2021/09/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にダリルさんが現れました。
■ダリル > 皆が寝静まった頃、宛がわれた部屋をこっそり出た。
黒のインナーにスパッツ、黒いマントを羽織りつつ、足音に気をつけて廊下を辿り、
裏通りに面した窓から忍び出て――――数分後。
安い飲み屋や娼館が並ぶ辺りからは通り一本外れた、
酔い潰れた男がそこここに寝転がるばかりの、細い裏路地。
黒ずくめの少年はフードを目深に被り、大股にそんな界隈を闊歩していた。
横目に酔っ払いたちを観察するが、既に素寒貧で転がっているような連中だ、
懐を狙っても、大した実入りは望めそうにない。
狙うならせめて、まだ、自力で歩ける程度の酔っぱらいでなければ。
「……ま、いっちばん狙いたいのは、トロそうなお貴族サマのボンボン、とかだけどね」
そうそう、そんなカモがうろついているものだか。
とにかく少しだけ、歓楽街の方へも足を伸ばしてみようかと思っていた。
■ダリル > 「――――お、っと……」
この界隈に住むものだけが知っている、更に細く入り組んだ路地。
そちらへ入れば近道であるから、と足を踏み入れたところ、
ブーツの踵がぷにゅり、と何か柔らかいものを踏んだ。
素早く足を引きながら見降ろすと、踏まれたのも気付かずいびきをかく男の姿。
身形はそれなりに良さそう、というより、良かったのだろうが、
指輪やブローチ、飾りボタンの類も毟られているし、
当の本人も、安酒でか、女でか、背骨まで抜かれたようにぐんにゃりしている。
ほんの少し、コイツの懐を探ってみようかと思ったが、
「……や、ねぇな。
多分もう、根こそぎだろ、こりゃ」
いつからここに転がっているのか知れないが、踏まれても起きないレベルでは、
きっと既に、めぼしいものは奪われた後だろう。
そう思いながらも未練がましく、ペロリ、ボタンのとれた上着を捲ってみたりなぞ。
■ダリル > 「――――――う、え」
やらなければよかった。
それはもう、全力で後悔した。
そおっと、指先で摘まむようにして、上着を掛け直す。
今日はもう、このルートはやめておこう。
そう決めて踵を返し、別の道へと駆け出した少年の背後では、
上等な飾り物をとるために身ぐるみ剥がれた男が、
夜風に吹かれてちらちら、ストリップを披露していたという――――。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からダリルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にフリニアさんが現れました。