出来るのにと思いながらもロープを取り出すと手慣れた手つきで縛り上げて猿轡を噛ませてしまい。
「見返り?それって賞金の分け前?それともお酒を奢れって感じ?」
賞金首をタダでくれる訳がないというのは判っていたので見返りと聞けばすぐに浮かぶ物を口にして。
現在は手持ちが少ないのでどちらも賞金を貰った後になるのだが…。
■イーシャ > 「うんうん、気にしなくていいよ」
元より金目的でこの男を仕留めたわけではない。
気まぐれに、むかつくからいじめてやろうとしただけのこと。
それ以上でもそれ以下でもない。
それに彼女もちゃっかり、男をふん縛って済ませている。
「いやいや、金欠そうな女の子にそんな見返り求めないって。
僕の仕事の手伝いしてもらおうかなーってね、簡単な仕事だし」
妙に失礼なことを言いながら見返りとして求めてきたのか仕事のバディ。
この世において簡単な仕事だと言ってその通り簡単であることなんてひとつもありはしないのだが、いかにも裏がありますみたいな雰囲気を隠しもしない笑顔のミレー。
■ミスト > 気にしなくていいと言われると気になってしまう。
しかしコソ泥を譲ってもらった手前気にしない事にして。
今度は逃がさないようにと念を入れて縛り、これでも逃げようとするならば一撃を入れて気絶させようと決めて。
「お金がないのは本当だけど、そうじゃない見返りって嫌な予感しかしないんだけど…?
仕事の手伝い?……犯罪じゃないなら…いいかな」
失礼な言葉にムッとしつつもお金以外の見返りに嫌な予感とこちらも失礼な事を口にし。
代わりに簡単な仕事の手伝いと言われるが、そんな仕事があるのならばそもそもに賞金首を追いかけはしない。
絶対に簡単ではないと分かってはいるが譲ってもらった手前、犯罪じゃなければと了承をして…。
■イーシャ > 「大丈夫大丈夫、ほらあれだ…悪人を成敗する仕事だからさ」
手柄を譲ってもらった手前、怪しむものの断りづらそうな様子の彼女。
困らせるつもりで言っているのだとすれば大成功だが、生憎このミレーのすることはまともなものではなかった。
犯罪じゃなければ…という彼女の懸念に対して、なんとも曖昧な返答を楽し気にしつつ、もう決定とばかりに頷いている。
「それじゃあその時になったらまた顔見せるから、それまで元気でねぇ」
そう笑って彼女の肩にぽんと手を置き、すれ違うようにしてその場を去る青年。
彼女が振り返ったときには、まるで最初からいなかったかのように忽然とその姿は消え失せていた。
不思議なのはそのあと彼女がそのミレーの顔立ちやら姿などが、まったく思い出せなくなったことと、それすら気にならなくなっていったことだろう。
その時になって再会するまでの間だが。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からイーシャさんが去りました。
■ミスト > 「悪人の成敗?それって衛兵の仕事じゃないかな…」
少なくとも犯罪ではない様子にまあいいかなと考え。
コソ泥を殺さずに捕まえていたので悪い人ではないと思う事にして。
「その時って曖昧だけどさ。キミが来ればその時なんだね」
そして肩を叩かれてすれ違う青年、慌て振り返るもその姿は既になく。
変わった人あったと思い、ふとその容姿が全く思い出せない事に困惑をしてしまい。
でもああいっていたのだ会った時には分るだろうと考えることとし、コソ泥を引きずりそのまま去っていき。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からミストさんが去りました。